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2023.04.06
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エッセイ「人間50年、その後…」②

四半世紀勤めた職場を離れ無職。転職活動するには歳を重ねすぎていた。

何社も何社も履歴書を送り、面接に呼んでもらっても反応はなく、失業保険が終わろうとしていた。給料は安い、しかし、そんなところでさえ「お前を雇ってくれる会社なんてない」とあの社長に断言された私は立ち上がる気力も高給を求める意欲も失くしていた。

もう、どこにも就職できないのではないかと思い始めていた。その時、一本の電話が鳴った。急だがなるべく早く面接に来いと。働けるならどこでもいいと思えるほどの状況の中、一次、二次と面接を終え、採用された。その給料では家族が暮らしていくには足りないなんて気づかないまま就職した。というよりも「お前を雇ってくれる会社なんてない」という呪詛とも思える言葉の影響で 25 万円という固定給が救いに思えた。家のローンを考えると、たぶん、かつかつであったであろう。とはいえ、職場を手に入れた私は安心をとりもどし、働いた。

 新しい職場で一年を過ぎたある日、義父から「それで暮らしていけるのか?」と問われた。娘のことを心配しての一言だったのだろう。そこで初めて家計が火の車ならぬ焼け跡になりつつあることを知った。働きながらの転職活動が始まる。業種は問わず、現状よりもプラス 5 万円の給料をもらえるところを探した。高給料のところはあっても書類選考落ち。面接まで行ったところで募集条項は絵に描いた餅、安い給料でいいならというところがあったりした。いいところは見つからず、転職活動をしてから半年が経とうとしていた。都内での仕事はあきらめ他県でも職を探した。その結果、通勤時間がかかり県外になる企業で面接となった。社長面接で「うちの会社良くないよ。それでも来る?」なんて言われた。いろいろと危惧するところはあったけれど、現状プラス 5 万円の給料に惹かれ、転職した。

 転職をしてみると独特な会社の雰囲気。従業員はみな過重労働を強いられていた。ワンマン会社であった。もちろんベテランはうまく対処していたけれど、違和感を感じた私は馴染めなかった。実態はどうだったのか。私はブラック企業だったと思っている。当初は歓迎してくれていた従業員たちは会社になじまない私を異分子とし誰も近づかなくなっていた。早くも転職を考えていたけれど、半年は勤めないと失業手当がもらえない。我慢の日々だった。なんとか半年を迎えるころ、会社の方が先に見切りをつけた。話し合いの末、退職届を出した。次の日から退職までの一か月、それまでの業務をはずされ、一日中ひたすら入力業務をする小部屋に移動になった。来る日も来る日も朝から晩まで入力、入力、入力…。

退職した私はまた無職となってしまった。転職を繰り返すうちに 50 歳を過ぎ、ミドルの仕事を求めるには難しくなっていた。

 ハローワークに通い、転職サイトに登録し、ネットで検索する日々。履歴書も職務経歴書も書き直し転職サイトで添削してもらう。応募数は前々回をはるかにこえて、前回もこえて数百社。たまにある面接も十社を越えていた。最初に応募したインド人経営の会社の感触が良く、そこに就職できるのではと思ったけれど、使わなくなっていた英語への苦手意識が仇となった。社長面接用の英語でのレジュメをダイジェストにしてしまった。英語でのインタビューも心臓バクバクで思うようにしゃべれなかった。それでも結果発表を心待ちにした。返答は当初予定の一週間から二週間に延ばされ、転職アドバイザーにせっついて得た回答が不採用だった。思うに、私の評価はイマイチで、後に来た有望な人が内定を承諾することを待っていたのだと感じた。落ち込んでもいられないので毎日毎日ネット検索の日々で新規募集を見込んでハローワークに通う日々。いつまでたっても家にいる父親をこどもは「いつまでいるのか、早く仕事に行ってくれ」と思っていたようだ。

 働けるところがあるなら、私も早く働きたい。ハローワークに紹介され、年齢不問で募集している会社に電話しても、募集要項はそのように出していますが三十代から四十代が良いと言われる始末。それならせめて応募者に明示しない形で希望年齢層を出しておいてくれと思った。実際、年齢不問でもターゲット層を告げている会社は多い。

 そんなこんなで悪戦苦闘の日々、失業保険が切れる直前に現在の会社に内定をもらえた。






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最終更新日  2023.04.06 19:40:27
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