桜の森の満開の下

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はんびゃーぐ @ Re[1]:ママ(11/18) ともさん >この物語はおもしろいです。 …
とも@ Re:ママ(11/18) この物語はおもしろいです。
はんびゃーぐ @ Re:はじめまして(06/29) saku5319さん > 可愛い、お話。私も転…
saku5319 @ はじめまして  可愛い、お話。私も転校した事あります…

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2006.09.03
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シチズンプロマスターエコ・ドライブ電波時計【税込】 PMB56-2883 [PMB562883]

十年ぶりに故郷の町の土を踏んだ。
 来年こそはと思いながら、盆も正月もない仕事に忙殺され、生まれ育った故郷をずっと省みなかった。
 ここのところ、仕事に行き詰っていた。才能という壁にぶち当たり、それを超える術が見つからなかった。悩んでいた。苦しかった。気がつくと私は、故郷に帰る深夜バスのチケットを手にしていた。
 町は、生きている。十年前の記憶とシンクロしない建物が町のあちこちに建っていて、私を戸惑わせた。町はまるで、長年帰省しなかった私を責めるように変貌を遂げていた。
 長年の不義理を思うと実家にはなかなか足が向かず、私は迷子のように夕方の故郷の町を歩いていた。道ですれ違う見知らぬ顔の数々が、時の流れと疎外感を私に感じさせた。
 ふいに遠くのほうで、記憶をさかのぼる懐かしいメロディーが流れ始めた。立ち止まって、耳をすませた。間違いない。小学校の下校時間を報せる音楽だった。十年経った今でも、それは変わっていなかったのだ。
 懐かしいメロディーに浸りながら、私は実家に向かって歩き出していた。歩きながら、腕時計を外してポケットにねじ込んだ。時間など気にしたこともなかったあの頃のように。








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Last updated  2006.09.03 14:36:45
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