ショーは時間より少し遅れて始まった。 私はニールヤングが新しいアルバムを作っていたことなんて、知らなかったのだ。 オープニングの曲は「Flag of Freedom」。ステージに立っている「CSN&Y」は少なくとも、もう、60歳中頃だと言うのにこの4人が奏でるギターやコーラスはそんじょそこらの若造グループなんかが立ち向かえるものではない。ショーはどんどん進んでいき、「Living with war」と言う曲を彼らが演奏し始めた時、後ろのスクリーンに映し出された映像を私もだんなはもちろん、観客の全てがきっと、吸い込まれたかのように見つめたことだと思う。
スクリーンにはCNN(アメリカの政治ニュース番組)をもじり、代わりに「Living with War」の頭文字をとってLWWとロゴが入り、CNNが放送するような「いかにアメリカが大切な戦争をしているのか。」といった現像ではなく「2006年6月までに何人のアメリカ人が戦争で命を落としたのか。」という、反戦を強調した映像だったのである。60年後半に生まれたこのバンドのことだから、多少はメッセージ色の強いコンサートであろうとは思っていたが、このスクリーンには驚かされた。しかも、このメッセージ色はショーが進むと同時にどんどん強まっていったのである。 ファーストセットが終わる前に彼らが演奏した「Families」ではスクリーンに戦争で命を落としていった数々の兵隊達の写真が映され、曲の素晴らしさも手伝って、みんな涙ぐんでしまうほどだったのだ。「Deja vu」で一旦幕が下り、ナッシュが「次はアコースティックだよ!」と叫んで立ち去った。私たちは「彼らも年だし、セカンドセットはやっぱりちょっとゆっくりしたいのかな。」なんて失礼なことを言いながらも、ファーストセットの素晴らしさを語り合ってセカンドセットが始まるのを待った。