まった~り行こうぜ!

まった~り行こうぜ!

2004.11.11
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カテゴリ: 仕事
僕は3年程前に事実上の倒産会社を買い取り再生しました。

この買い取った会社は昨日で27歳になりました。
無事に社歴27年目を迎えたのです。


本当なら24歳のときに死んでいた会社でした。

皆の頑張りのおかげで、今では立派に蘇ったと言えます。


前経営者の奥さんはずっと経理をしていました。
僕が買収してからも2年ほど経理を見てくれていました。

そして、その奥さんから
「会社はもう立派に立ち直りましたね」という言葉をもらいました。



今では金融機関の評価もよくなる感じです。


なぜ再生できたのかをちょっと書いてみます。


ポイントを集約すると、儲かるようにビジネスをする。
ということになるのですが、もう少し細かく見てみます。


債務整理もしましたが、この辺はとりあえずおいておいきます。
言葉一つひとつや知識がノウハウだと思うので、とても書ききれません。
知りたい方はメールでも下さい。

まず前経営者(以下、Y社長とします)と僕がやったことの最大の違いは粗利を大きく変えたことです。
逆に販売管理費とりわけ人件費は向上しました。


僕はスタッフにも少しでもいい生活をさせたいという思いがあったのと、
人をボロ雑巾のように使い捨てにするのは嫌いなので



そのかわり仕事ができない人間は、ある程度で見切りをつけ
首にしたこともあります。
またそういう人間は給与は低くしたままです。

メリハリをつけました。


トータルでは人件費が倍にUPしていますが

Y社長が独占していた役員報酬がなくなっただけの話なので
たいした問題ではありません。

それよりもできる人間を確保しておくことの方が重要でした。

さて粗利の話しに戻ります。


Y社長の場合、
概ね粗利3~4割程度で推移したビジネスモデルでした。

僕は一気に8割周辺まで向上させました。

なぜ一気に8割まで向上させたかというと、
そうしないと負債で潰れたからです。


もう一つ。
IT会社からはじめたので、粗利が低いことに単純に疑問があったからです。

どうやって8割にしたかというと、
いろいろあるのですが、ひとつあげるとすれば
新商品の投入を思いっきり少なくしました。


粗利を向上させることは
どんなビジネスでも商材ごとに考えれば、僕は充分可能だと思っています。


当時、新しく入ったスタッフ、手伝ってくれていた前スタッフからは
そんなんでは会社は潰れてしまうと、疑問と非難が大きくでました。

でも今ではこれだけ仕入れを抑えても商売が成り立つことを
目の辺りにして納得しています。



もう一つはキャッシュフローを改善したことです。

・キャッシュフローを悪化させるような仕事は徹底して受けない。
・粗利の低いハイリスクな仕事は受けない。

この2点を断行しました。

これにより減収増益を経験しました。

目の前にぶらさがった仕事を断るのはけっこう勇気がいりますが、
何度も自分で決めた基本方針を頭に思い浮かべ、繰り返し
仕事を涙を飲んで断ってきました。

ちなみに完全に関係が切れないよう断り方も重要です。


売上至上主義なら、一気に多くの年商も稼げそうな仕事でも
苦渋の決断で断った経験も何度もあります。

あくまでも利益主義です。

売上至上主義なんて、大企業の殊にトップシェア企業だけが
許される政策です。


とにかく営業利益を稼ぐためには、当たり前ですが
まず売上、次に粗利をよくしないとなりません。

でも粗利を悪化させる売上を蹴る、切る、やらない。これが大切です。
そして別ベクトルで粗利の向上、すなわち仕入れの大幅カットです。

仕入れを大幅にカットするのは物量的、物理的な話だけではありません。
重要なのは財務的な視点です。
仕入れのお金を減らすということです。

それでビジネスが成り立つように設計します。
設計なんてきれいな言葉より、やりとおす、考え抜く、それを守る
と言ったほうがいいかもしれません。


顧客に関しては、限られた経営資源の中で
全力で既存客のフォローに徹しました。

絶対に顧客は減らさないという一心で
新規獲得は一切しないぐらいの勢いでとにかく既存客フォローです。

この取り組みで失客率は0.3%でした。
今から思っても、この数字はいい数字だと思います。


ある程度顧客へ充分な対応ができるようになってから
新規獲得へはじめて手をつけました。

既存客に集中すれば集客コストが掛からず、仕事を増やせるので
与えられた経営資源、環境の中ではベストの判断だったと思います。


大幅な利益増になっても、
顧客利益にも一切反しないと考えています。

最大の理由は
倒産し、得意先に商品、サービスを提供できなくなるのが
顧客利益に一番反することであり、
それを回避することが最大の顧客利益となるからです。


次に財務内容が強化されてはじめて、よりよい商品、サービスの開発と提供が可能になります。
これを通じて顧客利益として還元するべきで、このベクトルが本来の商売だと考えています。
それとてさらに次のために利益重視を通します。

ろくな利益がなければ、スカスカの商品、サービスを顧客に提供し続ける事になります。


それと単なるプライスダウンは顧客利益とは思いません。

利益とは売上-コストで生まれてくるだけでなく、
原価+付加価値で生まれてきます。

プライスダウンは付加価値の仕事をしていないベクトルなので
怠けているのと同じです。

プライスダウンは自社でもやりますが、それよりも
付加価値をどうやってつけるかと考え実践し、そして対価を頂く方が
何倍も顧客利益になると思います。
顧客がそれで対価を支払ってくれるのなら、満足している何よりの証拠ですから
僕はそれでなんら問題ないと思っています。


ちょっとここでとある分析を紹介したいと思います。

そのまま転載しちゃいます。
小売業界の分析です。他の業界でも考え方として参考になると思います。
     - - -  - - -  - - -  - - -

小売業は「粗利」「人件費」「店舗設備費」の三つで、営業利益が決まります。1997年には、
小売業の売上は、新しくオープンした店舗も含めて、マイナスとなりました。
経常利益は10年前くらいと同じ水準に落ち込んできています。経常利益率も1.6%と、
長期的に下がり、損益分岐点で見ると、92~93%で危険水準です。 
では、なぜ経常利益率が落ちているのでしょうか。
粗利、人件費、店舗設備費の3点から見てみましょう。 
まず粗利ですが、実は、粗利は横ばいで下がっていません。
ですから、減益の原因は粗利ではないことになります。では何が悪いのかというと、
販売管理費が上昇しています。特にGMSでは目立ち、今まで20数%だったものが30%を超しています。
販売管理費は大きく分けて、人件費と設備費の二つからなります。
どちらが上昇しているかというと、人件費は横ばいです。


一人当たり売上は、人を減らしている分、上がっています。
今まで日本の小売業は人が多すぎたので、減員していますし、
さらにもっと減らせるでしょう。一人当たり人件費は、
パート化を進めることで、人件費コストを抑えています。

では、何が上がっているかというと、設備費です。
これが、日本の小売業で利益の上がらなくなった原因です。
では、なぜ上がっているかということを、
コストと生産性の二つの要因から考えてみましょう。

坪当たり売上が、急激に落ちています。
これが最大の要因です。
コストは、契約条件を変えるなどして、かなり下がってきています。

そこで利益をいかに上げるかのポイントについてですが、
まず粗利のアップをしなければ生き残れないでしょう。
スペース生産性が下がるために、設備比率は上がります。
なぜスペース生産性が下がるのかというと、消費が拡大しないのに、
売場面積はどんどん増えているからです。
10年で1.3倍のスピードです。
ですから、スペース生産性は下がります。
そこで、粗利をアップするしかないのです。
しかし、価格を上げて、粗利アップを図るわけにはいきません。

そこで、商品をプロパー(通常価格商品)と、
プロモーション(特売価格商品)の二つに分けて考えてみます。
どちらを重視するかというと、プロパー売上比率を上げていく必要があります。
そのためには、ストアロイヤリティを上げることです。
つまり「この店が気に入っている」というお客様を増やすこと、
もう一つは物流システムを考えることで、プロパー粗利を上げることです。

人件費は、パート化比率を上げて対応し、
そして、一人当たり売上については、
少人数でマネジメントレベルの上がる仕組みを考えることです。
これはもう、組織改革です。

イトーヨーカ堂、セブン-イレブンは、コストをかけていますが、
消費者ニーズにきめ細かく対応することで、スペース生産性を、
より以上に上げているのです。セブン-イレブンなどの成功のポイントは、
徹底した個店対応と単品管理にあります。
単品管理をやるためには、売場の人が“商人”になることです。



   - - -  - - -  - - -  - - -




粗利を大幅にUPし、人件費は横ばい。
これだけのことをすれば必ず営業利益がUPする仕組みになっています。

売上-コスト=利益
という観点に、粗利UP、人件費横ばい、設備抑制のキーワードで考えるといいかもしれません。

僕は逆に失敗したこともあります。

粗利が9割のビジネスもしていますが、このビジネスは人件費が高く営業利益が殆ど出ません。

労働分配率、一人あたりの生産性の限界の関係で
営業利益を大きく出せないのです。

このビジネスの場合は、一人あたりの生産性と粗利を上げるよう取り組み中です。



それともう一つ。
価格政策に関して。

失敗したY社長のビジネスをやらせてもらって学んだことです。
Y社長は25年間社長業をしていた人なので、多くの学びもありました。
そのひとつが価格政策です。

零細には使えると思います。
とっても簡単です。


簡単にいうと、業界平均、同業他社の1.5倍の価格設定。
これだけで差別化の出来上がりです。

1.5倍周辺がベストだと思います。

あとは少しの演出で充分、顧客は差別化を認識すると思います。

2倍までいくと、相当の経営努力が要求されます。

低価格戦略で一気にシェア拡大という手もありますが、
ある程度資本ができてから、カテゴリーを変えて着手しても
何も遅くありません。


実際にどこまで商品特性に差別化を盛り込むかは
利益率を勘案しながら決めればいいと思います。



そしてここが知恵の使いどころですが、
儲けるためには細かい価格設定が重要です。


あれもこれもイチキュッパとか、シリーズで似たり寄ったりにするのではなく、
とにかく一つひとつ細かく価格設定をすることが大切です。

ここで手を抜いてはいけないと思います。
一番重要なところです。


えっそんなものまでお金を取るの?というくらい税金を見習う気持ちで
値段をつけることをオススメします。


ライバル企業と比べて同じような商材で価格を上げてありますから
それだけで、体力が強くなります。

あとでじわじわボディーブローとして相手にも効いていきます。

高い上代なので販促政策でも大活躍。つかいどころは多いです。


再生できた理由は粗利などもとっても重要ですが
何よりもU君との出会いも大きかったです。

27周年を迎えたことに
「頑張ってきたね!」とU君とも苦労を分かち合いました。
でも握手はまだしません。

この会社もこれからが本当の勝負にだから、固い握手はまだお預けです。。。

人材こそ宝です。

と、好き勝手に書いてみました。
では。





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Last updated  2004.11.11 13:06:46
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