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2023.09.22
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テーマ: 読書
カテゴリ: 読書感想文







楽園のカンヴァス (新潮文庫 新潮文庫) [ 原田 マハ ]


姉に薦められて読了した。泣いた。


愛してやまない夏目漱石の読み直しや明治時代の純文学、島本理生さんの著作か新書ばかりを読む私に新しい人も読んでみれば?とのことだった。


特に原田マハさんは職業柄もあってか美術に関する小説が多い。


小学生の頃に仏像に魅せられ、大学で仏教美術史の勉強をしていた自分にぴったりではないかと。
「いや〜、西洋の近現代美術は全然わからんしな〜」と言い訳したら、
「岡本太郎好きじゃん。(言い訳すんなや。の視線)」と言われてしまい、読むことにした。
※岡本太郎はピカソの影響を受けている


表紙の口絵通り、この物語はアンリ・ルソーの『夢』という作品を中心としたミステリーである。


伝説のコレクターであるバイラーが



それは『夢』と酷似した『夢をみた』という作品だった。


見極める方法は1つ。


7章から成る物語を1日1章読むこと。


お世辞にも写実的とはいえないタッチで描かれ、サロンで作品を発表した当時から作中の1983年現在もなお『日曜画家』と揶揄されるルソー。


生前はあまり評価されず、不遇の人生を生きてきた。


そんなルソーの作品に魅せられ、愛し、研究し、ルソーの評価を再構築したいと願うティムと織絵。


志は同じだが、方向性が異なる「怪物」と呼ばれる伝説のコレクター、バイラーと
国際刑事警察機構のアートコーディネーター、ジュリエット。


美術品を市場の商品としか捉えず、利益のために人を容易に利用するコンツやマニング。


登場人物たちの想いや思惑が交錯する。


どの分野の研究にも言えることかもしれないが、

作家が好きなら尚更だ。


好きなものと向き合う機会を与えられるが、
相当な根気と集中力を持ち、自分を信じることと疑うことのちょうどいいバランスを保たなければならない。
その幸福と苦悩の描写が、鮮明で苦しかった。


私は大学のとき、ある仏画を題材として卒業論文を作成した。

これは推察か妄想か。本当にこれで結んでもいいのか。


あんなに好きだった仏教美術と向き合うことが嫌になって、集中できない。


周りの先輩や後輩に目をうつすと作品を愛し、大事に研究しているように見える。
自分にはそれができているか。


自分には無理なのかもしれない。


一点集中型ではなく、マルチタスクを得意とする自分には向いていない。
そう言い訳し、悲観したことを思い出す。


画家の苦悩の描写も印象的だ。
自分の中に美を定義できず、さらに美に執着し、かえって美にうんざりする。


情熱を持って美と向き合う画家。
情熱を持って作品と画家に向き合う人々。


その光景が眩しくて美しくて仕方がない。


ミステリーは故意に他人を傷つける人が登場することが多いので、苦手意識があった。
今回もそのような描写があって、心がざわついたが美とひたむきに向き合う人々のおかげで帳消しになった。


作中に登場する作品や画家、詩人は実在する。
調べながら読むことで、西洋の近現代の文化に触れられるのは楽しい。
(巻末には作品リストが載っている。)


作品を愛し、画家を愛することで『同じ時代に生きていたかった、同じ場所にいたかった』と渇望する体験をこの本でしてほしい。


最近、離れていたから久々に友達に会いに行こうかしら。


※なんか読み返してみたら、
人のことをさん付けにしたり、呼び捨てにしたりと表記が混在している。
おそらく今生きている人にはさん付けで、亡くなった人(自分の中では歴史上の人物)には呼び捨てなんだろうなと…。
なんやねんと思った方はすみません。





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最終更新日  2023.09.22 21:40:16


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