ウンとかスンとか mamatamの日記

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2016.12.31
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カテゴリ: 文楽
第2部、昨日の続きです

塩埜家の断絶のためうやむやになっている縁談を進めようと鎌倉から京山科の大星家を目指して旅をしています。
希望と不安がないまぜの道行きですが、背景の書き割りがパタンパタンと富士山から琵琶湖に変わったり、奥を行く大名行列が見えたり、一休みした戸無瀬の煙管から煙が出たり、母と子の赤面モノのガールズトークがあったりと、この「道行旅路の嫁入りの段」は、緊迫した後半のちょっとした息抜きになっています。
一方、こちらは京山科の大星家、雪転し(ゆきこかし)の段です。
祇園からたくさんの取り巻きを連れて大星が雪玉を転がしながら帰宅します。
由良助は一杯機嫌で寝てしまいますが、取り巻が帰って静かになると起き上がり、力弥と仇討の相談を始めます。
あまりのんびりしていては忠義の心も雪のように融けてしまうと焦る力弥に大星は、転がしてきた雪玉を連判の47人にたとえ、自分たちは主なしの日陰者だが、雪玉も、日陰に置いておけばなかなか融けないものだと諭します。
ん~~ん、なるほど。

戸無瀬と小浪が大星家に到着し、祝言を申し出ます。
大星の妻お石は家老と浪人の家では釣り合いが取れないので縁組はなかったことに、と言います。
そう言い放ってお石が席を立ってしまうと、縁組がかなわないのならふたりとも死のうと戸無瀬が刀を振りかざします。
すると、婚礼の準備を整えたお石が戻ってきますが、婚礼の引き出物として加古川本蔵の首を差し出すようにと要求します。
そこに、先程から玄関前で尺八を吹いていた虚無僧が「首をあげよう」と入ってきます。それは加古川本蔵でした。
首がどうのこうのは武士の言いぐさ。主人の敵をとる気もなく遊興にふけって大酒を飲む奴の言う事じゃないでしょう。日本一のアホの鑑だね。息子も蛙の子は蛙だろう。婿なんてこっちからお断り。小賢しい生意気な女め。
と、大星から力哉、お石にまで言いたい放題の悪口雑言をまき散らし、お石にも暴力をふるう加古川を、激昂した力弥が槍で突きます。
とどめを刺そうとした力弥を部屋に入ってきた大星が止めます。
これは加古川の計略だ。婿に殺されて本望だろうというのです。
本蔵は、大星の振る舞いが相手の気を緩ませ、時間を稼いで人数を集めるための計略だと見抜いていました。
そして、今の大星たちの立場に自分がいたかもしれず、賄賂を贈ったことも、刀を抜いた塩谷判官を止めたことも、全て自分の過ちだったと言います。

それを聞いて、大星は、仇討ちを遂げようという本心を告げ、そののちは他家への士官はせずに自分たちも果てる覚悟を示します。
それを見て、力弥と婚礼をあげても、必ずすぐに後家になる運命の小浪の行く末を慮っての破談だったと、戸無瀬と小浪にもようやくわかります。
本蔵は苦しい息の下、師直の屋敷の図面を引き出物として差し出し、図面はあっても雨戸を破るのは至難だと告げます。
しかし大星は庭の竹を使って戸を外す仕掛けを見せ、本蔵は「これ程の忠義と計略を持つ素晴らしい家老がいながら、塩谷判官はどうしてあんな浅慮(浅きたくみ)をしたものか。本当に残念な方だ」と嘆きます。
本蔵の死の後、この図面さえあれば討ち入りは出来ると本蔵の虚無僧装束を借りて大星は堺に向けて出立します。

力弥以外の人に嫁ぐ気はないと言い張る小浪、血がつながらないからこそ娘の思いをかなえてやれないのなら死を選ぶと思い詰める戸無瀬、討ち入りの後、たとえ許されても自害するであろう夫と息子の心を知って、小浪の行く先を思えばこそ夫であり父である加古川本蔵を罵ってまで縁組を拒む力弥の母お石、さらに主君のためを思い、塩冶判官のためを思いながらすべての行動が裏目に出て、強い後悔に苛まれる加古川本蔵、その本蔵の命を賭した肩入れにとうとう本音と秘策を明かす大星由良助。
人間ですら難しい、これらすべての人物の想いの裏と表を、文楽人形の、小さな仕草で表現してみせる人形遣いさんの技術は素晴らしいものですが、たった一人で余すことなく語ってみせる太夫さん、それに息を合わせてサポートする三味線方さんの芸にも本当に感動しました。
屈指の難曲と解説にありましたが、その通りだと思います。
わたしの一番の気に入りの太夫さんである、千歳太夫さんが前段を語りました。
情感豊かで、舞台の上の人間模様にすっかり引き込まれてしまう語りでした。
三味線は豊澤富助さん。
わたしは三味線の事は全くわかりませんが、何か包容力というようなものを感じさせる三味線でした。
次は、天河屋の段。
歌舞伎やドラマでは天乃屋利兵衛ですが、文楽では天河屋義平です。
堺の商人、天河屋義兵の店先。夜。
船頭と偽って店を開けさせたのは、塩谷浪士たちのために討ち入りの武器を調達している咎を言い立て長持ちの中を見せろと迫る捕り方達でした。
義平はこの長持ちの中のものは、ある大名の奥方から注文を受けた品物だから開けたらあんた方もただじゃすまないよと言い張り開けようとしません。
捕り方は幼い息子を人質に取り、開けなければ殺すと迫りますが、義平は開けろと言われた長持ちの上にどっかと座り、捕り方を女みたいなとせせら嗤い、命なんか惜しくない、息子も突いていいぞといいます。
そして、そこであのカッコいいセリフが、出ました!!
「湊堺の町人の、男の中の男一匹、少しは知られた顔面(つらおもて)、天河屋の義平は、へへ、男でござる。」
捕り方は、それ殺してしまえと詰めかけますが、その時長持ちから出てきたのは大星由良助でした。
大事を前に、町人である義平が本当に信頼に足るかを信じきれないでいる同士のため、不本意ながら義兵を試したと、疑ったことを詫び、寸志を受け取ってほしいと言います。
義平はそれを金貨だと思い、気を悪くして投げ返しますが、そこから出てきたのは、大事が漏れるのを恐れて離縁した妻への去り状と、再縁はしないという証に髪を降ろしたための妻の切り髪と櫛笄でした。
大星は二人の立派な心映えを褒め、復縁を勧めます。
そして、義平の忠義に応え、討ち入りの際の合詞に「天」「河」を使うと約束して東に向かいます。
この段だったと思いますが、三味線がね、すごかったんですよ。
まるでロック。ギュ~~ンとか言いそうで。で、三味線さんの合いの手もメッチャ気合が入っていて、もうカッコいいのなんの。
ただ、見るところが多すぎて、この方だったかどうか、よく覚えてないのです。
この段はああいうひき方が普通なのかどうか、CD買って調べたくなりました。
さて、映画となどと違って、文楽には討ち入りの場はないのです。最後は「花水橋引揚の段」。
見事師直を打ち取った四十七士が菩提所へと引き上げてくる場面です。
馬に乗った桃井若狭介が駆け付け、義士たちを褒め、追手がきたら自分が留めておくと約束します。
大星は、「これは有難し忝し。ご厚意受ける今の身のやがてお礼は冥途より。さらば」と言い、桃井と別れて行きます。
かっこよすぎますね。
あ~~、お疲れ様でした。
終わって外に出るともちろん真っ暗。冷たい風が吹き抜けていました。
でも、興奮してたのか私はあまり寒さも感じず、幸福な思いで家路につきました。

最後の最後まで長~~い日記にお付き合いさせてしまい申し訳ありませんでした。
今年のブログはもちろんこれが最後です。
皆様良いお年を。
来年もよろしくお願いします。

追加
そう言えば、今年の紅白のトリ、石川さゆりさんの天城越えは文楽とのコラボだとの投資部長2さんから情報提供がありました。
ぜひ見てみたいとは思いますが、本日も相変わらず夫がテレビの前でずっと格闘技を見ています。見られるかな?





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最終更新日  2017.01.09 17:41:16
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