T・K's DAY CARRER

Jun 13, 2005
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カテゴリ: カルチャー
「二十歳の原点」の高野悦子の日記。
1962年1月から日記を書き始め「小百合」と日記に名前をつける。
これを読んだのは、昭和54年である。明るさから、ニヒリズムへと変化。

「独りであること、未熟であること、
         これが私の二十歳の原点である。」

・1969年6月24日未明、鉄道自殺

「二十歳のエチュード」は原口統三の小さな3つのノートに記されていた繰り言。
私には難しく、理解に困難な箇所もある。

しかしシニカルで、読む人を自己投影させてしまう。

「表現は所詮自己を許容する量の多少のあらわれにすぎぬ」
「誠実さは常に全き孤独の中にある」

         この箴言の前に、謙虚であろう。
         それはこのエチュードを止めて抛り出すことだ。
         そして、僕を含めてすべての人に貼り付けていたレッテルを
         はがしてしまうことだ。

僕はもう自分を誠実であったと言うまい。
沈黙の国に旅立つ前に、深く謝罪しよう。
「僕は最後まで誠実でなかった」と。

・1946年10月25日深夜、入水自殺 19歳10ヶ月

Dear Kitty,(親愛なるキティ)の呼びかけで始まるアンネの日記。
1929年6月12日に生まれて、将来への夢、友情、恋が、ホロコースト(ユダヤ人に対する大虐殺)な状況で、「隠れ家の中で」記されている。
はじめは、同性に対するあからさまな感情や、異性からの賛美が記されている。
それが、ある時期から、叙情的に自己を記すようになる。


「・・・・・周囲のみんなの役に立つ、あるいはみんなに喜びを与える存在でありたいのです。わたしの周囲にいながら、実際にはわたしを知らない人たちにたいしても。わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること! ・・・・・

 書いていさえすれば、なにもかも忘れることができます。悲しみは消え、新たな勇気が湧いてきます。とはいえ、そしてこれが大きな問題なんですが、はたしてこのわたしに、なにかりっぱなものが書けるでしょうか。いつの日か、ジャーナリストか作家になれるでしょうか。

 そうなりたい。ぜひそうなりたい。なぜなら、書くことによって、新たにすべてを把握しなおすことができるからです。わたしの想念、わたしの理想、わたしの夢、ことごとくを。」

・1945年3月1日強制収容所で病死

※スウェーデンのディトライブ・フェルデラー(Ditlieb Felderer)
とフランスのロベール・フォーリソン(Robert Faurisson)によってまとめられた
証拠は、この有名なアンネの日記が捏造文書であることを最終的に確定した。
※1958年に始まったローラー・スティーロの裁判でアンネの筆跡鑑定が行われて日記が本物だと認定された。

アンネの日記増補新訂版
―2種類の「アンネの日記」の存在。その2つを編集した完全本。
アンネの童話
書き遺していた童話とエッセイ


自己を記している日記には、漱石などもいるが、高野悦子や原口統三は、自殺。
「孤独」という言葉やニュアンスが受け取られる。
予期せぬうちに孤独になったのが高野悦子。
孤独、マゾヒズムを自らレッテルに使用したのは原口統三。
アンネ・フランクは病死である。15歳だった。
なんて「生」に溢れている日記なのだろう。アンネ・フランクの文脈は。
やはり「生きる」という情熱がそこにある。
「そうなりたい。ぜひそうなりたい。」
アンネ・フランクの言葉がいまでも聞こえるではないか。
「わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!」
それは「それでも人生にYESと言う 」の著者V.E.フランクルと交差する。






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Last updated  Jun 13, 2005 05:01:34 PM
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アンネ・フランクの日記  
ペーター? さん
きっと女性の方が、よく読んでいる作品だと思います。(差別ではなく)
ただ、ピーターかペーターがでてきて、迫害中に恋をするようになる。
じつは、自分が生まれた年代です。他国は、そういう問題をいくつも抱えていた。
ちょっと読んでみようか。 (Jun 13, 2005 06:10:36 PM)

2度読みました  
オットー さん
最初は中学のときでしょうか。
最初のすべりだしが、自分のことを吹聴しているカンジで投げ出したような・・・
娘が思春期になり、読んでいるので、自分も一緒に。娘は、アンネへの思いが多く、私は、アンネをとおして、当時同じ思いを抱きながら収容されていた人々へ思いが馳せました。 (Jun 13, 2005 06:22:14 PM)

名前  
miss さん
高野悦子も、アンネも日記に名前をつけていたのですね。
ブログなどとちがい、人に見てもらうつもりではなかったことで、「真実」を記していたでしょうが、
やはり「こころ」だけに記したものもあったでしょう。ただ、アンネは、出版用と2種類用意していたと記憶しています。 (Jun 13, 2005 07:29:59 PM)

安易に死を選ぶ青少年の問題  
ポパイ さん
安易に死を選ぶ青少年の問題は、いつの時代もあったのですよね。
原口を「青臭い」と思った時期もあったのですが、あれほど「斜め」に自分を見れるなんて、ある意味、凄みを感じる。 (Jun 13, 2005 07:44:27 PM)

半世紀前  
深代氏から稲田 さん
連合赤軍と高野悦子というサイトがあります。
原口統三は、フランス文学の傾倒者という印象があり。ランボーやニーチェなどやたらとでてきたような。
結局、T・K氏が「レッテル」や「ラベル」に「自分流」という「拘り」が大切なものを見落とすという投稿をしていたが、そういう結末がここにあったのだろうか。
アンネ・フランクの日記は読んでいない。 (Jun 14, 2005 12:12:34 AM)

自己を知る  
2222 さん
自己を見つめている3人にちがいは、高野悦子は「孤独」から自分という存在を認められないもどかしさを感じ、原口統三は、才能があるのにもかかわらず、自分の期待値より、現実とのギャップがあったのではない?(孤独感の測定値から)
唯一、アンネ・フランクは「自分」というものを信じ続けていたのではない? (Jun 14, 2005 01:16:08 PM)

自分を信じる  
朝日と日経とってます さん
2222さんのコメントに、「唯一、アンネ・フランクは「自分」というものを信じ続けていたのではない?」とあります。
アンネは2年程の日記(13歳から15歳)ですが、はたして、高野や原口のように、19歳前後に、「絶望」という「扉」を開けるなら、その「信じる力」は存在し続けるのでしょうか。 (Jun 14, 2005 01:43:19 PM)

もしかして  
自分流 さん
最後にフランクフルをさりげなく引用したのは、トラックバックにもある、「観点の置き換え」でしょうか。「なぜ自分は孤独になったんだろう。」から「この孤独という状況の自分への意味は何か」ということですかね。 (Jun 14, 2005 02:20:43 PM)

アンネフランク(11/12)  
「松谷みよ子」に、上記の内容について記載しました。
もしよろしかったらaccessしてみてください。



(May 7, 2021 11:28:00 AM)

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