リバーサイド・カフェ

リバーサイド・カフェ

PR

コメント新着

聖書預言@ Re:フチ子さんのご先祖・一閑人(08/23) 神の御子イエス・キリストを信じる者は永…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2016/05/04
XML
カテゴリ: 音楽
19世紀の末頃、あるイギリスの画家が亡くなりました。
その弟も画家で、兄の愛犬を引き取りました。あるとき、
蓄音器から流れる兄の声にじっと聴き入る犬の姿を見て
彼は...。
もうお分かりでしょう、例のビクター犬・ニッパーのお話
です。しかしその蓄音器がライバルのエジソン蝋管蓄音器
だったとは、私、知りませんでした。

その証拠がこの絵。

ニッパーと蝋管蓄音器
<エジソンの蝋管蓄音器とニッパー>


弟のフランシス・バロウドは描いた絵を商標登録し、エジ
ソン・ベル社に持ち込みました。
ところがエジソンは「犬は蓄音器なんか聴いたりしない」
と、そっけなく言い放って追い返してしまいます。

翌年、バロウドがベルリーナ・グラモフォン社にそれを
提示したところ、社長が気に入り、絵を円盤型蓄音器に
描き替えたら買うよと提案します。こうしてあの有名な
商標が使われ始め、、のちに系列のビクター・トーキング
マシン社が買い取ります。

例のレコード店、HMVも「His Master's Voice」の頭文字、
つまりこの絵の題名からとられていたとは..。

ニッパーと円盤蓄音器


とても印象的で好感度の商標ですよね。
このエピソードでもわかるように、エジソンは技術面や
起業面では天才的な能力を持った人でしたが、ソフト面
では視野が狭く、せっかくの商機をいくつも逃しています。

エジソンの開発した映画は、コインを入れて一人ずつ覗く

していました。その内容は2分程で、ただ日常を映すだけ
のつまらないものでした。それに不満を抱いた映像技師たち
はエジソンのもとを離れ、映画村「ハリウッド」を作り、
そこで質の高い作品を発表してエジソンに打撃を与えます。

キネトスコープバー
<エジソンの覗き映画キネトスコープ・バー>

蝋管蓄音器に関しても、音質的に優れていたにも関わらず、
声の記録だけにこだわり、円盤レコードの音楽産業への
進出を見過ごすことになります。
ビクターは、エジソンの高音質ながら平凡な民謡しか品揃
えのない蝋管に対抗して、有名な歌手による流行歌を大量
に取り揃え、大衆路線を歩んで大成功します。エジソンは
それを見ても自分の路線を変えなかったとか。

電気の普及に関しては技術と投資の点で、エジソンは直流に
こだわります。損失が少なく、遠くまで配電できる交流を
主張したニコラ・テスラは解雇され、ウエスティングハウス
と手を組んで激しい争いとなります。両社は様々な公開実験
を行い優位性を訴えるのですが、これでエジソンはとんでも
ない事をやらかします。

彼は、当時研究中だった電気椅子処刑に交流電流を使うこと
を提案し、動物を使った公開実験で報道陣を唖然とさせます。
交流の恐ろしさを訴えようとしたのですが、そのもくろみは
成功し、交流が採用されます。エジソンは電気椅子処刑の事
を「ウェスティングハウスする」という言葉まではやらせよう
とします。
ちなみに、最初の処刑はなかなかうまくいかず、悲惨なもの
だったそうです。トム・ハンクス主演のグリーンマイルの
あのおぞましい電気椅子シーンが思い起こされます。


このようにエジソンは頑固で癇癪持ちだけでなく、社会通念
的に少しズレていたのも問題の一因だったのでしょう。

エジソンがニッパーの心温まる話題などに興味を示さなか
ったのも、優秀な技術だけで市場は十分席巻出来ると思って
いたからだけでなく、そのような心情に共感するものを持た
なかったのか、なんて思ってしまいます。


ところで、ビクターに大きな貢献をもたらしたニッパーの
原画ですが、最近下塗りが透けて来て、消したはずの蝋管
蓄音器が見え始めたそうです。ちょっとマズイですね。




エジソンの没落-w250
これらエジソンの顛末については「エジソン発明会社の没落」
という本や、下記のサイトで詳細をご覧下さい。

徒然なる猫日記/エジソン発明会社の没落
徒然なる猫日記/エジソンは悪い人

驚異の音質を誇ったエジソン式蓄音器が滅びた理由





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016/05/08 10:01:05 PM
コメント(0) | コメントを書く
[音楽] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: