冒頭の「Step into the Future」のイントロがとても印象的です。一瞬、これはジャズかはたまたR&Bか?!と思わせる、力強いピアノの音色は、一気にこちらの心をぐっと引き寄せます。 そしてScottの少しハスキーな声がとても良く合うのです。セクシーなファルセットがいっそうそれを引き立てて、単なるピアノSSWの域を脱しているなあと思いました。 Ben Foldsや、雰囲気的にJason Mrazの3rd。素直でキラっとしたピアノソロは、同じレーベルからリリースされているGabriel Mannにも通じるような。 私が気に入っている「Shades of Blue」はR&Bでもジャズでもなく、真っ向勝負な歌モノ。素直すぎて涙が出そうです。かと思えば次の「3,000 Years」は、ブルーノートでも聴けそうな雰囲気のスタイリッシュナンバー。
最後を飾る「This Song」に、Scottがこのアルバムにこめた思いが集約されているように思いました。 「This song is for all the problems, all the problems I cannot mend」 愛、友達、夢…自分のそばにあるもの、これからやってくるもの、過ぎ去ってしまったもの、それらすべてに、Scottは自分の思いを語り、ときには激しくぶつけています。その思いの強さが、それぞれ個性豊かなこのアルバムの曲たちを、とっ散らかった仕上がりにしていない最大の要因かな、なんて思いました。