桜の森の満開の下

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とも@ Re:ママ(11/18) この物語はおもしろいです。
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saku5319 @ はじめまして  可愛い、お話。私も転校した事あります…

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2006.06.24
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カテゴリ: カテゴリ未分類
信楽焼置物・ぽんた狸 0626祭5

 今夜は奥道後に住むある古狸の話をしたい。この古狸、古くは聖徳太子も騙したことがあるという化け上手で、狸界ではちょっとした権威だった。騙される人間どもが悪いのだと豪語するこの古狸の容赦ないやり方は、時に他の狸から非難されるほどだった。
 ある日、桃の入った籠を胸に抱えて歩いてくる少女が古狸の目に留まった。桃が大好物だった古狸は、少女をおどかしてぶんどってやろうと考えた。熊に化けた古狸は、少女が近づいてきたのを見計らって物陰から飛び出した。だが、少女はちっとも驚かず、熊の前で静かに立ち止るのだった。面食らった古狸は、少女に問うた。
「おい、俺は熊なんだぞ、怖くないのか?」
 少女は落ち着いた口調で答えた。
「怖くなんかないわ、だってあたしはあなたの心の中が見えるもの、あなたはほんとは寂しいの、寂しいから、誰かにかまって欲しいから、だから人を騙すの、あなたはほんとは、誰も騙したりなんかしたくないはずよ」
 少女は盲目だった。熊の姿など見えていなかったのだ。
 本当に大切なことは目には見えないんだよ、あるフランスの作家の書いた言葉を、キーボードを叩きながら私は思い出した。





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Last updated  2012.04.11 15:25:51
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