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2016年05月07日
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「残り全部バケーション」伊坂幸太郎 集英社文庫

全5章からなる連作短編集。どうしようもなくいい加減で、小狡く悪事を働き、けれども憎めない溝口が出てくるお話である。

第二期伊坂幸太郎は、いったんお休みして、最近文庫化される話は、またもや第一期のように伏線回収を仕掛けるエンタメに振れている気がする。

伏線回収をする時にいつも思い出すのは、エッシヤーの階段やら幾何学絵が有名なあの「騙し絵」である。この短編集でも、時制が行ったり来たりするけど、物語がラストにむけて収束する仕組みは、佐藤正午さんの解説を読めばだいたいわかる(※)。

しかし、それならばわざわざ小説を読む必要はない。ゲームソフトでも買って、最終ステージに上がればいいだろう。私が伊坂幸太郎を好きなのは、階段の伏線をきちんと上れば、決められた場所に届くからではない。そうではなくて、語り終えていない、佐藤正午さんとは違う意味で、確信的なストーリーが異次元に入り込んでいる部分があるからである。

具体的には、溝口の177pのセリフは、きっと大きなエピソードを含んでいるはずなのだけど、とうとうその伏線回収は無かった。

或いは、正真正銘の悪党、毒島の描き方も、昔のように悪の徹底化もしなければ、実は善人だったという描き方もしなかった。この連作短編を描いている途中に伊坂は東日本大震災に仙台市で被災しているわけだが、何かの影響があったのかもしれない。

佐藤正午さんのいうように、確かに「幸福なストーリー」も隠されているとは思う。けれども一方で人間に対する哀しみも描かれているようにも思うのである。

※だからと言って、解説での重要なヒント開陳を責めるつもりはない。それが解説の役割のひとつだとも思うからである。それどころか、珍しく作品に寄り添ったいい解説だったとも思う。

内容(「BOOK」データベースより)





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最終更新日  2016年05月07日 13時26分04秒
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