桜の森の満開の下

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はんびゃーぐ @ Re[1]:ママ(11/18) ともさん >この物語はおもしろいです。 …
とも@ Re:ママ(11/18) この物語はおもしろいです。
はんびゃーぐ @ Re:はじめまして(06/29) saku5319さん > 可愛い、お話。私も転…
saku5319 @ はじめまして  可愛い、お話。私も転校した事あります…

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2006.07.12
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アオザイ刺繍ブラウスAS-005

仕事でベトナムのホーチミンに出かけた。戦争でアメリカに勝った過去を持つベトナムの国民を、私は尊敬している。ベトナム人もまた、戦後驚異の復興を遂げた日本人に敬意を払ってくれる。日本の電化製品と自動車は世界一なのに、どうしてアメリカにへいこらするんだ? と彼らは不思議がる。アメリカなんか相手にしなくても生きていけるよと。
 だが、ベトナムはベトナムなりに、社会主義国としての悲しい側面を持っている。
 夜、ホーチミンの郊外を歩いているとき、アオザイを着た少女にシャツの裾を引っ張られた。
 少女は十三歳で、ミンと名乗った。日本円にして三千円でどう? とミンは交渉してくる。外国人相手の売春である。日本と違うのは、ミンが遊ぶためではなく、生活のために体を売っている点だろう。
 私は悲しくなり、首を振って歩き始めたが、ミンはしつこかった。
 ミンが二千円まで自分の値段を下げたとき、私は立ち止まって提示額を彼女に支払った。行為が目的ではなく、ミンから開放されるためである。そのことを察すると、ミンはかなり驚いていた。
「あなたみたいな日本人は初めてだ、みんなお金を払ったら必ず体を求めてくる」
 英語と日本語とベトナム語で、ミンは言う。私は何も言えず、苦笑いを浮かべる。ミンは更に言葉を継いだ。
「あなたは大変珍しい、だから、特別に呪わないであげる」






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Last updated  2012.04.15 13:35:18
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