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アカデミーの国際長編映画賞やカンヌのグランプリ、英国アカデミーも取ってる「関心領域」を観てきました。アウシュヴィッツ収容所の隣、壁を隔てたすぐ向こう側にあるのは、所長であったルドルフ・フェルディナント・ヘス(副総統のヘスとは違う)の家。そこには妻や子供たちが幸せそうな生活を送っているのですが、彼らは全くと言っていいほど、壁の向こうに関心を払いません。美しく整えられた庭や豪勢な食事、幸せな家族…それらの営みが行われている向こうで、実に「自然に」、煙が上がり、収容者の悲鳴が聞こえ、あの列車が到着する。この対比が、ホラー映画以上に恐ろしい。身の毛がよだつとはこういうことを言うのでしょう。声を出さずに「マジか…」と思わずつぶやいてしまうくらいでした。そして、この映画のキモは「音」だと思います。冒頭から、低音で「ブーン…」って聞こえるんですよ。それが、幸せそうな家族の生活の中でも時折響くし、ラストでもしっかり聞こえる。これが怖い。それに加えて、エンドロールの音楽。警報のような音かと思いきや、聞いているうちに、悲鳴に聞こえてくるんです。それが最後まで続くんです。本当にしんどい。怖い。オッペンハイマーを観たときもけっこうズーンときましたが、関心領域はその比ではありません。後味はたぶん最悪の部類なんですが、考えさせられるところは多いし、なぜかもう一度くらい観てみたくなります。なんでだろう。あの気味悪さの意味を、もう一度考えてみたい。
2024.06.04
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先日より随時開催中の個人的Interpol祭りですが、彼らの7th「the other side of make believe」は、噛み締めるごとにその良さが毒のように身体に回っていく一枚だと思っています。AnticsやMarauderのような疾走感のある雰囲気が何より好きな私なのですが、このthe other~は、何度も聴いているうちに、また聴きたい、次もやっぱりまた聴きたいと思わされるようになっていったのです。その理由の最たるものが、アルバムの冒頭を飾る「Toni」。私はこのピアノ?の音に中毒性を感じるんですね。頭の片隅でずっと鳴り続けるようなあの音は、まるで軽やかなステップを踏んでいるようで。ついでに言えばPVのポールもガラが悪そうで好き。「Into The Night」の変則的な展開も、聴き込むほどにはまります。あくまで緩やかなのに、だんだんと奇妙なグルーヴに巻き込まれていくような感覚です。これぞシングル!的なずば抜けたキャッチーさのある曲がないのに(個人的にはGran Hotelも好き)、引き込まれてしまうのはなぜなのか。私が思うことととしては、まるでアルバム全体で一曲のように感じられるからなのかもしれません。Interpolらしいクールさの中に、熱い焔が静かに揺れている。そこから生まれる静かな高揚感が、何とも言えず私の心を滾らせるわけです。こういうロックもありなんです。ポールの特徴的な声と、まるで対岸にいるような感じで華麗にステップを踏むようなケスラー氏のギター、そこにグルーヴをぶち込んでくるサムのドラムス。最強じゃないですか。そりゃあ、カルロスがいたら…と思うこともいまだにあるけど。それにしてもどうして彼らは年を取るごとにカッコ良くなっていくのか。というか、私が好きなバンドはみんな、若いころより今の方が見てくれも音もカッコいいんです。あ、それは私も年を取ったからということなのか。でもやっぱり、Interpolは、ライヴとか見てても今がいちばんイケてます。
2024.06.03
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【輸入盤】 Good Omens 2 - Prime Video Original Series Soundtrack 【CD】私がアマプラに加入したのは、そんなに昔のことではありません。個人的に時間ができて、映画を観に行く余裕ができると、次はすでに公開の終わっている映画を観たくなったり、それに関連してドラマも…ということで、デヴィッド・テナント関係を主に見ていたのですが。ブロードチャーチとか暗いやつ。今回は、ステージド!で超仲良しを見せつけてくれるもはやお笑いコンビのようなデヴィッド・テナントとマイケル・シーンが共演している、グッド・オーメンズ。すみません、昨年から見始めました。ドラマを一気見できる集中力がないので、一話ずつ、本当にちょこちょこと見ていて、つい先日ちゃんとシーズン2まで見終えました。そして、私の想像のはるか斜め上以上を飛んでいくストーリー展開に、まさにお口あんぐりでした。これは…全世界の女子が…萌える…!内容は置いといて、デヴィッド・テナントの悪魔クロウリーは、語彙力の欠如を恐れずに言えば、超カッコいい。それ以外言えるでしょうか。赤い髪だし、たいていジャケットとスーツのセットアップを着てるんですが、それがほっそい脚を強調していてたまらない。いちいち仕草がツボ。マイケル・シーンの天使アジラフェルはとにかく可愛い。ちょっとぷくっとしてるところが可愛さを強調。三つ揃いが上品。……とはいっても二人ともいい年のオジ様ではあるんですが、なんかね、もう、母の気分で見守りたいです。主人公が天使と悪魔なので、聖書の世界観が盛り込まれているのもけっこう面白いし、回想シーンで出てくる歴史上の出来事とか、ロンドンの街並みとか、私の大好きなカテゴリーばっかりです。シーズン2のラストは、前述のとおりお口あんぐりなんですが、同時にすごく切なくなりました…。でも、続編撮影スタートするよ!のアナウンスがあったので、シーズン3を首を長くして待ちたいと思います。
2024.06.02
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白状すると、私はシューゲイザーというジャンルがそんなに好きというわけではなく、聴いたとしてもつまみ食い程度でした。たぶん、ヴォーカル強めの方がもともと好きなんです。なので、Rideに関しても、恥ずかしながら、ファーストのNowhereをちらっと耳にした程度の知識しかありません。むしろアンディ・ベルがOasisにいたことの方が馴染み深いくらいです。そんな私のファースト・ライドが、今回の「Interplay」。遅いですね。そもそもジザメリの新譜を試聴しようとしたらそれが壊れてて、隣にあったのがRideのInterplayだったんです。私の心を引っ掴んで走り出したのが、冒頭の「Peace Sign」。ヘッドホンで聴くと、両耳をつんざく轟音のギターサウンドなのに、メロディが限りなくメロディアスでポップ。この1曲で私の彼らへのイメージはまったく覆されました。たぶん、この曲はいろんな人の心に響くと思うんです。たまたま部屋に入って来た母が、「なんかすごくいいんじゃない、このバンド!」と言って、しばらく座って聴いていったほど。もちろん、Peace Signだけではありません。その後に続くLast Frontierの力強いリズムときらめくギターは、なんだか気持ちだけ若返ったようにワクワクしてしまいます。打ち込みとエレクトリックなサウンドがカッコいいMonacoもお気に入りです。Portland Rocksも実に正統派のギターロックで、こういうのを聴きたかったんだ!とガッツポーズを決めたくなります。私は他のRideの歌詞などを知らないので、他と比べることはできませんが、このアルバム全体を通じて書かれる詞がとても印象的で、胸に迫るフレーズがたくさんあったと思います(あまりにも多すぎて、ここに書き出すと終わらなくなってしまうので…)。イメージ的には、もがき、苦しみ、悩みながらも立ち上がろうとする姿。絶対に生き残ってやるという執念。もちろんそういう詞ばかりではありませんけれど、私の目を引いたのは、そんなニュアンスなのかな?という箇所が多くて。愛だ恋だ別れた辛い、そういう歌詞もたまにはいいけど、サウンド含めてじっくり向き合いたいのは、こんな詞です。さて、じゃあもう一度Nowhereから勉強し直しますか…!
2024.05.30
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先日レコードプレーヤーを買ってからというもの、ちょっとずつ買い足していこうという決意もあっさりと破られ、ちょっとずつどころではなくどんどん買い足されていくレコードの数々。とはいってもほぼすべてSuede関連なのが笑えますが…。BloodsportsなんてCDとレコードで3枚はある。もうすぐバニの新譜も来る。今からもう14年も前のことになります。Suedeの奇跡の再結成@ロイヤル・アルバート・ホールを現地に観に行きました。当時の自分の行動力は、今でも信じられない思いです。なんで行ったんだろう。すごいな自分。その後DVDが出て、もちろんちゃんと買いましたし観ましたが、感想もろくにアップされていないところを見ると、私はすでにそのころ暗黒時代に入っていたのでしょう。で、レコードです。欲しくなってしまったのですが、これがなかなか売ってない…。そりゃあそうですよね。売ってたとしてもけっこうなお値段。しかし先日、ラッキーなことに未開封のものをリーズナブルに手に入れることができました。内袋の写真がめっちゃカッコイイです…。5人みんなカッコいいです…。そして盤はクリアヴァイナル。なんか嬉しい。DVDでさんざん見ているので展開は読めるはずなんですが、introが流れ始めた瞬間、その時の興奮が妙にクリアによみがえり、思わずウルっときてしまいました。純粋に聴覚だけで思い出すのって、やっぱり感動の度合いが違うのかもしれません。一瞬で14年前にタイムスリップしました。killing of a flashboy~can't get enough~everything will flow~he's goneの流れが個人的に白眉です。前2曲のアレンジがカッコ良くて、flowのNeilのキーボードとコーラスがもうもうもう!ってくらいたまらないし、そこからの亡くなった友達に捧げるhe's gone。この曲をやったときの驚きと嬉しさと感動と涙は今でも覚えています。このライヴのおかげで今の彼らがあるのですから、感動もひとしおです。しばらくずっと感動しっぱなしでいようと思います。
2024.05.29
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イギリスのNational Theatreが厳選した舞台を世界の映画館で観られるようにしてくれるという、涙モノの企画がNTLiveなんですが、いかんせん公開期間が短いのです…。それで前回のデイヴィッド・テナントを見逃しました。しかし今回は、アンドリュー・スコットの一人芝居!チェーホフの「ワーニャ伯父さん」をやるというのですが、いったいどんな舞台になっているんだろう…とワクワクしながら前のめりでチケットを取り、今日観てきました。登場人物の名前が英語名なので一瞬戸惑いましたが、原作を知っていたのでそこまで混乱することもなく、内容に入り込んで行けたのが良かったです。それにしても、アンドリュー・スコットの演技がまさに七色(実際には八役?やってます)。服は同じだし見た目はアンドリューなんですが(当然)、声や仕草、表情であんなに変わるものなんですか!?女子を演じるアンドリューがめちゃくちゃチャーミングだし可愛い…。ソニアのときは赤いチェックのスカーフを持つんですが、それをいじくる手つきが女子です。目もうるうるしちゃって、恋する乙女です。本当に。ラストでアイヴァンを励ましながら「生きていかなくちゃ」と語るシーンは圧巻としか言いようがありません。ここは本当に引き込まれるし、なんだか、身につまされる思いがしました。そうなんです、どんなに辛くても、報われなくても、生きている以上は生きていかなきゃいけないし、それで死んだら、どれほど大変だったか、神様にわかってもらいたいですよね…。いや、私はそこまで一生懸命生きてないし、大変だったと言えるほど大変な人生を生きているわけでもないので、ソニアやアイヴァンみたいにはなれないけど…上手く言えませんが、しんどくても生きていかなきゃいかんなあと思った次第なのです。そしてマイケル(原作だとアーストロフ)のときの声がめっちゃ低くてソフトでセクシー…。ヘレナに迫るときの声や、ひとりで演じるキスシーンとか、ドキドキしてしまいました。かと思えば、エキセントリックなアイヴァン(原作だとワーニャ)の激しい感情のアップダウンをジェットコースターみたいに演じ分けていて、全然一人芝居だと思えなかったです。あと歌も上手い。7月にはマーク・ゲイティスの「The Motive and The Cue」、8月にはマイケル・シーンの「Nye」が予定されています。どっちも観たい…!!!
2024.05.28
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先日ディスクユニオンから来たメルマガ見てたら、バニのB-Sides、2021年のレコードストア・デイにリリースされたものがめっちゃ格安!だったのでつい買ってしまいました。ホワイト・ヴァイナルが素敵です。そして2枚組なのですが、1枚目は1998年ヴァージョンで、2枚目が2021年にバニが改めてヴォーカルを録り直したものなんだそうです。聴き比べが楽しいです。1枚目は声が細めで、青くて若い!2枚目は渋い!個人的には渋くて枯れた声が基本的に好みなので、2枚目の方がより好きかなと思いました。B-Sidesって相当好きじゃないと買わない類のものなんですが、このバーナード・バトラーがどれだけすごいB-Sides作れるかっていうのは、Suede時代を知っていたら当然なわけで。すごすぎて怖いくらいです。そしてソロのB-Sidesの引き出しの多さには、脱帽です。バニお得意のゴージャスなストリングスが炸裂する「Bye Bye」(マラケシュって書いてある方のアレンジが確かにエキゾチックな雰囲気で素敵)や、シンプルであるがゆえにピアノの美しさがたまらない「The Sea」、サイケデリックでファンキーな「Hotel Splendide」、バニのギターとストリングスの相乗効果がたまらん「It’s Alright」、フォーキーな「My Domain」。この曲なんかは、今度出る25年ぶり?の新譜につながる雰囲気じゃないかと。ラストはこれぞ名曲と私は思ってる「More Than I Thought」。この曲、なんだか歌詞もぐっと来るんです。別にSuedeを重ねるべきじゃないと思うんですが、どうしてもそっちを思い浮かべてしまう。若くて青くてヒネてたバニの思いがぎゅっと込められているように思ってしまいました。で、このジャケですよ。若いですね…。可愛いですね…。このころの、おかっぱが伸びたみたいな髪型が好きです。ギター弾きながら前後左右に揺れてると、髪がばさばさ揺れてカッコいいですよ。今はわりと爆発気味(インスタのストーリーとか、寝癖だらけであまりにも自然体すぎて笑えます)。
2024.05.25
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本当に当時の私は阿呆だったと思うのですが、2011年にSuedeの前期5作が一気に再リリース(しかもB-Sidesとかライヴ音源とか未発表曲とかデモ音源とか、その上DVDもついてた)された際に、もちろん買ったんですが、CD棚のいちばん奥深くにそれは大事に大事にしまい込み、存在を忘れていました。最近ヴァイナルの方が欲しくてサイトを放浪してたところ、やたらとデラックス盤の情報を目にし、「何これめっちゃ欲しかった…」と愕然としたわけですが、よくよく考えてみたら、「あれ、なんかそんなの買った…ような…記憶が…」となって、大事に大事にしかも未開封でしまい込まれたこの5枚を探し出したという顛末なのです。私は本当にアホの極みです。で、まずは1st「Suede」から。リマスターされてるので音がいい!のが一番嬉しい。改めて聴いてみて思うのは、「この未完成な獰猛さ、最高!」ということです。ブレットの声には少し粗もあるんですが、それを補って余りある以上の艶やかさに、当時彼らの音を聴いた時の衝撃をまた思い起こさせられました。そうだ、この18禁ばりのエロティックさが、私をぶち抜いたんだと。歌詞も、語弊を恐れずに言えば、おかしいじゃないですか。彼の書く詞の「I」は男でもあり女でもあり、その性愛の対象は、異性でもあり同性でもあり、時に肉親でもある。そして彼が描き出す、不完全で欠点だらけの人々は、ある意味で人間のものすごくピュアな姿。だからこそ、当時、熱狂的に迎えられた部分もあったのかなあと思っています。もちろん、それに引いちゃった人たちもいますけれどね。↑対訳頼りだった当時より、多少歌詞の意味をもっととらえられるようになって、俄然ハマったのがAnimal Nitrate。そしてそれに絡みつくバーニーのギターは、異常です。メロディーラインとは別のところで鳴ってる、何か牙を隠した獰猛な獣の佇まいです。牙を剥く瞬間が、Animal NitrateとかMovingとかDrownersとかMickeyとかなんですが。かと思えばSleeping Pillsのところどころに入ってくるあの繊細な音。その上、この頃の彼らのバラードもまた、美しい。頽廃のヴェールをかぶってはいるけれど、それを脱ぎ捨てた瞬間の輝きは、目がくらむほどです。Sleeping Pillsもそうだけれど、ラストを飾るThe Next Lifeは、心が震えて我を忘れます。あのファルセットは、あの頃のブレットにしか出せない。さて、デラックス盤にはB-Sideも収録。My Insatiable Oneはもちろん、To The BirdsにHe's Dead、Big Timeなどなど、ロックの表現にとどまらない、私としてはジャジーな雰囲気も感じるナンバーが盛りだくさんです。DVDはまさにお宝。LOVE AND POISON見られるし、Brit Awardsで観客が一部引いてる伝説のAnimal Nitrate入ってるし、ブレバニ2ショットインタビューも。お腹いっぱいだけど、何度でも見たくなります。
2024.05.21
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2021年にリリースされていたKings of Convenienceの「Peace of Love」です。ちゃんと発売してすぐに買いました。聴きました。ところが、当時の麻痺した私の心には全然響いてこなかったのです。こういう、見た目も音もお洒落なものを卑屈に拒否していた時分だったので…なので放置。しばらく放置。発見したの昨年。ジャケットがすでに素敵。何この大人な感じ。KOCのアルバムジャケって、総じてスタイリッシュの極みなのですが、今回のはずば抜けてお洒落。二人の関係性を俯瞰で見たらこうなるという感じが、一目でわかります。この二人の、ドライでいるようで密なコンビネーションが、音にしっかり反映されているから、やっぱり好きなんですよねえ…。のっけから二人のハーモニーにじわじわとやられます。KOCの音なのでパンチで勝負ではなくて、それこそまるで遅効性の毒みたいに、ゆっくりと時間をかけて私の心に染み入り、いつしか、そのフレーズしか頭の中で繰り返せなくなる感じ。「Fever」がその極み。歌詞をつらつらと眺めていましたが、何だか私にはとてもビターな印象を受けました。スウィートはほんのちょっとで、ビター比率が高め。人生とか、愛とか、生きていく上で避けて通れないものに対する、ちょっと突き放したような目線を感じました。でも、それがまた心に寄り添ってくれちゃうときもあるんですよね。来日公演、東京大阪と追いかけたころが懐かしいです。
2024.05.19
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トニー・レオンとワン・イーボー主演の中国ものスパイ・ノワール「無名」を観てきました。フライヤー見たときからもう楽しみで楽しみで。中国留学時には本当にインファナル・アフェアにお世話になりましたよ。留学生界隈でやたら流行って、ホントみんなで見て感想を言い合ったのが懐かしいです。その頃に比べればトニーも年取りましたが、このニヤけ具合がやっぱり変わらなくて好き。舞台は第二次大戦下の中国で、共産党・国民党・日本軍の三つ巴状態の上海です。汪兆銘政権の裏側で暗躍する工作員のフー(トニー)と部下のイエ(ワン・イーボー)は、毎日緊迫したスパイ戦を繰り広げる日々。そんな中で誰が味方で誰が敵なのか、静かで白熱した心理戦が繰り広げられていきますが…。えーと、犬がちょっと可哀そうなのでそこがいきなりしんどい。まあ、それは置いといて。あんまり書くとしっかりネタばれになるのですが、静かなのにヒリヒリする心理戦がメインな感じです。会食してても、ちょっとした会話をするにしても、みんな腹の探り合い。ウラのウラのウラのウラくらいをかく感じです。その上、時間がけっこう飛ぶので、よく観てないとわからなくなります。え、そのシーンはこの話だったの?!という驚きの連続は、ラスト20分くらいに立て続けに起きます。ワン・イーボー演じるイエの表情がすごくいいです。下を向いて、顔を挙げた瞬間に別人の冷酷さをまとうところ、ぞくぞくしました。いい顔してますよ。綺麗だし。そしてトニー!もう60過ぎてあのアクション!!スタントなしだそうですよ。本編の最後にメイキング映像をつけてくれていますが、こうやってやるんだ~と興味深く観ました。ワン・イーボーがまるで生徒(笑)やはり、彼のあのニヤリとした表情がいいんですよ。それであっさりと相手を手にかける。笑っているのに途方もなく怖い、そんなところがたまりません。しかし、結局二人とも〇〇なんだから、あんなにバトルしなくても良かったんじゃ…とは思うのですが、それもまた必要だったのかな?目を逸らすために?そして、あの時代の上海の雰囲気が伝わってきます。ねっとりと濃厚な暗闇と、そこに蝶のように飛び交う華麗な人々。まさに魔都。ヨーロッパとオリエンタルの融合が美しく、ため息が出ます。日中戦争とか絡むので、日本人は基本悪い人です。なんかつたない日本語とかも聞こえてきますが、それは仕方ない。意外とワン・イーボーがちゃんと日本語喋りますよ。劇中の言葉は、基本日本人キャストは日本語です。他は中国語ですが、普通語?以外に上海語とか広東語も混じっているのかな?普通語だったら響きで聞き分けられるんですが、そうでないものもあったので。
2024.05.19
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これ、4月の半ばくらいに出てオーダーしたのに、届いたのが昨日という。いったいなぜ1ヶ月もかかったのか…おとなしくオフィシャルに頼んでおけばよかった…と思いましたが、まあ、届いたので善しとしましょう。こちらの「Death Songbook」は、健常者と障がい者で組織されたParaorchestraが、Brett Andersonことブレ兄さん(私が勝手にそう呼んでる)とコラボしたものです。全曲で兄さんがヴォーカル取っていますが、Nadine ShahやGwennoという女性アーティストも一緒に歌っています。Nadine Shahの声が素敵です。曲目はカヴァーがメインで、このチョイスが良い。というのもSuede率高めだから。1. The Killing Moon : Echo & The Bunnymen2. Unsung : Brett Anderson3. Holes : Mercury Rev4. Nightporter : Japan5. She Still Leads Me On : Suede6. Wonderful Life : Black7. The Next Life : Suede8. He's Dead : Suede9. Enjoy The Silence : Depeche Mode10. The End Of The World : Skeeter Davis11. My Death : David Bowie12. Brutal Lover : Brett Anderson, Charles Hazelwoodyoutubeで最初に公開されたのは、エコバニの「Killing Moon」のカヴァー。Mercury Revの「HOLES」が次に公開されたんだったかな?この2曲で「もう買う!」となりました。オリジナルと聴き比べてみると、どっちもいいですね。兄さんVerはもちろん好きです。Suedeのカヴァーも、Paraorchestraの演奏になるとまた雰囲気が違って面白いですね。He’s Deadの気だるい感じはParaorchestraのもかなりいい!私は「Wonderful Life」を全然知らなかったんですが、これで聴いてみて、メロディが本当に胸に刺さるなあと思いました。歌詞も切なくて…兄さんが歌うのにぴったりだと。JapanにDepeche Mode、David Bowieと、Brett Andersonが歌うのにふさわしい曲をチョイスしたってことなのでしょうか。どれもがダークでセクシーで、ため息ばかりついてしまいます。兄さんの違った一面が垣間見られて、とても興味深い一枚です。これは、夜にじっくり聴きたい一枚ですね。
2024.05.18
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今回もアップルクランブルさんで買ったShelflifeの7インチ+CDシリーズです。Warm Morningの「Silver Rain」。イタリアの人たちなんだそうですが、音は北欧っぽさ全開です。私はこの声がとても好みなのです。ほわっとソフトな低めの声。しかもハーモニーがたまらん。7インチのタイトル曲「Silver Rain」は、アコギとこのソフトな歌声で持っていかれます。そしてサビで一気に音数が増え、歌声も二人のハーモニーが力強さを増し、ドラマティックな展開に。CDの方のリードトラック「Feather」は、イントロだけで心奪われること必至です。ちょっとジャジーな雰囲気もありつつ、やっぱりこのヴォーカルが雰囲気あって良いですね。CDには5曲入っていますが、私がいちばん気に入っているのは2曲目の「Behind the Curtain」。この曲、ギターの雰囲気がなんともスミスっぽいというか、ほろ苦く哀愁漂う感じがキュンとするのです。3曲目の「White Summer Daydream」、これはタイトルだけで好き確定です。そしてハーモニーの運びがKOCっぽい。で、このWarm Morning、今どうしているのかなと思って調べていたら、Warm Morning Brothersという名前になって活動しているみたいですね。Brothersという名の通り、SimoneとAndreaのModicamore兄弟デュオです。そこのバイオに書いてありましたが、Warm Morningという名前の由来は「lazy warm summer day」をイメージしているみたい。でも日本の夏はすでに嫌になるほど暑いので、あんまりぴんと来ません…Brothersになってからの方がアルバムを何枚か出していて、ちょっとストリーミングで聴いてみたら、これがまた良い!!よりアコースティックなアプローチになっているんですが、この二人のハーモニーは、Warm MorningのときよりもいっそうKings of Convenienceなんですよ。久しぶりに興奮してしまいました。
2024.05.14
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LOOK TO THE EAST, LOOK TO THE WEST [ CAMERA OBSCURA ]日記のタイトル通り、万感の思いを込めて、彼らに「おかえりなさい」と言いたい。Camera Obscuraが2013年以来の待望の新譜「Look to the East, Look to the West」をリリースしました。しかもリリースはMergeから!正直なところ、もうアルバムは出ない(出せない)のかと思っていました。2015年にメンバーのCareyを骨肉腫で亡くしてから、あまり目立った活動もなくなってしまったので(コロナ禍もあったみたいです)…。そんなところで届いた新譜リリースのニュースに、発売を心待ちにしていました。そしていま、私の手元には彼らの素敵なニューアルバムがあります。プロデュースはJari Haapalainen。彼らのアルバムの中でも、私がとりわけ大好きな「Let’s Get out of This Country」や「My Maudlin Career」を手掛けた人ですし、もうこの情報だけで絶対に大好きになれる自信がありました。先行シングルの「Liberty Print」を聴いたときからちょっと驚いていたのですが、今回の彼らの音は、あの幽玄めいたリバーブを脱ぎ捨てています。その上、ド直球なポップネスを、実に素直に、何の衒いもなく奏でているのです。ある意味、彼らは新しく生まれ変わっての再出発として、原点に立ち返ったのかなと思いました。もうね、どれを聴いても涙が出てくるんですよ。本当に帰ってきてくれたんだという感激で、言葉が出なんですよ。そして歌詞を追うとこれまた感慨深い。一筋縄ではいかない感情の機微を描くことにかけて、Tracyanneの右に出る者はいないと思ってます。「Big Love」とか、特に「The Light Nights」とか!「私がお願いしたら、私を愛するのを諦めてくれない?」って…!「We're Going to Make It in a Man's World」は考えさせられます。というのも、Tracyanneが音楽業界のジェンダー問題っぽいことについて書いたらしいんですね。やっぱりまだまだ男性社会なのかと思わされますが、彼女の決意表明みたいな感じで受け取りました。そして、出てくる涙の種類がまったく違うのが、「Sugar Almond」。これを聴いて、涙がこみ上げないファンはいるのでしょうか。歌詞の内容とか、最後に「Won’t you sing, to me, Carey」って言っているところからも、亡くなったCareyに向けて書いた曲かなと思うのですが…。最初のワンフレーズ目から、最後に呟くように「Carey」と言ってぷつっと終わる瞬間まで、彼女への思いが詰め込まれてあふれ出した一曲です。もう、歌詞を読むだけで涙ぐみます。観に行くことができた彼らの初来日ライヴを思い出します。私の日記にはCareyが可愛かったことが書いてありました。そしてTracyanneと話した私の失恋話を思い出し、懐かしくなったのでした。
2024.05.14
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これもアップルクランブルさんで買った、ShelflifeのCD+7インチシリーズの1枚。スウェーデンのKuryakinです。その後たぶんアルバムも買ったはずなんですが…行方不明…エレクトロな音とアコースティックな音が程よく同居した彼らの音楽は、まさにチルアウトにぴったり。ループする音のレイヤリングが、どこか不思議でひんやりとした感触。CDに2曲目でタイトルにもなっている「Still Here」はまさにそれで、清涼感とミステリアスな部分が絶妙に混じった雰囲気がたまりません。ぼーっと何もしたくないときにはまる。邪魔をしてこない音です。なんとも言えず、やさしい手触りなのがいい。ただ、もう少し起伏があるといいのかなとも思いました。気分によっては、ちょっと飽きちゃう。KOCのQuiet is the New Loudを超えるのかっていうと、そこまでじゃないと思う。それはきっと私がエレクトロに寄ると引いちゃうからなのかもしれませんし、KOCの場合はあの二人のハーモニーが最強すぎるので。
2024.05.11
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前回に続き、アップルクランブルさんで買った7インチ+CDシリーズです。スウェーデンの4人組Daysの「Downhill」。これでもShelflifeからのリリースです。スウェーデン、Shelflife。これで音の想像がつかないなんてことはないし、絶対好きになることも明白。そもそもこういった類の音を嫌いと言い切れる人っているの?……いるか、な。前回のChampagne Riotとはやはり少し違う音です。電子音は使われず、可愛らしく爪弾かれるギターに流れるようなベース、要所を彩るトランペットやパーカッション。これぞまさにギターポップのお手本です。個人的に、エレクトリック要素のないギターポップが一番好きです。the OrchidsやGo-Betweens、Field Miceなどが引き合いに出されてたりしますね。7インチのA面「Downhill」がやはり出色の出来です。これだけ歌詞を見つけることができたのですが、歌ってることは、けっこう絶望的で悲観的。タイトルの「下り坂」の通り、「ぼく、気づいちゃったんだよね。下り坂に差し掛かってること。ぼくは天国になんて行けないけど、いったい誰があそこに行けるっていうんだろう?」という始まりです。「人生はぼくらが待ち望んでいるようなおとぎ話じゃない」って言うし、「なんでこんなつまんない世界にぼくは居るんだろう?」ってぼやくし、なんだかモリッシーみたいに悲観してる気がするのです。あの人みたいにひねくれまくった感はないですが。しかしこんな内容を乗せて流れ出す、私たちが憧れる北欧のキラめきと美しさたっぷりのサウンドに、どうやっても魅了されてしまうのです。たぶんそれは、私もずっと下り坂だから。そして時折、なんで生きてるの?って思うこともあるから。そりゃあ確かに、Tamas Wellsのライヴで生き返ったけれど、根底にある消せない本質は、下り坂をひたすら転がり続ける石ころの私です。もちろん、Like a Rolling Stoneも好きですよ。CDの音源も、どれもがこれぞ北欧ギターポップ!というナンバー。でも、どの曲にもそこはかとなく漂うメランコリックな風合いが、たまらなくいいんです。明るいだけじゃ満足できない、そんな人には激推ししたい。とはいっても、もう活動していないみたいなんですけどね…。続報求む。
2024.05.07
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先日レコードプレーヤーを迎えたおかげで、私のミュージックライフは実に彩りあるものになっています。そして、なぜか買ってた7インチが大量発掘されて、聴くのに忙しいほどです。ほんとにね、ブレ兄さんのソロ(しかもサインついてる)とか、Animal Nitrateのシングルとか、なぜか大量のEmbraceとか、BrightsとかDelays(グレッグ…涙)とか。けっこうサイン入ってるものが多い。そんな中、アップルクランブレコードの松本さんの思い出がたっぷり詰まった、あのお店でたくさん買った7インチたち。これ、CD音源も一緒についてるやつをけっこう買っていて、レコードはいつか聴くんだ!と意気込みながらもしまいこんでいたという…。今日はそんな中の一枚です。デンマーク発のChampagne Riotの7インチ+CDの「Paris and I」。リリースはShelflifeからで、2008年の作品です。ちなみに彼らはMatineeからもリリースしています。しかも私、知らなかったんですが、Champagne Riotを結成したCasper Phillip Bockが、Northern PortraitのベースやってるとMatineeのサイトに載ってました。そりゃあ音も共通点ありますよね。向こうの方はスミス風味増し増しですが。というわけでChampagne Riotですが、7インチのA面「Heroes of Our Time」、これぞネオアコ・エレポップと呼びたい。軽やかで、電子音の浮遊感もあり、北欧ポップの幽玄さもあって、麗しいサウンド。明るいのにどこか切ない影をまとった(CDの1曲目「Scandinavian Welfare」が特に)、メロディラインと、やわらかく朴訥なヴォーカル。どこをどうやっても嫌いになるのは不可能。歌詞を漁ってみたけれどどこにも載っていないし、聴き取るには私の能力が足りないしということであまり細かい感想が書けませんが、切なさに打ち震えたい人にはぴったりの音だと思います。ついでに言えば、私は床に突っ伏して打ちひしがれたい気分になります。デンマークといえばGangwayでしょと思って先程なんとなく調べたら、え…2019年に新作出てたの…噓でしょ…!本当に、心から自分の暗黒時代を呪った次第。
2024.05.06
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【中古】 ヘッド・ミュージック/スウェード1日遅れてしまいましたが、Suedeの4th「Head Music」がリリースされて25年経ちました。25年…恐ろしすぎる…プロデューサーをスティーヴ・オズボーンに変え、ダンサブルでエレクトリックな雰囲気を前面に押し出した一枚となりました。なので、賛否あるみたいですよね。私は好き(Suedeならなんでも好きです)。確かに私の好みはエド・ビューラーのプロデュース作品なのですが、これには私のフェイバリット上位3曲のうち、2曲も入っているので(Everything will flowとHe's gone)、けっこう大事な一枚です。ライヴで演奏して盛り上がらないことなんてないCan't Get Enoughも入っているし、ニール作詞作曲の謎曲・Elephant Manも聞けるし。とはいえ、この時期の兄さんは再びドラッグやらアルコールやらに溺れてしまって。The Insatiable OneのDVDで観られますが、兄さん、ちょっと目がいっちゃってます(ニールが体調を崩したのもこの頃で、映像見てても、ちょっとしんどいのかなって思うくらいに動かないです)。Hi-Fiとか、何も知らなくて聴いてもなんだか妖しいしトリップしているなと思ってしまいます。特に、それまでのSuedeっぽくない、ダンサブルなナンバーにそれが顕著。正気と狂気の狭間を行ったり来たりしている感じがガッツリ伝わってきて、時々ツラくなることもありますが、それでもやはり、いい曲が多い。そして、このアルバムが出た後のツアー中にニールは離脱。結局、いったん、バンドを去ることになってしまいました。その後のSuedeの動向は…ご存知の通り、a new morningの商業的失敗の後、活動停止に追い込まれることになるのです。すでに崩壊への道を確実に歩み始めていた彼らの、第二期の黄金時代が斜陽を迎えようとしていたころの一枚。でもね、やっぱり、大好きなんですよ。ちなみに、ジャケットのモデルは当時の兄さんの彼女とニールです。しかも写真だと裸です。兄さん、いくら自分のお気に入りを並べたいとはいっても、さすがにこれは…!
2024.05.04
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ゴールデンウィークで時間がたっぷりあるし、いま劇場で観たい映画が特にないので(本当はトニー・レオンが出てる「無名」観たすぎるけどこっちでまだ公開してない)、プライム祭りを勝手に開催することにしました。友達に「意外と良かったから観て!」と言われていた、アマゾンオリジナルの「ロードハウス/孤独の街」を観てみました。これはリメイクなんだそうですね。かつてUFCのファイターとして名を馳せるも、ある試合がきっかけでその舞台から去ったエルウッド・ダルトンが、フロリダキーズにあるロードハウスという店のオーナーに声を掛けられ、そこの用心棒となるところからストーリーが始まります。ストーリー自体はそんなにヒネりもなく、まあそうなるだろうなという展開で進行していきます。ロードハウスをどうにかしてモノにしたい地元のマフィアのボス、それに雇われて嫌がらせをしに来るチンピラ、そしてそれを追い払うのがダルトンの役目。ただ、よそ者であるダルトンは、彼らに目をつけられ、命を狙われることに…というところでしょうか。主演がジェイク・ギレンホール。こないだブロークバック・マウンテンを見返したところだったせいで、可愛い印象の方が強くなっていたんですが…すごい!筋肉!そしてアクションもホントに痛そうだしキレッキレだし、見とれてしまいました。元UFCファイターという役なので、筋肉が本当にプロレスラーのもの。他のスポーツ選手とはワケが違う、ド迫力の筋肉です。6パックとかじゃなくてあれは何パックなの?ダルトンのキャラクターも魅力的です。ふだんはにこやかなんですが(ボコボコにした相手を車で病院に連れてってあげちゃう)、本当にキレると何をしでかすかわからない。そのせいでUFCの舞台から去る羽目になっているんですが、自分でそれをわかっているから、自分を怒らせないようにしているんですよね。でも…そんな彼が最後にはブチ切れます。敵役の方たちも、本物のUFCファイターだったりするようです。サイコっぷりが振り切っててもはや笑えるノックス役は、コナー・マクレガー。私はUFCにはまったく疎いので、調べてみたら、けっこうキャラが立ってる方なのですね。この人の破天荒さをエスカレートさせたら、ホントにノックスになりそう。登場シーンは全裸だし、最後は死んだと思ってたら死んでないし、笑かせてもらいました。また全裸で街へ出てっちゃうのか…そんなに期待しないで観たんですが、想像以上に面白かったです。ジェイク・ギレンホールの筋肉だけで2時間もちますよ。
2024.05.04
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輸入盤 RICHARD ASHCROFT / ALONE WITH EVERYBODY [2LP]つい先日Suedeの「AUTOFICTION: LIVE」のためにレコードプレーヤーを購入した私ですが、実は、アナログレコードを少々持っていました。ていうか買ったの忘れてた…。Tearsのアナログ持ってて驚いた。自分で買ったのに。そんな中に混じってたのが、Richard Ashcroftの1st「Alone with Everybody」です。たぶん、ジャケットがカッコいいからアナログも買ったんだと思う。それくらい、私はこのアルバムのジャケットが好きなのです。だってリチャードのカッコよさ全開ですから。Verveもサイケデリックでロックで好きなのですが、このリチャードソロが私は大好きなのです。今回いろいろ調べていて驚いたのですが、冒頭を飾る「Alone with Everybody」について賛否両論があるようで。え、最高じゃないですか…!?個人的に大仰なストリングスは大好物なので、それがリチャードのあの歌声と絡むと、もう至高の音楽でしかありません、私には。なので、リチャード・アシュクロフトは私にとって人じゃなくて神です。いる場所が違う。だから、サマソニで見たときは神を見た気分だったのですね。(ちなみにブレ兄さんは好きの極みではあるのですが、ちょっと違う。特別ではあるのですが、神というのとは違う。難しいですね。)全体を通してミディアム~スローな曲が多いですが、それがストリングスの美しさや、時にジャジーであったり、サイケデリックであったりもする(ヴァーヴ風味)ギターサウンドにぴったりだと思っています。そして何より、スタイリッシュ。ちょこちょこ入ってくるトランペットが遠くで鳴っているところとか、もう、倒れそうなほどにクール。どうやったらこんなにオシャレにダークにやれるんですか。神よ。私のこのアルバムのイメージは、漆黒の夜。夜に聴きたい。しかもじっくりと噛み締めながら。最近はリチャード(神)の動向をまったく追えていませんでしたが、また追いかけたいと思います。
2024.05.03
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先月、レコード・ストア・デイがありましたが。SuedeがAutofictionのライヴ盤を出すことは知っていたのです。しかし、これはおそらくヨーロッパ限定というようで(ファンコミュニティで聞いた)、日本には入ってこないとのことTamas Wellsのライヴのついでに、一応ディスクユニオンやタワレコ、HMVを回ってみましたが、やはり見当たらない。ヨーロッパの方々がフェイスブックに「買ったよ!」的な画像をたくさん投稿しているのを見て、ただただ羨ましく思っていたのですが。神はいました。ファンコミュニティの方が、「このショップならまだ在庫ありそう」というリンクを教えてくれたんです。そしたら……残りわずかだけど、まだ売ってた!!!はい、送料込みでけっこうなお値段でした。昨日ついに我が家に届いた一枚、勢いでレコードプレーヤーもゲットしておいたので、ずっと聞いています。こないだAutofictionのEXPANDED盤(これはCD)で同じライヴ盤買ったはずなんですが、なんか音がいいような…気が…する…!兄さんの「シンギン!」の煽りに合わせて、「フィフティ~ン!アゲイン~!」と合唱しております。内袋にずらりと兄さんがプリントされてちょっと笑えます。他のメンバーもちゃんと判別できる程度には写ってますよ。みんな横顔が超カッコいい。王子のシャツのお胸が開きすぎててドキドキします。レコードなんて何十年ぶりのことでしょう。私のレコードデビューは、幼稚園でした。園から帰ってくるとまっすぐレコードの前に直行して、自分でチェッカーズかけて聴いていたんですよね。いま思えば、マセたガキでした。さて、手を出すまいと思っていたレコード界隈についに頭を突っ込んでしまいました。まずは……Suede全部…それから…たくさん…
2024.05.01
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これもまた私の暗黒時代に公開・リリースされていた、Suedeのドキュメンタリー「The Insatiable Ones」を今頃ようやく買って観ることができました。とはいえ、全編英語しかないので、意味がわかるとこだけ把握って感じではありますが。Suedeを結成する直前のブレ兄さんやマットの出会い(これとても面白かった)、Suedeの結成とブレイク、バーニーとの関係悪化から脱退、リチャードとニールの加入と再ブレイク、兄さんのドラッグ癖の悪化に伴うバンド状況の悪化、そして活動停止と生々しく記録されています。バーニー脱退のあたりは正直見てて辛い。でも、その後のリチャ&ニールのあたりはにやけるほど二人が可愛い。随所に関係者インタビューも入ってきて、ジャスティーンやちょっとだけドラムスやってたSmithsのマイク・ジョイス、もちろんバーニー、Suedeのジャケットを多く手掛けたピーター・サヴィル、Nudeの社長・サウルなどなど…すごく興味深いインタビューが盛りだくさんでした。盟友エド・ビューラーがリチャとニールを当初「New Boy」って呼んでたのに悶えました。個人的に全然知らなくてびっくりしたのは、リッキー・ジャーヴェイスが初期のマネージャーしてたってこと!私、リッキーは「The Office」のブレント役の印象が強くてファンなので、すごく驚いたと同時にめっちゃ嬉しかった…!もちろん、メンバー個人個人の話も入って来るので、知らなかったこととかも多くて本当に新鮮でした。でも、Head Musicのあたりの兄さんはホントにお薬とアルコールで目がいっちゃってて、怖かった…。Head Musicは好きなアルバムだけれど、その頃はすでに「Self-Destruction」だったんですね。ニールが病気になって、スタジオにも満足に来られなくて電話でやり取りしてたっていうのを見て、胸が痛くなりましたよ。けれど、その後の再結成もちゃんと出てくるし、Suedeがよみがえるさまも観ることができるので、そこはじーんとします。そして、Blue Hourのころに撮ったのかな?メンバー全員で輪になって話し合うシーンとかも、なんだか感動…。兄さんが「ぼくのせいです」って感じで過去のドラッグのこととか反省してる感じなのも。ボーナスDVDは、兄さんとマットが里帰りというやつ。二人の若いころの話とかしてくれます。そして二人の佇まいがカッコ良すぎ。年取った分カッコいいって奇跡。続いては、リチャと王子が2人でインタビューに答えてる映像。これがもう微笑ましい。仲いいんだね、ホントに…。その後、兄さんとピーター・サヴィルの長い会話も入ってます。どうやってあのジャケット群が出来上がったのか、そのプロセスが詳しく語られてて面白いです。もう一枚のボーナスDVDは、Suedeの映像記録担当・サイモンの本領が遺憾なく発揮されています。笑サイモン、どこでもカメラ回してるのね…。いきなり日本の映像が出てきて嬉しかったです。そして、貴重なオフショットも多数。ふだんのクールなメンバーしか知らないので、はしゃいだりしてる様子が珍しい。トータル4時間くらいあるDVDなので、見ごたえたっぷりです。そして何度でも見たくなります。改めて、私、本当にSuedeが好きなんだと感じました。そして、そう思わせてくれてありがとう。
2024.04.29
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「陰陽師0」を観てきました。安倍晴明=コスプレ山﨑賢人=最強。ちょっとだけあるアクションもさすがです。今回は感情を殺した冷静沈着な役でしたが、そんな佇まいも素敵でしたよ。でも、たまにはコスプレじゃないドラマも観たいなと思いました。しかしそれより何より、源博雅=染谷将太がちょっとおバカな役どころで本当に可愛い。可愛いとしか言いようがない。冠に花ついてるのが愛らしすぎる。話の筋はだいたい読めるような展開ですが、映像がカラフルでキレイでした。しかし、女性たちの衣装は艶やかではありますが、あれだとちょっと花魁風味じゃないかなあ?品の良さが皆無だったのが残念。
2024.04.28
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Libertines ザリバティーンズ / All Quiet On The Eastern Esplanade: 東部遊歩道異常なし 【CD】祝・全英チャート1位!まさかまさか、彼らが帰ってきてくれるとは。Suedeが帰ってきたときに次ぐ喜びです。「up the bracket」が2002年の話ですか…そうですよね、私も、彼らも、年を取りました。ピートとカールが揃ってたLibertinesのライヴを観たことがあるというのは、ちょっとした自慢です。2nd、3rdと痛々しいサウンドを鳴らし続けていた彼らが、ついにホンモノのロックバンドになりましたよ。今回リリースされた4th「All Quiet on the Eastern Esplanade」は、完成度としては最高の出来だと私は思います。1stほどの破壊力はありませんが、すべての楽曲が満遍なく素晴らしく、何よりもバランスがいい。安定感も抜群。ピートのヨレったヴォーカルは危うさを秘めつつも詩情たっぷりになり、カールのニヒルな声は渋さを増しました。「Run Run Run」や「Night of the Hunter」、「Shiver」のPVで、彼らはきっとやってくれるとすでに確信めいた予感は抱いていましたが、まさかこんなに素晴らしい一枚が出来上がるとは。冒頭の「Run Run Run」は、新しい彼らのアンセム。「You’d better run, run, run boy, Faster than the past...」という歌詞で胸が熱くなります。過去よりも速く…って。彼らのこんがらかった歴史を思い返せば、なんだか感情移入してしまいますよ。「Mustangs」や「Oh Shit」はカールのVoを存分に堪能できるナンバーで、大好きです。特に「Oh Shit」は往年のLibertines節。そして、この声がセクシーすぎてたまらない。ピートとカール、ふたりの声が存分に絡み合うこれぞLibertines的な「I Have a Friend」も、嬉しくて涙ぐんでしまう。ピートがホントに生き生きと歌っているのも嬉しいポイントです。「Night of the Hunter」はスローなナンバーですが、少し不穏で、哀愁のにじんだメロディを歌い上げる、ちょっとヨレった彼の声がぴったり。本編ラストの「Song They Never Play on the Radio」は、この素晴らしいアルバムのクロージングに、この曲以外考えられない、美しく、優しく、あたたかい一曲。ピートとカールのヴォーカルも、競い合うのではなく、寄り添う雰囲気なのがたまらなくハートウォーミングです。本当に、彼らが戻ってきてくれてよかった。いろんなメディアに露出していますが、4人みんなすごく楽しそうなのが、見ているこっちも嬉しく楽しくなるほどです。ピートはだいぶ太りましたが、カールとの掛け合いはいつ見ても微笑ましい。長く続けていってほしいと思います。そして、願わくば、日本に来て…!!
2024.04.27
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楽天ではジャケット入りの商品がないのでPV貼りました。先日ちょっと触れたとおり、友人が送ってくれたInterpolの来日公演動画のおかげで、すっかり祭り状態となっている私です。なんだかんだと彼らのアルバムはちょこちょこ買っており、El Pintorまでは持っていました。そのあたりから私の暗黒時代が始まったので、そこからの音源をチェックすることはなかったわけです。それで今回一気に買い求めたのが、「Marauder」と「The Other Side of Make Believe」、「A Fine Mess」です。私はそんなにコアなファンではないので、やっぱりInterpolは「Antics」が好きで、「Evil」が流れるとドキドキしてしまう程度なのですが、今回全部の音源を聴き直してみて、当時の感じ方とは少し異なった感覚をおぼえました。単純なもので、私はわかりやすくキャッチーなメロが大好物ではあるのですが、彼らに関しては、トータルでのカッコよさにしびれるのです。タイトで正確なリズムを刻むドラムス、スタイリッシュをきわめたギター、ダークかつゴスっぽい雰囲気をまといながら、淡々と歌い上げるようで内に熱を秘めたヴォーカル。光と闇と官能(これ重要)を兼ね備え、これで完結できるパーフェクトな世界が、本当に素敵。そして今回は「Marauder」。アルバム全体を通してライヴ感がありますが、彼らのパーフェクトな世界観と確かな演奏力で、私はもうこのアルバムが完璧にしか聞こえません。一曲目の「If You Really Love Nothing」はPVも素敵ですが、とにかくギターリフがとんでもなくスタイリッシュでカッコ良くて、どうやったらこうなるんですかと問い詰めたくなるほど。また、youtubeのリンクを張りましたが、「The Rover」のイントロでギターが高く鳴り響く時点で、興奮が静かに湧き上がってきます。「Come and see me maybe you’ll die」なんて歌詞、Interpolにしか似合いません。「Number 10」のライヴっぽさは、艶やかさとクールさの同居が完璧です。なんでも、このアルバムの歌詞に登場する「Marauder」はポールのペルソナでもあるそうで、時にものすごく暴力的で、時にスウィートで、時にあまりにもゲスく、でもやっぱりクールだったりと、アルバムを束ねるイメ-ジみたいな感じで、それが彼らのサウンドにハマっていると思いました。ボートラの「Number 11」が実はかなり好き。インストですが、その分ギターの魅力ががっつりと伝わってきます。
2024.04.24
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EBM [ エディターズ ]先日のTamas Wellsのライヴのおかげで完全に生き返ったと思しき私ですが、音楽を聴くことがこんなに楽しくてワクワクするものだったのかと改めて感じています。とにかく時間が足りないのです。失われた10年の間に聴かなかったもの全部聴きたい。さすがにそれは無理なのですが、ちょこちょこと旧譜を見つけては聴いています。それに今はyoutubeとかspotifyとか便利なものができましたからね。昔では考えられなかった方法で音源をチェックできるので、これはこれで便利。それでも、ショップに行って試聴する興奮には勝てませんが。先日Interpolが来日していて(行けなかった…)、友人が大阪公演に行っており、短いながらも動画を何本か送ってくれました。それでInterpol祭りになったのですが、そのつながりでyoutubeにピコっと出てきたのがEditorsの「KISS」のPVでした。これが本当に衝撃的で。PVは男性のダンサーが2人、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれます。絡みにドキッとしますが、この振付は本当に見て欲しい。黒い布を使う部分は圧巻です。7分と長尺ですが、それを感じさせないドラマ性と彼らの音に引き込まれてしまいました。歌詞も素敵だと思うんです。「One kiss pulls me to the light, one kiss steals me from my life」とか、「I wish you knew the way I feel because the way I feel is holding me back inside」のあたりとか。PVにすごく合っている。というわけで彼らの2022年リリース「EBM」をようやく手に入れました。私、Editorsは「BACK ROOM」しか知らなかったです。すみません。なんだかその時と雰囲気が違うなと思ったら、メンバーにBlanck MassのBenjamin John Powerを迎えたとのこと。すごくエレクトロニックでインダストリアルのゴリゴリな雰囲気があるんですが、それがEditorsのクールでダーク、時にゴスと呼ばれる彼らに合ってるんじゃないかと私は感じました。ずっとファンの方だと何か思うところなどあるのかもしれませんが、私はこのアルバム、めちゃくちゃ気に入りました。「EBM」とはEditors+Blanck Massなのだそうで。序盤の4曲「HEART ATTACK」~「PICTURESQUE」~「KARMA CLIMB」~「KISS」の流れが圧巻です。メロウな「SILENCE」を挟み、インダストリアル感強めでカッコいい「STRAWBERRY LEMONADE」、ダンサブルな「VIBE」、イントロのドラムスだけでおかわり何杯もできそうな「EDUCATE」、ラストの「STRANGE INTIMACY」がやたらセクシーでダンサブルで破壊的。対訳がないのでしっかりと意味まで把握しきれない部分が多々ありますが、「きみとぼく」的ではなく「俺とお前」的な感じと私は勝手に思っています。冷たいのに奥底で熱く、暗いのに一瞬の閃光に貫かれて放つ輝き…歌詞も音もそんなイメージです。
2024.04.23
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さて、Tamas Wells2日目は渋谷の7th Floorでした。nestの上なんですね。昔はあのへんのO-EASTとかDuo Music Exchangeとか行ってたのに、いざ行こうとしたらとんちんかんな方向に歩き出してしまって、迷いました。私の知ってた渋谷と違う。なんだか取り残されたような気分にもなりましたが、なかなか面白い迷子体験でした。今回はゆったりめの椅子やテーブルが用意してあって、自分としてもよりリラックスして観ることができたのが良かったです。友人が確保してくれたセンター席は、まさにVIP席でした。ありがとうございます。この日の前座はキム。この人の歌も、胸の奥があたたかくなるような響きがあって、ぐっとくるんですよね。CD買ったよって見せたら嬉しそうな顔をしてくれて、こっちまで嬉しい。そして本編。今回は曲の内容というより、自分と向き合うためのノートです。この日のタマスwithバンドは、少ない語彙力を駆使しても、どうやっても、「最高」としか言いようのない出来でした。全員がピアノを弾けるバンドっていうのもすごい。曲ごとにパートを入れ替えるんですが、タマスは「ぼくはメンバーを信頼してるからね」とにっこり。この日も新譜と旧譜それぞれ入り交ざっての演奏でした。そして私はまた涙ぐむ。この日はVendrediの曲ではなくて、4月は革命的のフレーズで目の前がぼやけました。前日に頭をもたげた私の中の何かは、かつて音楽に没頭していたときの自分でした。約10年前から、私の更新回数はぐんと減りました。そして、ほとんどなくなりました。その時期は個人的にも劇的な変化があり、それを幸せと感じた時期ももちろんありましたが、やがてそれは私の自由を奪い、心を閉じ込め、私は無意識のうちに自分ではない人のコントロール下に置かれていったのです。それが解けたのが2年前。それからの私は、徐々にではありますが、日常に戻りつつありました。それでも、まだそれは完全ではなくて、どこかで何かを恐れる日々が続いていたのです。日常の世界は、生活するには問題ありませんでしたが、心の中では、鈍い灰色がかった世界のままでした。けれど、この2日間のライヴで、私の世界がやっと色づいたのです。前日からその気配はあったものの、2日目のライヴが進むにつれてその感じははっきりとしてきて、ライヴのラスト付近で演奏された、タマスらしからぬ激ロックなアレンジが、ガラスをたたき割るかのように私の心の灰色のもやをぶっ飛ばしてくれました。私は明らかに、生き返った。そして、熱くなる目頭と共に、音楽が好きだったころの自分が戻ってきたと感じました。ライヴ終了後、タマスの奥さんのブロンとお話をする機会がありました。タマスの歌を聴いているうちに、過去のいろんなことが走馬灯のように頭を駆け巡って、私の人生がまた色づいたように思うと言うと、ブロンは「彼の歌は私の人生のサウンドトラックみたいなものよ」と言って笑ってました。そうだ、人生のサウンドトラックか!ちょっとそれパクリたいと思っちゃいました。最初にタマスのアルバムを渋谷のワルシャワで見つけてから、もう16年も経ちます。その間にリリースされた彼のアルバムの曲を脳内で再生すると、その時の私のこともよみがえります。これもある意味、サウンドトラック。クリスはホントに話しやすくて、いろいろなことを話せて楽しかった!キムには私の似顔絵を描いてもらったし(なんかわりと似てる)、ピーターは物静かな紳士って感じでした。タマスは別れ際にも「来てくれて本当にありがとう」とあの優しい笑顔と共に握手をしてくれて…感無量です。これで今日から「ザ・ニュー・xiao」になるのかというと、ガラリと変わるわけにはいかないと思いますが、明らかに、胸の奥がワクワクしていることは実感しています。もっとたくさん音楽を聴きたい。失われた10年を取り戻すために、どんどんいろんな音を聞いて、いろんな映画を見て、自分の心をほぐしていきたいと思いました。
2024.04.22
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なんと10年ぶりの来日。Tamas Wellsの来日公演に2日間とも行ってきました。何というか…楽しみでもあり、少し怖くもあったのです。私は以前のように彼の歌声で感動できるのか。感情が明らかに摩耗し、感受性のかけらもなくなった自分が、彼の歌を聴いていいのだろうか、と。今回はそのことにフォーカスしようと思うので、楽曲構成とかあまり書けません。初日の4月20日は代官山の晴れたら空に豆まいて、にて。代官山もずいぶん変わりましたね。まったく逆方向に歩いていき、まんまと迷いました。懐かしい友人と顔を合わせ、中に入ると、小さい会場でしたがどんどん人が入ってきます。振り返ればもう満員。みんな待ち望んでいたんだと思うと、嬉しくなりました。代官山をフラフラしていたときにタマスご一行を道路の向こうで目撃していましたが、近くで見てみても、彼の優しい笑顔は変わりませんね。白髪は増えてたけど、それはそれで良いのです。サポートメンバーは懐かしいキムと、ドラムスのクリスとピアノ・ヴィオラのピーター。おお、しっかりとバンドだ。A Plea en Vendrediとフライヤーには書いてあったので、てっきりこればっかりやるのかと思っていましたが、過去作からいろいろと披露してくれて、あの時こうだったなとか、こんなことあったなとか、頭の中にいろいろなことが走馬灯のように駆け抜けていきました。そのせいで、現実のタマスの歌と、過去の自分の記憶がないまぜになり、私は過度にセンチメンタルになっていたと思います。やはり、私にとってA Plea en Vendrediは人生における大きな存在です。そのせいで、このアルバムの曲は大いに私の記憶を刺激するわけです。The Opportunity FairやI’m Sorry That The Kitchen is on Fireはその最たるもので、自分でも驚くほどに涙がこみ上げ、彼らの姿がかすむほどでした。あの頃、私は本当にピュアに彼の歌が大好きで、脇目もふらずに音楽ばっかり聴いていた。他のことなんて考えていなくて、今思えば好き勝手に生きていたのだけれど、なんだかあの頃がとても恋しい。そんな気持ちが押し寄せてきて、コントロール不能でした。そんな気持ちを静めてくれたのは、最新作「To Drink up the Sea」の曲たち。大崎さんが「4月はぼくにとって革命」と言及されていましたが、「August I Think Nothing Much At All」は、私の死に体の心にも革命的でした。ここで、私は自分の心の奥底に何かが頭をもたげるのを感じたのです。それがはっきりとした形になったと思ったのは、翌日のライヴの時のことでした。あ、ごめんなさい、Riddleの口笛はどうやっても私には無理です。音すら出ない。ライヴ後に話す機会がありました。覚えていてもらえて嬉しかったです。誰にでも優しく、同じ目線の高さで話をしてくれる彼は、本当に人としてもアーティストとしても素晴らしいと改めて感じました。
2024.04.22
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昨日、一昨日とTamas Wellsのライヴを観に東京に滞在していたのですが、昼間の時間を利用して、「異人たち」を観てきました。ドラマ「シャーロック」シリーズの永遠のヴィラン・モリアーティ役のアンドリュー・スコットが主演だし、「アフターサン」のポール・メスカルが相手役だといったら、観に行かない手はないじゃないですか。そんな、多少不純な動機+山田太一原作の大ファンの友人の後押しがあって行ったわけですが、想像以上に私は泣きました。鼻を何度もかむくらいには泣きました、本当に。幼いころに両親を亡くし、孤独だけを道連れに生きてきたゲイの脚本家・アダム(アンドリュー・スコット)。彼の暮らすマンションには、影のある青年・ハリー(ポール・メスカル)が住んでいて、ある日突然声をかけられるのですが…。また、執筆に行き詰ったアダムは、かつて両親と暮らした家を訪れてみるのですが、なぜかそこには、亡くなった時と同じ姿の両親が暮らしていたのでした。この時点でふつうの物語でないことは明らかなのですが、アダムの両親は、自分より年上の姿になった息子を喜んで迎え入れます。ただ、幼いころから自分のセクシュアリティを自覚しつつも隠してきたアダムの現在を知り、昔のままの価値観の2人は、時に心無い言葉を投げかけてしまうのです。そんなときのアダムの表情がまた、切なく語るんです。そして、「済まなかった」と語る父とそれに抱き着いて泣くアダム。クリスマスツリーの飾りつけをしながら、Pet Shop Boysの「Always on My Mind」の歌詞を呟く母。この歌詞がそのまんま母から息子への謝罪と愛にあふれていて、私はここで涙で前が見えなくなりました。両親の家を何度も訪れ、一緒に暮らせなかった時間を埋めていくにつれ、謎に満ちた青年・ハリーともだんだんと心を通わせていくアダム。最初はなんか変な奴が来たとすげなくあしらった彼ですが、ハリーの佇まいに秘められた影と、そのやさしさに触れていくうちに、ついに受け入れる時が来るのです。なんかね、このラヴシーンが気持ち悪いとか言ってるレビュー見たんですけど。そういうこと書けちゃう人が気持ち悪い。ちょっとゲスい会話も、愛しさがあふれるタッチも、なんだか微笑ましく見守ってしまいました。けど、ふつうにドラッグ決めちゃうとこがやはりイギリスなのですかね?でもここでドラッグがガン決まりになっちゃうアダムの表情を目だけで演じるアンドリュー・スコット。すごい。素敵。好き。けれど、死者であるはずの両親との幸せな時間は、いつまでも続きません。唐突に訪れた別れの日、3人で思い出のショッピングモールへ行き、最後の会話が交わされます。もうここは涙なしには見られません。両親の愛の深さ、子供のように「別れるのは嫌だ」と泣くアダム、もう我慢できずに鼻をすすりまくりました。そして…自宅に戻ったアダムは、ハリーの部屋を訪れます。しかし、そこにあったのは…。これは言えない!言いたくない!ラストシーンは本当に印象的です。ベッドに横たわり、背中からハリーを抱きしめるアダム。ハリーが「何かレコードをかけて」というと、流れるのがFrankie Goes To Hollywoodの「The Power of Love」。最初のシーンでもアダムがかけていたのもこれでした。このバンドというと、やはりセクシュアリティではアダムに通じます。アダムはこの曲をよすがに生きているのかななんて最初は思いましたけれど、ハリーが初めてアダムを訪ねたときに「ヴァンパイアがいるんだよ」と言ったんですが、歌詞を読んで、ここでつながるのか!と納得。「ぼくがきみを守る」とアダムが言って眠りにつくラストは、いろいろ示唆に富んでいて、想像力をかき立てられる終わり方でした。もしかすると、アダムも…。現実と彼岸と、どちらなのか区別もつかない不思議な世界の行き来で構成されていますが、そこがミソだと思います。解釈は人それぞれ。愛の形も人それぞれに違う。孤独に生きていたって、心のどっかにひとかけらくらいはある。忘れているだけで、もしくは忘れようとしているだけで。恋人同士としての愛、親子としての愛、いろんな愛を気づかせてくれる一本でした。そして、親を大事にしなきゃなと改めて強く思わされた一本です。今でも、アダムと両親のシーンを思い出すだけで鼻の奥がつーんとします。それにしても、アンドリュー・スコットがチャーミングすぎる。少年時代に戻って、子供みたいな柄の赤いパジャマを着ているシーンは、唯一、のけぞりそうになりました。
2024.04.22
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フライヤーが映画館に置いてあったときからずっと公開を楽しみにしていた「貴公子」、たっぷり楽しめました。韓国とフィリピンの血を引く青年マルコは、病気の母親を抱え、賭けボクサーとして日銭を稼ぐ日々を送っていましたが、ある日、韓国から父の使いだという弁護士が訪れ、韓国へと行くことになるのですが。そこで、飛行機で出会った謎のイケメン「貴公子」に、いきなり「きみの人生最後の友達」と言われ、そこからなぜかしつこく追い回される羽目になり、マルコはこれでもかというほど痛い目に遭います。そこに絡んでくるのが、マルコの兄だという財団の跡継ぎ(のはずだった)ハン。気に入らない奴は全部ライフルぶっ放して始末する悪党です。貧乏人は存在価値なんてないと思ってる感じの、イヤな奴です。でもシャワー浴びた後のバスローブ姿はセクシー。あと、ハンと対立する後妻側の女弁護士も実にカッコよく、目の保養です。とにかくこの映画の醍醐味は、キム・ソンホ演じる「貴公子(名前がない)」。ゾクゾクっとするほど不気味です。きれいなお顔なだけに、やることなすこと怖い。前半からマルコのストーカー全開で、ヌッと出てくるなり、目だけ笑ってない笑顔。これが怖すぎる。かと思えば、コーラはストローで飲んでたりしてお茶目なところもあるし、走る姿がやたら姿勢よくて笑っちゃうんですが、基本、殺し屋なので怖いです。サイレンサー付きの銃でどんどん人を殺します。猛スピードでマルコを乗せた車と並走して、ニヤっと笑いかけた瞬間にまだ銃をぶっ放す。敵なのか味方なのかわからないまま、どんどんストーリーが進みます。ラストを飾るアクションシーンは壮絶かつクール。ライフルやピストルやらを360度から突き付けられてるのに、そこから挽回してしまうのが、さすが貴公子曰く「プロ」。血まみれになっているところさえもクール。でも、足に銃弾がかすっただけで大騒ぎするところはちょっとお茶目です。結局、貴公子はマルコの味方なのか敵なのか。ラストで明かされた貴公子の目的と結末は、観ているこちらでもちょっと読めていたのですが、この少々予定調和的なところも私は好きです。貴公子がずっと咳をしたり血のようなものを吐いたりしてたので、「病気?」と思ってたし、「これが最後だよ」といってマルコに会いに来たりしてたから…ほろ苦く終わるのかと思ったら!最後の最後がいちばんどんでん返しでした。完全無欠の美男・貴公子とか、捨てられたワンコみたいにほっとけないマルコに萌えたい人には超オススメ。
2024.04.13
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輸入盤 VACCINES / PICK-UP FULL OF PINK CARNATIONS [CD]今年の1月にリリースされたThe Vaccinesの6thアルバム「Pick-Up Full of Pink Carnations」。Vaccinesといえば、たしか私は1stを買ったはずです。けっこう気に入ったはずなのですが…行方不明。そして、何となく音楽から遠ざかっている間に、すっかり彼らのことを記憶の彼方に追いやっていました。が。先日、Drownersの音楽に行き当たった際、VoのMatthew Hittが今なにしてるのかなと思ってググってみたら、彼がVaccinesのサポートをしているという事実を知ったわけですね。そこで、じゃあいまVaccniesはどんな音を鳴らしているのかなと聞いてみたら、ナニコレめっちゃいいじゃないですか。そして久々に手にした彼らのアルバムが、この一枚なのです。1stの感想に「ぼわっとしたとこがいい」とかなんとか書いていたようなのですが、その印象は変わらず。なんというか、浮遊感と高揚感と多幸感が混じり合った、不思議なサウンドに聞こえるのです。メロは強烈にキャッチーでポップ。だけど、VoのJustin Youngの声が、絶妙な低さとハスキーさとセクシーさで、サウンドを見事にロックに塗り変えている。そんな印象を持ちました。本当に、この1枚はどの曲もキャッチーで耳に残るんです。1曲目の「Sometimes, I Swear」なんて一発でサビを覚えるくらいのインパクト。核となるのは「Heartbreak Kid」なのかな。明るい曲調なのに詞はなんとも含蓄がある(ように思える)。タイトルだけ見たらまんま「失恋したの?」とか思いますが、読んでみるとそれだけじゃない。と思ったら、アルバムの曲ほとんど全部が、言葉の裏を推測したくなる、実に意味深な歌詞なんじゃないかと思ったりもしました。まだまだ勉強が必要です、私。「Discount De Kooning (Last One Standing)」や「Sunkissed」も頭の中でずっとぐるぐると回り続けるくらいにキラー・チューンです。Sunkissedの歌詞がなんだかもう好き。甘くて。今回初めて彼らの歌詞を活字で目にすることができて、バンド全体への見方はかなり変わりました。彼らの音は、キラキラとした光の粒子に包まれながらも、それが消え去る瞬間の影もまとっている、カッコいいロックチューン。何といっていいかわからないけれど、すごく楽しい時間とそれが終わる瞬間を同時に感じさせれくれる、そんな感じ。それを支えるのが、時にほろ苦く、くらくらするほど甘く、かと思えば突き刺さるような言葉たち。たまりません。これは困った、過去のアルバムも全部チェックしないといかん。
2024.04.10
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ブロークバック・マウンテン【Blu-ray】 [ ヒース・レジャー ]友人に会ったときに、映画の話題からブロークバック・マウンテンの話になったので、まだ見たことがないという友人に激推ししました。そしてアマプラでまた見返しました。この映画、2005年の作品だったのですね。ずいぶん前だったんだと今さら思いましたが、当時、映画館で観ました。そして泣きました。オスカーにもノミネートされましたが、ほとんど受賞せず、やはり作るのが早すぎたのかなと今になっては思います。でも、これはゲイうんぬんを考えなくても、本当に切なくて純粋で辛いラブストーリーなんです。で、私はこのサントラももれなく買っていたのですが、友人との話で思い出し、ようやく自宅で発見しました。そして聴いてみて、もれなく泣いているわけです。当時よりはもうちょっと英語の理解がマシになった自分のせいか、歌詞が刺さりまくる。全部がイニスとジャックのために作られたような歌。よくこんなに見つけてきたなと思いますよ。Willie Nelsonが歌う「He was a friend of mine」、これはBob Dylanの歌ですが、Willieの渋く深みのある声がたまらない。Emmylou Harrisの「a love that will never grow old」は、声が美しすぎてたまらない。マブダチのTeddy Thompson&Rufus Wainwrightが歌う「king of the road」の切なさにも身もだえしますよ。何より、十数年ぶりに聴いたはずなのに、歌が流れ出した瞬間に涙ぐんでしまったのが、Teddy Thompsonが歌う「I don't want to say goodbye」ですよ。イニスとジャックの物語がもう頭の中にあるせいで、突き刺さるんです。しかもTeddyの透明感があって優しい声がハマる。たぶんこれで彼のことを知ったんですよね。大御所Linda Ronstadtの「it's so easy」でホントにたやすく恋に落ちたいと思ってしまったり、ラストを飾るルー様の「the maker makes」でしんみりと映画全体を思い返し、まだ涙ぐんだのでした。途中途中で挿入される、映画のために作られたインストナンバーも素敵です。ブロークバック・マウンテンの美しく雄大な自然が、脳裏によみがえるようです。本当に素晴らしいサウンドトラック。しばらく私の中でリヴァイヴァルです。
2024.04.07
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アカデミー賞を多くの部門で獲得した話題作「オッペンハイマー」、やっと見てきました。最初は単にキリアン・マーフィーが見たいというミーハーな思いもありましたが、やはり、扱うテーマがテーマなだけに、これは慎重にいかないとなと覚悟を決めるのにちょっと時間がかかりまして。確かにキリアン・マーフィー(と彼の青い瞳!)すごく素敵で、知的で、でも女性には弱くて(笑)、策略にはちょっと疎くて…オッペンハイマーを魅力的に演じていたと思います。でもなんであんなにすぐ女に手を出すの。笑もちろんそういうことだけではなくて、オッペンハイマーの苦悩、憤り、悲しみを眼差しで語る彼の演技が、素晴らしかったです。周りを固める俳優陣も豪華!ちょっとしか出てこないですが、ケネス・ブラナーがやっぱり素敵。ジョシュ・ハートネットも胸板厚くてカッコ良かったです。原爆の父と呼ばれるオッペンハイマーがいかにして原爆をつくり出すに至ったかを描いているわけですが…みんなで楽しそうに量子力学の話とかしているうちは微笑ましく見られるのですが、やはり、原子爆弾の開発のためにロスアラモスの研究所を作るあたりから、だんだんと不穏な雰囲気になります。アイマックスとかで見たわけではないのですが、冒頭の「核」を思わせる轟音で、すでに、物理的にではなく、心の底から震えていました。怖くなりました。そして核実験に成功するシーンは、直視するのもつらかったです。閃光、爆発、轟音、そしてあの特徴的な雲。うまくは言えないけれど、心臓をぎゅっとつかまれる、気持ち悪い感覚がありました。そして鼓動が跳ね上がり、胸が苦しくなりました。あれは怖気立つという表現が正しいのでしょうか?オッペンハイマーは、核実験の成功後、喜ぶみんなの中で少し違う顔をしていますが(でも、ざまみろとかドイツにも落とせばよかったとか別のシーンで言ってます)、彼以外の人々はみんな歓声をあげています。あれが当時のアメリカなのでしょう。複雑でした。広島と長崎の様子は、多くは語られません。私は、映像とかで語られなくて良かったと思います。そんなシーンがなくても十分辛く、心が震え出すくらいなのですから、描写があったら絶対見ていられなかったと思います。原爆をつくり出した当初は、これで戦争が抑止できると信じていたオッペンハイマーですが、実際はその反対で、核の開発競争が始まることに危機感を抱き、罪悪感に苛まれます。そのこともあって、彼はその後水爆の開発には反対するようになりますし、彼を良く思わないストロース(ロバート・ダウニー・Jr/アカデミー授賞式でホントがっかりした)に陥れられてしまうのですが。そこがこの映画の核だったかもしれませんが、原子爆弾のチャプターでダメージが大きかった私は、少々上の空で見てしまったかもしれません。それに、過去と現在、未来が入り乱れて展開するので、瞬時に理解するのが大変です。もうちょっとよく予習していけばよかったなと反省しました。個人的には、後味は決して良くないです。私は、原爆や戦争に関して決して意識が高い方ではありませんが、今回この映画を見て味わったあの気持ち悪い感覚で、やはり自分は日本人の感情が大きいんだなと思いました。フラットに見ろと言われても、そんなに意識高く見られませんでした。ただ、それでも、見るべきものだったと思います。あらためて、いろいろと考えるべきだと思わされたという点においては。
2024.04.06
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【中古】輸入洋楽CD suede / a new morning[輸入盤]suedeが好きと言っておきながら、たぶん、活動休止前の5作をちゃんとブログに書いたことはなかったかもしれません。最近、部屋の片隅から瀕死のi-Pod mini(超懐かしい)を見つけ出し、その中を漁ってみたら、懐かしい音楽ばかりが出てくるので、今回はsuedeの5th「a new morning」を。従来の彼らの音とは真逆の、晴れやかで清々しくポジティヴなエネルギーに満ちたこの1枚は、ファンにも批評家にも、総じて酷評をもって迎えられたようです。まあ、このせいで活動停止しましたからね…。とはいえ、私はこのアルバムがけっこう好きなのです。そりゃあ、suedeの毒っ気もグラマラスな妖艶さもエロも退廃も背徳もないんですが、なんだか、ぐっとくるところがあるんですよね。特に兄さんが「このアルバムは失敗だった」と至るところで口にしていますが、そんなことを言われるとちょっと悲しい。ある意味、当時のひねくれてこじらせた私には、すごく救いのある一枚だっただけに。そんな人もいると思うんですけれどね。昨年のライヴで隣になった方も、このアルバム好きですよって言っていました。このアルバムの中では、「lonely girl」が一番好きな曲です。ちょっとねじくれて病んだ、淋しい女子たちに向けられる優しい眼差しが感じられて、弱ってるときには涙ぐむくらい好きです。兄さんがこんなに優しく歌うのがたまりません。それと、「in this miracle of clay」っていうフレーズが私の心には突き刺さりました。なんかもう、ブレット・アンダーソンの言い回しって感じがするんです。しかも、この曲はニールの置き土産なので、私には特別すぎます。他にもブレット節だなと思うのは「untitled」の「crushed like a butterfly, dead-eyed at the drive-by in the car」という詞。なんだかやっぱり胸にくるのはなぜなのか。crushedの歌い方が優しすぎてきゅんとします。「one hit to the body」~「when the rain falls」の流れも私的には秀逸です。「one hit to the soul」という歌詞が今になって切なくも感じるのは、ブレット(とバンド)が生まれ変わるのに必要な、痛みを伴うプロセスを経験してきたことを理解できたからなのかもしれません。ボートラの「simon」も大好きです。これもニールが作ってるので余計に好きです。どこまでも切なく悲しく、美しいメロディに胸が痛くなります。ホントに、兄さんと王子のコンビで作る曲は、繊細で美しい。いいんですよ、suedeのアルバムの中で異端で異色で失敗作でも。私の中ではけっこう、輝いています。
2024.03.31
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「瞳をとじて」を観てきました。なんと、監督ビクトル・エリセにとっては31年ぶりの新作ということで。映画の撮影のさなか、主演俳優フリオが失踪。その監督をしており、フリオの親友でもあったミゲルは、22年後、失踪者を追うテレビ番組に出演しますが、そこから物語がゆっくりと進みだします。ゆっくりと流れていく時間の中で、ミゲルの過去、フリオの過去、それを取り巻く人たちの物語が、セリフで多く語られることはあまりないのですが、眼差しや仕草、断片的な言葉たちで紡がれていきます。それを冗長と受け取る人もいるようですが、この時の流れをゆったりと楽しめなければ、この映画を見る意味はないと私は思いました。ミゲルとフリオ、スペインの政情が不安定な中、築かれてきたはずの友情は、フリオの失踪によって断たれてしまいます。彼らの友情がどんなものであったのか、観客は映像とセリフから想像するしかないのですが、ミゲルの眼差しが多くを伝えてくれているように思いました。それを咀嚼しながらスクリーンを見つめ続ける間、いろいろなことを考え、映画を見ながら思索にふけるという興味深い時間を持つことができたと思います。なかなかない体験でした。フリオではないかという人物が見つかった、というところから、ゆるやかな物語の展開が、少しだけそのスピードを上げます。とはいっても、大河の流れの強弱みたいなもので、急展開!というわけではありませんが。ただ、そのわずかな緩急でさえも、心地良い。ラストシーンは、フリオが失踪したせいで未完となった映画「別れのまなざし」の上映です。記憶を失ったフリオがスクリーンを見つめ、スクリーンの中のフリオの眼差しがこちらにまで何かを訴えかけてくるようなワンシーンでした。最後、フリオの記憶が戻ったかどうかは描かれません。ただ、私には、記憶喪失で澱んでいた彼の眼差しが、最後の瞬間だけ、はっきりと正気に戻ったように見えました。ミゲルの飼っているワンコが可愛いです。船に乗って、ミゲルの帽子をかぶっているところが悶絶するほどキュートでした。ハラハラドキドキスペクタクルな映画もいいけれど、こういう、自分の時間を噛み締めながら楽しめる映画は、私の心にとっては何よりの栄養です。
2024.03.31
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【輸入盤】 Suede スウェード / Beautiful Ones: The Best Of Suede 1992 - 2018 (2CD) 【CD】兄さんの後ろ姿だけなのに、どんな顔をして笑っているのか容易に想像できる。こんなに、ファンへの愛にあふれたジャケットでいいんでしょうか。本当に当時の自分を罵りたい思いですが、私、これが出たことをまったく知りませんでした。けっこう最近まで。ファン大失格です。リリースが2020年。そうです、音楽を聴くことがほぼゼロになっていた、音楽における私の暗黒時代です。聴いたって良かったのにそうしなかった。ものすごく重い足枷に囚われ、小さな世界に閉じ込められ(閉じこもり)、失ったって大したことないものを失うことに恐怖していたあの時期です。昨年末ごろになってようやくその暗黒時代とその余韻から脱出し、自分の好きなことを好きなときにやれる環境に戻ることができて、SuedeとManicsのライヴにも行けて…とそんなところでやっと知ったこのベスト盤。前2枚のベスト盤ももちろん持っていますが、今度のものは再結成後に出たアルバム三部作からもチョイスされているのが、新しい。当然ですが。あとは定番曲とメンバーのお気に入りとか入れたのだそうなんですが、唐突にIndian Stringsとか入ってるのでびっくりしました。My Dark StarとかTo The Birdsとか入ってるのが嬉しいですね。最近の三部作からはやはりLife Is Goldenが際立ってます。この曲はSuedeの短くない歴史の中でも屈指の名曲。休止期間があるとはいえ、30年の紆余曲折を知っていると、こんな曲を書くようになったんだなあと胸に来るものがあります。そして私の人生も黄金期です。気持ちだけ。It Starts And Ends With Youも思い入れが深いですね。あのPVを見たときの感動、Suedeが本当に戻って来るんだという興奮と歓喜が今でも胸によみがえります。……というわけで、結局、彼らの音楽がいちばん。
2024.03.27
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CD / LUNA SEA / EDEN (CD+DVD) / UPCH-20057私が彼らのアルバムの中でいちばん好きな一枚です。当時、LUNA SEAの音源は、友達のお兄さんを通じてちょっと借りたことがあり、IMAGEとかLUNA SEAとかはすでに聴いたことがありました。ただ、自分で買ったアルバムなら、この「EDEN」が初めてです。BELIEVEとかIN MY DREAMのシングルはもちろん持ってましたけれど(死ぬほど聴いた)。乱暴に簡単に言ってしまうなら「耽美」の一言に尽きるのでしょう。そして、こういう世界観はたいてい思春期に刺さるのです。言うなれば「ぶっ刺さる」。愛を歌っていても肉の匂いがしない。エロティックなのにエロではない。そこが、妙に潔癖なところもある思春期にははまるのでしょう。そんな思春期の私にぶっ刺さったこのアルバムは、もうウン十年経った今でも、私が一字一句歌詞をいまだに覚えているという稀有な一枚でもあります。子供の記憶力ってすごい。それに、私はこのころのRYUの歌い方がいちばん好きなのです。粗さが目立つところが、そこがまたいい。耽美と激情を行ったり来たりするところが、いいなあと昔からずーっと思っています。もちろんそれ以降は一皮以上むけて、上手になったなとは思いますが、やはり私はこのころがいちばん好き。BELIEVE(PVのRYUの動きがめっちゃ好き)やIN MY DREAMはどうあがいても大好きですし、ライヴの定番Providenceなんて、あの時にあれだけの世界観をSUGIZOのヴァイオリンにのせてぶち込むという驚愕の離れ業。いま考えてみても、彼らの才能はすさまじかったんだなと実感します。アルバムの中で一番好きなのはJESUS。真矢のドラムスが響いた瞬間に鳥肌が立ち、あの不穏きわまりないギターが入って、Jのベースが唸りだして、RYUのシャウトでバーストですよ。たぶんLUNA SEAの曲の中でもトップ5で大好きです。歌詞含めてたまらないのはANUBIS。死とか(アヌビス含め)永遠とか愛とか貴方とか、やはり中二くらいには刺さるんですよ。しかも私、バリバリの腐女子でもありましたので、キャーキャー言いながら聴いてた当時を思い出し、ちょっと懐かしくもなると同時に、薄まっているとはいえいまだに自分に流れる腐女子の血を再確認したのであります。LAMENTABLEのイントロはアルバム中最強。Jのベースのカッコよさが最大限に発揮されてて、ずっとベースラインだけ追っていられます。さて、次はセルフ再録のLUNA SEAかな…
2024.03.26
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最後30分くらい、心臓が波打つくらいドキドキしっぱなしで、これほどの高揚感を味わったのは久しぶりでした。先日ちょうどアマプラでPart1を見ていたので、そのテンションで突入した「デューン 砂の惑星 Part2」。私はSFにほとんど興味がない方なのですが、Part1の不思議な世界観にかなり引き込まれ、Part2も俄然見たくなったわけです。一作目は本当に導入という感じでしたが、今回は大きな展開で終始エキサイティング。一族をほぼ皆殺しにされたポール・アトレイデスが、砂漠の民フレメンを率いて、仇であるハルコンネン家、ひいては皇帝シャッダム4世に挑みます。砂の惑星なので相変わらず砂だらけなのですが、この砂の世界がなんとも幻想的で、それだけで引き込まれます。画面に紗がかかったような雰囲気で、常に静寂がつきまとっているのですが、時に技術が現代を超えたものであったり、古めかしいのに機能的であったりと、これはやはりSFならではの設定なのでしょうが、私にはとても新鮮でした。とにかく、ティモシー・シャラメが妖艶で力強くて、その存在感はすさまじい。「君の名前で僕を呼んで」の子がこんなになるんですか!?一作目ではまだまだ若木のようだった彼が、フレメンの信用を得て一気に統率者となり変容していくさまが、不気味でもあり胸が痛くもあり。フレメンに仲間意識を持ちながらも、自分の目的のために、彼らが求める救世主リサーン・アル=ガイブへの崇拝心を利用し、ポールはてっぺんに立つわけですが、時折見せる、暗い苦悩を秘めた眼差しにくらくらします。とはいえ、「I am Paul Muad’dib Atreides, Duke of Arrakis!」と彼が叫び、フレメンの民が咆哮を挙げる瞬間は、何かすごく大変なことになりそうだと思うと同時に、血が湧き立つような感覚も覚えてしまいました。チャニの複雑そうな表情が挿入されるので、余計に、ね…。でも、このシーンからシャッダム4世を屈服させるところまで、終始私の心臓はバクバクでした。この興奮はなんだ、いったいどこから湧き上がってくるんだと自分でも戸惑うほど。そして、大領家との全面戦争を示唆するところで終幕なのですが…もう、次どうなるの!早く見たい!砂虫を乗りこなすシーンの迫力も目が釘付け。砂虫を畏れながらも、時にそれを移動手段として使いこなすフレメンのたくましさは、頼もしい。ハルコンネンに戦いを挑む際、砂の中からみんながいっせいに飛び出すシーンは鳥肌が立ちます。スティルガー頼もしすぎて大好きです。リサーン・アル=ガイブとか、クウィサッツ・ハデラックとか、不思議な固有名詞ばかりなのですが、それがすっと頭に入り、物語を楽しめるのは、やはり監督の手腕なんでしょうかね。宗教と政治、戦争が絡み合う世界は、現代への警鐘でしょうか。核弾頭が92発って、それは…使うの?という不安も続きますし、イスラムとキリスト教世界を思わせるような雰囲気も、危うくて、恐怖めいたものを感じますし…でも、見たくなるんですよね。これがどういう帰結を迎えるのか、本当に楽しみです。個人的に、ガーニイが生きてたのが嬉しすぎてたまりませんでした。「老いぼれ」とポールが呼んだ瞬間、ちょっと涙ぐみましたよ。だってみんな死んじゃったと思ってたので…それと、オースティン・バトラーが原型をとどめてなくてびっくりしました。あの頭、メイクで作ったらしいですが、それもすごい。でも彼があんなんで本当にすごい(笑)。伯父上とのキスシーンまで(しかもアドリブらしい)あって、ものすごいインパクトでした。
2024.03.20
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Suede熱に浮かされて、それこそ毎日のように関連サイトなどを漁りまくっていました。離れていた時間が長いので、掘れば掘るほどいろいろ出てくるものですね。そんな中で、どこかからふと出てきたのがDrownersというバンドでした。もうひとつのDrownersは知ってるんですよ。北欧のバンドで、Muted To a Whisper?でしたっけ?とかリリースしている方。割と好きなサウンドだったんですが、最近の音源は少し好みではない。そして、今回のDrownersはアメリカ発。とはいっても、中心人物Matthew Hittはウェールズ出身で、NYに渡ってモデルとバンド活動を平行して始めたのだそうです。ちなみにこの人すごくカッコいいです。私は最初に音源ありきだったもので、PV初めて見たときびっくりしました。モデルなんだからカッコいいのは当たり前なんですが。アルバムは2枚リリースされていますが、1枚目の方は、ガレージサウンド感が強く、テンポはいいけれどそこまで私に刺さるものではありませんでした。しかし、私が偶然出会った1曲は、2枚目のアルバム「On Desire」のリード・トラック「Cruel Ways」。これが、とにかく素晴らしい。この曲だけでこのアルバムを買う価値があったと言ってもいいくらいだと私は思っています。ギターの音が一発鳴っただけで、「あ、この人たち変わったぞ」と思わせるほどの激変ぶり。メロディの質がガレージっぽい粗さからかけ離れ、暗さと切なさをダダ洩れさせています。この音を鳴らしてくれるなら、Drownersというバンド名にぴったりと全面的に賛成です。何度PVを見たかわからないくらい見ましたし、音源も数えきれないくらい聴いてしまいました。そしてやっぱりCDを買い求めました。他の曲たちは、1stの流れを汲んだ軽快かつ疾走感のあるロックナンバーが多め。なのですが、アルバム全般を通して、Cruel Waysに見られるような、どこか陰鬱さと苦さを秘めた感じがするのです。ソリッドなギターサウンドが、ニューヨークらしいなとも思ったりしました。残念ながら、いまは活動していないようですね。けれど、Matthew Hittは現在The Vaccinesのサポートギタリストとして活動しています。VaccinesのSNSとかしょっちゅう登場しているので、元気にやってくれているのが嬉しい限りです。
2024.03.19
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犬だらけという情報だけでもう見に行きたかった「DOGMAN」。でも、万が一ワンコが死んでしまうなんてことになったら絶対見られないので(そのせいでジョン・ウィックの一作目見られてないし、キングスマン2の最初は飛ばします)、どうかなあと思っていましたが、いろいろ調べたら「犬は無事」という情報が出てきたため、見に行きました。煽り文句が「規格外のダーク・ヒーロー」とあったので、どんな感じかなと思っていましたが…ダーク・ヒーローというより、これは悲劇のダークヒロインでしょう!検問で止められたトラックの運転席には、女装した男。荷台には数十匹のワンコたち。警察署に連れていかれた彼は、精神科医に自分の生い立ちを話し出すのですが…という導入です。主人公の「DOGMAN」ダグの生い立ちが本当に壮絶で、スクリーンから目を背けたくなるほどでした。父と兄に虐待され、母は逃げ、犬小屋に放り込まれて過ごした少年時代。唯一の心のよりどころは、犬たちでした。そうなんです、犬は絶対に裏切らないです。とにかく家族と認めたひとを愛してくれるのです。それは犬を飼ってきた経験から、痛いほどよくわかります。だからこそ、犬たちとダグの結びつきの強さに思わず涙が出ました。そしてこのワンコたちがみな頭が良すぎる。良すぎてあまりにも出来すぎな感がありますが、健気で勇敢で愛情深い彼らにウルウルしますよ。ダグの部屋へと続く廊下で門番のように鎮座するドーベルマンの子、目だけで演技してます。すごい。ダグは幼少期の不幸な事故により、車椅子生活です。なので、ダーク・ヒーローみたいなアクションはないし、アクションしてるところも、必要に迫られて必死でやってるだけなので、カッコよさもありません。そんなことよりも、彼が地べたを這いずるかのように生きる様の方を見て欲しい。どこに行ってもハンディキャップのせいで就職を断られ、最後に行きついたドラァグクイーンのバーでついに自分の場所を見つける。幼いころに味わった、演技によってまったく違う人間になれることの喜びを、彼はここで得るのです。エディット・ピアフを歌うシーンは吹き替えなのでしょうが(これはちょっと残念だけど仕方ないか…)、ダグの表情に浮かぶ恍惚感が、嬉しくも切ない。その直後に彼に訪れるカタストロフィが想像できるだけに、辛かったです。最後は救われたと信じたい。ダグを演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズですが、ふだんのフォトを見ているとすごくスタイリッシュでクールな佇まい。だけれど、この作品では、ドラァグ・クイーンの退廃的な雰囲気を醸し出し、不健康にたるんだ身体や、緩んだ顎までリアルです。すごいですね、俳優さんて。
2024.03.17
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STYLE (CD+スマプラ) [ LUNA SEA ]「MOTHER」の再録と一緒に到着した「STYLE」。初めて聞いたのは、たしか高校生くらいだったでしょうか。「MOTHER」の曲がほぼキャッチーなもので固められていた印象なので、「STYLE」を初めて聞いたときは、「ん?」と思ったような記憶があります。しかしながら、今回再録版を聞いてみると、個人的には「STYLE」の方が断然好みでした。そりゃあ何十年も経っているのですから、音の好みも変わりますよね…。とにかく「G.」がカッコ良すぎるのです。新しいPVも、何度見ても飽きないのでほぼ毎日見てます。イントロから飛ばすギターとうねるベース。私はもともとSUGIZOファンで来たはずなんですが、もう最近はJ一筋です。笑「G.」に対してここまでロックな印象がなかったので(当時はそこまで好きじゃなかったからかも)、本当に驚いて、ここでまた改めてLUNA SEAが好きになってしまいました。この一枚を聞くと、私はあらためてロックナンバーが好きなんだと実感します。「HURT」の重厚な音、「1999」のヒリヒリするギターサウンド、「END OF SORROW」から「DESIRE」になだれこむ高揚感。それを呼び覚ましてくれたスティーヴ・リリーホワイトのミキシングに大感謝です。ひとつだけ言うなら、もう少し楽曲が短いと聞きやすい。個人的な好みですが。で、調子に乗って「EDEN」のリマスター盤も買ったのですが…それはまた後程。
2024.03.17
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MOTHER (CD+スマプラ) [ LUNA SEA ]今でこそ私は洋楽ずっぽりの人間ですが、思春期はいわゆる中二病的なものをかなり内に秘めていました。その最たるものが、ヴィジュアル系への傾倒。本当に、笑っちゃうんですが、でもあのころは真剣だったんですよね。SHOXXとか死ぬほど買いました。そんな中、もちろんLUNA SEAは避けて通るはずもなく。というか自分でぶつかっていくくらい大好きでした。いや、今も好きです、というか、あらためて好きを思い出しました。彼らがインディーズから破竹の快進撃でメジャーデビューし、絶頂をきわめ、活動停止したあたりまでは本当によく聴きました。その後再結成したことは嬉しかったのですが、今さら追うこともないかと、さして音源を積極的に聞くこともなかったんです。ところが、それを覆したのが、「MOTHER」と「STYLE」の再録リリース。全然知らなくて、友人に教えてもらって初めて知りました。しかもミックスを手掛けたのはスティーヴ・リリーホワイト。え、Morrisseyの人じゃんと私は思いました。U2とかPeter Gabrielとか錚々たる方々をプロデュースしてる人ですね。なんでそんな人がLUNA SEAを!?というところですが。さて、MOTHERですが。一発目から音が違います。メロディは同じだけれど、オリジナルとはまったく別のアルバムと思って聞いてもいいかもしれません。音の粒が際立ち、ドライな感じがするなと私は思いました。すごく軽快なのにとてもロックを感じる不思議さ。RYUICHIの声もずいぶん違います。伸びやかさならオリジナルですが、再録の音にはやはり今の声が合うのかな。LOVELESSの新しいPVも本当にカッコいいです。年を取っているはずなのに、今の彼らのほうが断然カッコよく見えるのはなぜなのか。やはり、年季ってすごい。ROSIERやTRUE BLUEはいわずもがななのですが。私が好きなCIVILIZEの変わりようには、驚くと同時に、リリーホワイト凄い!と嬉しくなります。ギターの歪みにベースの不穏なうねりが全然違う。ドライなドラムスが重すぎなくて聞きやすいのに、なぜだろう、ロックです。それに対して、IN FUTUREの重さと疾走感は、LUNA SEAの尖ってたころをそのまま突っ込んできた感じがします。後ろでがなるギターににやつきます。好きです。しかし、このアルバムを20代の半ばくらいで作っているんですよね、彼らは。こんなに作り込んだ世界観を生み出せることの凄さを、当時の中二病の私は「ふーん、すごい」くらいにしか思っていませんでしたが、この年になると、やっぱり彼ら只者じゃなかったんだと感動しています。
2024.03.16
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映画館のフライヤーを見て、ちょっと気になっていた「ゴールド・ボーイ」。偶然、殺人の様子をカメラでとらえてしまった中学生3人が、それぞれの抱える問題が「お金」で解決できるんじゃない?と考えて、殺人犯を脅迫するというストーリー。岡田将生さん演じる殺人犯・東昇の鬼畜っぷりが素敵でした。白々しく泣き叫んだり、中学生3人に強請られて醜く唇を歪めたり、いろんな表情がたまりません。きれいな顔立ちだからこそ映える、人間の最底辺の感情表現がゾッとするくらい気持ち悪くて良かったです。血まみれシーンも凄味があって素敵。あと、スタイリングがクールだな~と思いましたが、あれはたぶんヨージヤマモトなのかな?クレジットにも出ていたので。ヨージをカッコよく着こなす男は最高です。中学生3人のうち、主人公格の朝陽が、東を上回るサイコっぷりをラストに発揮します。映画前半の彼を見ているうちに、彼は「いい子」だと思いこまされてしまうんですよね。でもそれが違うことがわかるのが、怒涛のラストへとつながる惨劇のシーン。「そして誰もいなくなった」の状態で、映画冒頭の東が義両親を殺めておきながら、白々しく叫んだ「助けてください!」のセリフを、東と同じ状況で朝陽が言うとは。ここからの朝陽は別人です。というかこれが素だったんですが…母を殺めることもほぼ何とも思ってないところが(結局殺してはいませんが)、昨今起きがちな少年犯罪の香りに通じているように感じられ、ちょっとぞくっとしました。予告編とか見てたら、青春モノっぽく終わるのかなと思ってたので、まったく異なる展開に終始ドキドキしっぱなしでした…が、何かが物足りなく感じたのも事実。ちょっと人物描写が表面的かなと思ったりもしました。展開は予想外ですが、行きつく先は「あ、やっぱそうか」という感じだったので。でもこれ、続編予定あるんですか?ラストに「2?」って出てきたんですけど。見るかどうかは…わかりません。
2024.03.12
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このアルバムが出てもう10年は経過してしまっているのですが、今さらながら、Roddy Hart & Lonesome Fireのセルフタイトルアルバムです。なぜ今ごろこのアルバムなのかと言うと、ひじょうに遅ればせながら、最近の私はyoutubeを見るのにハマっているからなのですね。最初はSuedeばっかり見ていたのですが、だんだんといろんなアーティストを検索するようになり、たしかBiffy Clyroのあたりで候補にRoddy Hartが出てきたように思います。なんでビッフィとロディ?と思ったら、彼らはCeltic Connectionsというイベント?なんでしょうか、それで共演している動画が出てきて、うわ懐かしい、とテンションが上がってしまい…そのRoddyがいたくイイ感じに年を重ねてたのを見て、Roddy Hart & Lonesome Fireのアルバムを引っ張り出すに至ったのです。さて、このアルバムですが、Roddyのソロ「Bookmarks」とかとは全然毛色が違います。ロックです。カッコいいです。そしてLonesome Fireのメンツがクールすぎる。イケメン揃いです。アルバムジャケットを開くと、ダークスーツでビシッと決めたRoddy以下、Lonesome Fireの面々がずらりと並んだ写真が!ちょっとね、これはクラクラするくらいカッコいいです。PVも素敵な「BRIGHT LIGHT FEVER」がリード・トラックなのでしょうか。疾走感あるロック・チューンで、ドライブ中だとスピードが出てしまうので少し危険。それに続く「HIGH HOPES」は、しっとりとしたバラード。Roddyの芳醇な声が存分に発揮され、次の「QUEENSTOWN」はピアノが美しく、どこか冷たく鋭い雰囲気もあるナンバー。私はこの曲がかなり好きです。ピアノがGeoff Martynだから、ひいき目に見ても好きです。全体を通して聴くことで、味の出てくる、大人のミディアム・ロック・アルバム。もう一枚アルバムが出ているので(買い忘れてた)、近いうちにゲットしようと思っています。
2024.03.12
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ずーーーーーーっと楽しみにしていた、マシュー・ヴォーン監督の最新作「アーガイル」を見てきました。「キングスマン」シリーズが好きすぎて胸が痛いほどの私ですが…今回も楽しかった!です。小説家エリーが書いたスパイ小説が、いつの間にか現実を予言してしまうような展開になり、エリーは謎の組織に命を狙われ…というところでヘンテコスパイ・エイダンが登場。最初のアクションシーンは列車の中なんですが、これがまたカッコいい!キングスマンでのパブや教会での戦闘を思わせるようなキレッキレのアクションに、序盤なのに目を奪われっぱなしでした。そこからの展開ももう…いったい誰の言ってることが本当で、嘘で、誰が味方で、敵なのか。はたまたエリー自身も悪だったのか!?というところまで混乱しちゃいますが、最後はちゃんと収まるところに収まって大団円。都合良すぎないかい?という展開もちょこちょこありますが、そこはいいんです。やっぱり最後はハッピーに終わってほしいですから。最初は全然冴えないエリーが、後半は別人。むしろエイダンより強い。強すぎ。オイルの上でのスケーティングアクションとか(ちょっと笑いましたけど)、カラフルなガスの中でダンスを踊るように敵をバッタバッタと倒しまくる二人のコンビネーションとかも見ごたえばっちりです。長いアクションシーンはキングスマンの時から大好きな展開で、もうワクワクしながら見入ってしまいました。私はヘンリー・カヴィルが演じるアーガイルがメインを張ると思っていたのですが、そうでもなかったところが意外でもあり、面白いなと思ったところでした。角刈りが変なのがまた良い。けど、ラストでちょっと違う姿で登場したので、ここで「え!?」となります。で…エンドロールが始まった後しばらくすると出てくるシーンで、思わず口を押さえてしまいました。え、だって若いアーガイル(超イケメン)が!?バーの名前がキングスマン!?つまり、アーガイルとキングスマンの世界は同じってことですか!!!驚きすぎて、語彙力をなくして「もうやばーい!」と叫びながら運転して帰ってきました。でも、てことは…元CIA副長官アルフィーを演じてたのがサミュエル・L・ジャクソンなんですよね。キングスマンと同じ世界なら、彼は…キングスマンの敵役・ヴァレンタインになっちゃうのでしょうか???私が当初から楽しみにしていた要素のひとつが猫さまなのですが、猫のアルフィーがキュートすぎて、出てきた瞬間からにやけました。可愛い。そしてアーガイル柄の猫リュック欲しい。あまりにもアルフィーが可愛いので、すぐに家に飛んで帰ってウチの猫さまを存分に愛でました。見ている間も、見た後も、興奮が冷めやらぬ作品でした。キングスマンまた見よう。
2024.03.05
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映画好きの友人に激推しされて知った、マブリーことマ・ドンソクですが、今回は「犯罪都市 NO WAY OUT」を見てきました。ホントに楽しみにしてたのでワクワクでしたよ。相変わらず破天荒な感じのマブリー(役名はマ・ソクト)が、腕っぷしにモノを言わせて敵を一掃するお話です。つまりはそういうことです。麻薬捜査の過程で、汚職刑事と日本のヤクザと三つ巴になるんですが、車にはねられようがボコボコに殴られようが、彼は死にません。金庫も力づくで破壊します。グロいシーンも多いんですが、マブリーが出てくると全然気にならない(笑)。コミカルなシーンもちょくちょく挿入されているので、思わず笑っちゃいました。そして今回は日本のヤクザの親玉が國村隼さん。あまりにも似合いすぎて素敵。ちょっとしか出てこないんですが、また敵となって立ちはだかりそうな予感が。そのヤクザの親玉に派遣される殺し屋が青木崇高さん演じるリキ。このリキが狂っててカッコいい!日本刀で容赦なく殺し回るのがハマってました。汚職刑事のチュ・ソンチョル(イ・ジュニョク)は、クールで知的なのにやり方が圧倒的に汚いところが良かったです。私は韓国エンタメまったく知りませんが、とても素敵…こういうラスボス大好きです。とはいえ、リキもチュ・ソンチョルもマブリーにぶっ飛ばされるわけですが。早くも、次が見たい映画No.1です。
2024.03.02
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今日公開となった「落下の解剖学」を見てきました。パルムドール受賞、今年度のアカデミーには5部門ノミネートと、賞レースを大いににぎわせている一作ということもあり、期待に胸を膨らませながら、雪の中、映画館へと向かいました。雪深い山荘で、ある男が謎の転落死を遂げるところから、物語は急展開します。唯一、事件発生時に山荘にいたと思われるのは、男の妻であり売れっ子小説家のサンドラ。愛犬スヌープと散歩に出るところだったのが、目の見えない息子・ダニエル。サンドラが殺したのか?それとも事故なのか?…というところで、展開される法廷モノでもあります。最初は妻寄りで見ていましたが、途中で新たな事実が判明すると、夫の苦悩もすごく理解できるような気がしました。というか、サンドラ、それはエグい…!この人物相関図って、日本の家庭でよく問題になるやつじゃないかなと思ったりもしましたよ。日本だったら、夫が仕事で家庭を顧みず、妻は子供の世話と家事で手一杯で、自分の時間を持つことも許されない。この作品の場合はその逆バージョン。いろいろ考えさせられる部分が大きかったです。最初に事件が起きて、裁判でその光景を振り返っていき、それを補う形で事実が挿入されていくと、真実はそういうことだったのか…としかし、この映画はワンコのスヌープが本当に演技派。最初、CGとかで合成したのかと思っちゃいました。そしたら、この子パルム・ドッグ賞をもらっているんですね。納得です。そして、息子・ダニエルも魅力的。演じているのはミロ・ド・マシャールくんというのですね。裁判で明かされていく両親の事実に、心を引き裂かれそうになりながらも、現実としっかり対峙していこうとする姿は感動的でもありました。個人的にいちばん気になるのが、サンドラの旧知の弁護士・ヴァンサン。演じているスワン・アルローが!素敵!素敵以外のなにものでもないです。かつてサンドラに恋をしていた彼が、時折見せる切ない眼差しと、法廷でのキリっとした姿とのギャップにやられてしまいました。でも、ホントにサンドラひどいです。その、真に迫るひどさがまた、いいのかもしれません。
2024.02.23
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いったいいつの話だよ、というところですが、約19年前のお話です。なので、楽天のアフィリエイトにも取り扱いがありません。Suedeの活動停止宣言で抜け殻のようになっていた私をよみがえらせてくれた、ブレとバニのリユニオン。そうです、商業的に大失敗と言われたThe Tearsです。彼らが2005年にリリースした唯一のアルバム作品「Here Come The Tears」を、昨年からのSuede熱リヴァイヴァルに伴い、また聴いています。このアルバム、売れませんでしたけれど。でも、私はけっこう当時から好きでした。Suedeの毒っ気もエログロも背徳感もありませんでしたが(それが売れなかった理由でしょうね…)、ポップに振れたブレバニのコンビが、個人的にははまったのです。先行シングルRefugeesの、これぞブレット節の歌いまわし。Loversの歪んだギターは、バーニーの真骨頂。それを彩る、時に装飾過多ぎみなストリングス。AutographにImperfectionの余りあるキャッチーさ、かつてのSuedeの不穏さを少しにじませるBrave New Centturyのイントロ。Beautiful Painのワウワウいうギター。それらのどれもが、私の心を惹きつけるには十分すぎました。とりわけ、バーニーのギターが唸っているところがたまりませんでした。収録されている曲たちは、表面だけなぞれば、僕ときみのラヴソング。だけれど、Co-Starでは「一緒なら世界が微笑んでくれる、一緒ならしっくりくるんだ」とつづられ、Ghost of Youでは、別れた存在を自分の中から消し去ろうとしても、ふと現われる痕跡に苦悩するさまが描かれています。ある意味、ブレとバニの関係性に似ているような気がしました。つまりは、2人の盛大なる仲直り劇がてんこ盛りの一作なのかなと。リユニオンを決めた直後の、テンションMAXの状態で突っ走ってできた一枚だと思いました。私はそれでもこのアルバムが好きですよ。サマソニで見た彼らを忘れることができません。当時は、まさかこの2人がまた一緒に音楽をやるとは…と、驚きばかりでした。結果として成功しませんでしたが、このバンドのおかげで2人の関係は劇的に改善し、Suede旧作の解説を2人でやってたり、バニがリマスターに全面参加したりと、昔だったら信じられないことがふつうに起きています。Youtubeで見まくりましたよ、2人のインタビュー。このバンドがあってこその、今のSuedeの快進撃があるのだと思います。
2024.02.18
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原作コミックスを読んだこともない私ですが、実写版「ゴールデンカムイ」を見てきました。「俺は不死身の杉元だ!!!」これしか予備知識なかったのですが、とても面白かったです。なんといってもキャラが立っててみんな魅力的。杉元の殺戮マシーンな強さやアシリパの凛とした佇まい。鶴見中尉のキモさ(笑)。山崎賢人くんはいろいろ演じているけど、いいですね~。体重増やして臨んだそうで、登場したとき一瞬だれだかわかりませんでした。陰陽師も見に行きたいです。最近は沈黙の艦隊のおかげで玉木宏さんづいていますが、鶴見中尉のイッちゃってる感がすごく滲み出ていて(脳から滲む変な水も…)、もう好き好き!となってしまいました。なんといっても、新選組大好きな私としては、舘ひろしさんの土方副長が見られたのが感激でした。あんなに年取っててもカッコいいってどうなの。和泉守兼定を手に入れたシーン、鳥肌ものでしたよ。「いくつになっても 男子は刀を振り回すのが好きだろう」って!好きです!あなたが!!北海道の自然の雄大さや、アイヌの文化も知ることができて、興味深い面もたくさんありました。ちょっとコミカルなシーンも息抜きできて良かったと思います。アクションシーンはスピード感も迫力も十分で、見ごたえありました。もちろん続編ありますよね?
2024.02.13
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「禁断の」とか、「美しい」とか、「残酷な」とか…そんな言葉はどうしてもこういうジャンルの映画にはついて回ります。確かにそうなんです。たいていの場合、舞台となった時代では同性愛が違法であったり、忌み嫌われているからこその「禁断」なのでしょう。今回見てきた「ファイアバード」は、「禁断で」、「美しく」、とても悲しい物語でありながら、主人公2人の気持ちが、時に人間らしく非常に利己的にすら感じられたのが印象的でした。ソ連時代のエストニアで、もうすぐ除隊となる二等兵セルゲイと、新しく赴任してきたエリート将校のロマン。2人の切なすぎる物語です。当時は同性愛が露見すれば監獄行き。それでも惹かれ合う2人の心は止められません。とはいえ、軍で生きていくロマンは、セルゲイとのことは隠さなければならない秘密。だからこそ、ロマンは思いっきり利己的です。バレそうになればセルゲイを突き放し、セルゲイの友人であるルイーザと結婚してしまいます。セルゲイはセルゲイで、自分の気持ちに正直すぎて、ロマンと結局よりを戻します。親友ルイーザがどんなに傷つくかわかっているのに…。結局、ロマンとの関係をほぼさらしたも同然な置き手紙を残していくところとか(もちろんルイーザにも見られちゃうとわかっているはず)、「そこ違うでしょ!ロマンにだけわかるように置いてけばいいでしょセルゲイ!」と突っ込みたくなりました。けれど、2人の恋愛模様は本当に美しくて切ない。セルゲイが密かに視線でロマンを追うシーン、ロマンが死の淵から生還して、生きていることを確かめるかのようにセルゲイと抱き合うシーンが印象的でした。そして、2人が楽しそうに過ごす休暇のシーンは、ハッピーエンドは絶望的だとわかっているからこその切なさがありました。あまりにも突然の別れ、ロマンが遺した写真、かつて彼からセルゲイにあげた戦闘機のフィギュア…後半は心に痛いほど響くシーンの連続で、胸がキリキリ。セルゲイがかつてロマンと見たバレエ「火の鳥(ファイアバード)」と見てはらはらと落涙するラストシーンは、切なさの集大成です。ウルっとしますエンドロールの後に、一瞬だけ不穏なシーンが挿入されています。あれは絶対あいつが一枚噛んでるでしょ!主演のトム・プライヤーとオレグ・ザゴロドニーはひたすら美しく凛々しくカッコよく、ため息ものです。トムの筋肉がすごい(笑)。私は、演劇学校時代のロン毛よりは二等兵時代の短髪が好きですねー。
2024.02.11
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今日は「ジャンヌ・デュ・バリー」を見てきました。ジョニー・デップがルイ15世を演じている映画です。それだけで見たくなります。監督はマイウェン。この人がジャンヌ・デュ・バリーも演じています。デュ・バリー夫人と言えば、低い身分から王の公妾にまでのし上がった女性。美貌と知性を兼ね備えていた…というくらいが私の認識ではありましたが(マリー・アントワネットになかなか声かけてもらえなかったっていうのはすごく印象にありました)、この作品だと印象がちょっと違ったかもしれません。マイウェンは実際にすごく美人というわけではないけれど、ジャンヌを演じる奔放な雰囲気にとても引き寄せられました。本物のデュ・バリー夫人がこんな感じだったのかというと、そうではないようにも思えますが…あの時代にここまでの型破りが許されたのかな?と思うところもあります。けれど、創作の中の人物としては魅力的だと思います。とはいえ、ちょっと「伝統をものともせず、ルールを飛び越える自由な女の姿」を強調しすぎかなあとも思いました。一方、ジョニデのルイ15世は気品と威厳に満ち溢れていて素敵でした。おしろい塗ってても口紅塗っててもなんだか素敵。そしてフランス語を喋るところも素敵。そんなに感情を出す人物ではないのですが、ちょっとしたしぐさや視線で「語る」ところがぐっときました。でも、いちばん気に入ったのはラ・ボルド。ずっとジャンヌと王に付き添い、見守り続ける姿が本当に誠実でカッコ良かったです。王太子のルイ(のちの16世)のスタイルが異常に良すぎて、終始気になりまくりましたが、この俳優さんはマイウェンの実の息子さんだとか!俳優というより本業はテニスプレイヤーだそうで。ジャンヌの最期はあえて描かれていません。ルイ15世の死後のことはほぼ端折ってありますが、この作品で描くことではなかったのかな、と。個人的には最後にサンソンとか出てきたら面白かったのに…と思うけれど、そうなっちゃうとまた別の作品ができちゃいそうですね。やっぱり見どころはヴェルサイユ宮殿とか衣装かな。鏡の間や、そこにずらりと並んだ貴族たちの絢爛豪華な衣装には見とれてしまいました。宮殿の庭も本当に美しいし、これこそ眼福でございました。
2024.02.04
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