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2023.09.17
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テーマ: 読書(9598)
カテゴリ: 読書感想文
◎文庫本版

モモ (岩波少年文庫 127) [ ミヒャエル・エンデ ]


◎今回購入した愛蔵版

愛蔵版 モモ [ ミヒャエル・エンデ ]


ミヒャエル・エンデの名作、モモを読了した。


私にとってモモは特別な本


小学生のときに憧れていた女の子の愛読書だった。
(仮称でAちゃんと呼ぶことにする。)


私が通う小学校は中学受験が盛んで、学年の1、2割ほどがよその中学に進学する。
私もそのひとり。


Aちゃんは大手の進学塾に通っていてそこの全校模試で1、2を争うようなかしこい子だった。



親の希望に沿えぬことはないように程度でしか勉強できなかった私には雲の上の存在だった。


運動神経もよく、小柄ではあるがスラっとしていて髪はサラサラ
まさに才色兼備


でも雰囲気が独特で何を考えているかわからない子だった。
小学生らしくない冷静さをもっていたから、そこまでみんなから人気というわけでもなく、
「すごい子」という一定の距離をみんなからとられていたような気がする。
(もしかしたら向こうがとっていたのかな)


そんなAちゃんでも冷静さを失うときがある。
テストの結果だ。


小学校でのテストは中学受験組からしたら100点は当たり前という暗黙のルールがあった。


Aちゃんが珍しく100点をとれなかった時がある。

周りの中学受験組は覚えのあるそれに、気まずい顔をして
この後、彼女が体験するかもしれない時間に同情の念を抱いていた。


その子の母親は私の母曰く、
子どもの成績でママ友への態度を変えると知られている人で、母も私の成績でそっけない態度をとられたらしい。
(それをわざわざ私に伝えてきたので「悪かったな」と心の中で悪態をついた覚えがある。)



大人でもたまの凡ミスはあり得る。


そう言ってあげたかったけど、それが親に通用するかと言えばそうでもないからなんの慰めにもならない。
できれば少しでも軽く済むように願うしかできなかった。


Aちゃんは天才に見えたけれど努力の賜物なんだ。
こんなに頑張っているのだから、Aちゃんの望むようなところに行けたらいい。
自分の中学受験を棚にあげてそう思った。


そんなAちゃんが何度も読んでいた本がモモだった。
ホームルームでも好きな本として紹介していた。


神保町で古本巡りをしている時、こどもの本専門店でモモに再会して
そんなことを思い出し、気づいたら愛蔵版で購入していた。
(一生持っておいて、最後も誰かに引き継げたらいいなと思って。そういうの好き)


ちなみにこの本屋は姪っ子、甥っ子へのプレゼントを買うためによく重宝している。
皆さんにもおすすめです。
Book House Cafe [こどもの専門店&カフェ]


モモはタイトル通り、モモという女の子が主人公だ。
親がいないモモ
髪はもつれ、服も拾うかもらうかでチグハグ
文字を読むのも一苦労する一見、恵まれない子


だけれど彼女には人の話を聞くことができるという不思議な力があった。


彼女の近くにいると本音で話したい人は本音で話すことができたし、物語を話したい人は素敵な物語を話すことができた。


いいなぁ、モモに出会いたい
そばにいてほしい


モモは近所の人たちの計らいで円形劇場という廃墟に住むことになる。


モモは不思議な力もあってか周りの人びととすぐに仲良くなり、楽しく生活する。
しかし、人間の時間を奪う時間どろぼうたちがやってくる。
時間貯蓄銀行を名乗る彼らは、
お目当ての人間相手に時間の大切さを説きながら無駄にした時間を計上して見せつけ、絶望させる。


ここのシーンがとても面白い
確かに計算は合っているが、理論が破綻している。


彼らが無駄な時間として計上する対象が
睡眠や仕事、食事など無駄とは言い難いというかどうしようもないものを含んでいて、どう頑張っても「無駄な時間の合計=今ままで生きてきた時間の合計」になるのである。


普通なら笑って「いや、なんでやねん」ってツッコんでしまいそうなところだが、
お目当てにされた人間たちは時間どろぼうの自己確信力と勢い、また彼らが発する寒さによって冷静な判断を奪われ、自分の時間を預ける決断をする。


時間をより多く預けるために人間たちは無駄な時間を徹底的に排除する方針をとる。
貯金が趣味の人と一緒の感覚なのかな


目的がない貯蓄はする必要もないと思うのだけれど。
特に時間なんて貯めた後どうするんだい?と思うが、時間どろぼうのせいでそんな考えも浮かばないんだろうな


自己確信力を持っている人の演説ほど怖いものはないと聞いたことがあるし、私も巻き込まれてしまいそう。


きっとどの人間を狙うかも判断しているんだろう。
メンタルが弱った人たちを狙っているのかな?


でもモモは時間どろぼうの策に、はまらない。
時間どろぼうの説得はモモには効かないし、なんならモモの不思議な力のせいで時間どろぼうは秘密を漏らしちゃうことになる。


モモってただ聞くだけじゃなくて、結構質問しちゃうんですよね。
しかも皆その質問に答えちゃう。
相手の裏をかこうとするようなものじゃなくて、素直な疑問を聞いているからなのかな。
ここらへんはクレヨンしんちゃんに通ずるところがあるかも...
それとも子どもあるある?


秘密を漏らしちゃった時間どろぼうはそれはもう大慌て。
モモを捕まえようとするけど、それができない。


時間を司るマイスター・ホラがモモを助けるからだ。
ご隠居さんみたいなマイスター・ホラはモモに時間についてのあれこれを見せ、教えてあげる。


モモは五感、いやそれ以上の感覚で感じたあれこれを周りのみんなに伝えるために一度帰る。
けれども帰った世界はもといた場所からすっかり変わっていた。
時間どろぼうがモモを丸め込むために根回ししていたんですね。


モモはもとの世界に戻したいんだけど戻せない。
時間どろぼうはますます力を大きくしていく。


そこでまたマイスター・ホラがモモを呼び出して、モモに世界の救い方(時間どろぼうの滅ぼし方)を教えてあげる。
でもその方法はタイムリミットが1時間。
色んな邪念や困難が立ちはだかるなか、
モモはなんとか1時間で時間どろぼうを滅ぼして、時間貯蓄銀行に溜まっていた時間を人間に返してあげる。


そしてモモが求めていたもとの世界に戻る。
めでたしめでたし


ざっとこんな感じのお話だった。雑すぎ?


ここでいう時間というのは計測できる時間のことではない。
人間が感じる時間だ。
楽しいと短くてつまんないと長い、そういう時間の感覚のことをいう。


マイスター・ホラ曰く、
時間どろぼうはもともと人間の世界におらず、人間が“時間どろぼうが存在すること“を許してしまったらしい。


許すとは何か。
人間がつまらないと感じる時間があると、時間どろぼうはモクモクと発生するのかなと推察する。


翻訳家の方の力量もあるのかもしれないけれど、モモの文章はなんだか暖かい。
話としては結構、大変な話だがそこまで焦燥感を与えないし、ところどころ滑稽な部分もある。


モモが清廉潔白な主人公でないのもいい。
子どもだから先を見通した時間の計算はできないし、疲れたら疲れたというし
美味しいものが目の前にあるとお行儀など無視して、たらふく食べる。


この欲に忠実だけれども裏のない純粋さがちょうどいい力加減になっている。


Aちゃんはモモのどういうところが好きだったのだろう。
モモに癒されていたのかな。


まあでも、すごい賢い人だったから話の展開、構造がおもしろいとか冷静に分析してそうだな 笑


もう会うことはないんだろうなと思いながらも、Aちゃんのことを忘れることもないなとも思う。







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最終更新日  2023.09.17 15:04:29


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