桜の森の満開の下

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はんびゃーぐ @ Re[1]:ママ(11/18) ともさん >この物語はおもしろいです。 …
とも@ Re:ママ(11/18) この物語はおもしろいです。
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saku5319 @ はじめまして  可愛い、お話。私も転校した事あります…

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2006.07.02
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「冗談だろ?」
 昨日の夜、家業を継ぐため実家に帰る決心をしたことを告げると、飼い猫は驚きの声を上げた。
「しょうがないんだよ、親父ももう歳だしさ、最近ちょくちょくクレームが入るっておふくろも言ってたし、俺が帰んなきゃ、もう回んないんだよ」
「・・・決心、固いのかよ?」
 私が頷くと、飼い猫は猫とは思えないような深い溜息をついた。その深さのわけを私は知っている。飼い猫には、この町で知り合った恋人がいるのだ。実家に越すことになれば、その恋人ともう会えなくなる。遠距離恋愛なんて便利な選択肢は、猫の世界にはない。つまり私は飼い猫に対して、遠回しに恋人と別れろと言っているのだ。
「心配すんなよ、おまえはほら、雑種のわりには毛並みもいいんだし、すぐに新しい彼女が見つかるさ」
 口にしてから私は後悔した。飼い猫は黙り込み、背中を見せて丸くなった。しばらくして飼い猫は発熱し、私は一晩中看病した。
 冷やし枕に気持ち良さそうに頭をごろごろさせている飼い猫に向かって、私は言った。
「もしあれだったらさ、おまえはこの町に残ってもいいんだぜ、そうすっと、新しい飼い主が見つかるまでは、ノラ猫になっちゃうわけだけどさ」
 飼い猫は頭を動かすのをやめ、熱っぽい目で私を見た。
「ノラ猫なんてやめてくれよ、モテなくなるじゃねえか」





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Last updated  2006.07.09 18:37:09
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