世の中には奇抜な発想で仕事を始める人がいる。名付けて、 くらやみレストラン 。これが 視覚障害者 の雇用促進のパワーになっている。
これはスイスのブラインド・クーが発祥で、今やロンドン、ニューヨーク、上海と世界的に広がっている。ブラインド・クーでは、お客は 受付で料理を注文する 。セットで何千円ではない。一つ一つ 注文を受けてから料理を作る 。この辺が細かい。受付には灯りがついていて、一人ひとりの確認が行われる。しばらくして「○○さん、ご案内」という声とともに、ガイドが現れて、カーテンをくぐって室内に入る。このガイドは、なんと 視覚障害者 である。彼女はウェイトレスでもある。複数のお客さんは前の人の肩に手をかけて並んで入る。中は真っ暗である。顔も見えない。お客は不安な気持ちになる。先頭を行くガイドが声をかける。「ゆっくり移動してください。肩から手を離さないで」。この声かけで緊張がほぐれる。
席につき、注文した料理が運ばれる。まず感じるのが 料理の香り、匂いだ 。普段感じないことに 敏感 になっている。フォークとスプーンを手渡されるが、料理がどこにあるかわからない。匂いのする所だ。そのあたりにフォークを突き差すと何かがひっかかる。口にいれるとスパゲッティーだ。何人かで来たグループは賑やかだ。人の声がしないと落ち着かない。普通のレストランと逆の現象が現れる。何か相手に話さないといけない。そんな心理状態になる。 声だけが存在証明 なのだ。口下手でなどと気取っていられない。そばにいる人とコミュニケーションをとることが強要されているようだ。これがくらやみレストランの魅力になっている。食事の提供と共に来た人との コミュニケーションの促進 。普段意識しない感覚が鋭敏になる。ついでに視覚障害者への理解。視覚障害者は見えない状態で食事をスイスイ行っている。どうしてこれが可能なのか。レストランを出る時、こんなことに気づく。ガイドになぜ食事のテクニックを聞かなかったのか。
日本には常設のお店はないようだ。散発的に行われているのはイベントとして行われている。スイスのお店はマネージャー(店のオーナー)、ガイドの女性が視覚障害者で、料理を作る人と受付が晴眼者である。ここは予約をしないと入場ができないほど人気のお店になっている。
店の大きさは? テーブルはいくつあるの? 料理は何種類くらいあるの? 床はこぼしても大丈夫? テレビの取材陣はなにも取材していない。なにもわからないのだ。なにしろ 真っ暗闇の取材 なんだから。
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