24階のミミック

24階のミミック

2011.06.08
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 長男の学校では、理科の学習の一つとして、学年ごとに何かを育てる授業を行っている。1年生のときは朝顔で、2年生になったらミニトマトを育てた。3年生の今年は、ホウセンカと、なぜかカイコ。

 年初の学年保護者会では主任の先生が「カイコを育てます」と言った瞬間あつまったお母さんたちが超嫌そうな顔をし、先生がキッとあたりをにらんで「キモイなんていわないでください。お子さんのためです。ただし、世話はお子さんに必ずさせてください」と厳しい指導があったものだった。

 それから2ヶ月。5月の半ばに、5ミリ程度の小さな小さなカイコが箱に入ってやってきて。1ヶ月飼育を続け、いまや我が家のカイコちゃんたちも長さ5センチ、太さは鉛筆くらいに育った。とりたての新鮮な桑の葉を入れてやると大急ぎでむにゅむにゅやってきて、急いでかぶりつき、頭を上下に忙しく動かしてはカリカリ小気味よい音までさせて食べている。

 私も最初は、カイコを飼うときいたときはぎえーーーーっと思ったものだった。
 しかし、毎日えさをあげると一生懸命食べる様子や、ふけばとぶほど小さかったカイコが、日々大きく成長していく姿をみているとだんだん愛着がわいてきてしまい(^^;)
 そのうち、イモムシと考えるとかなりでかくなってきても、いまや全然気持ち悪いとか思わなくなってしまった。
 むしろ、からからに乾いた古い桑の上で、「食べるのちょうだい~新しいのちょうだい~」とそりかえっておねだりしているのをみると泰くんに「早く新しいのとってきてあげなさいっ」なんて注意してしまうほど。
 そして急いできれいで新鮮な葉っぱをとってきた泰くんが、葉を洗って丁寧にふいて、そうっとカイコの上にのせてあげるところをママも颯ちゃんもみんなで覗き込んで一生懸命見てしまう。
 新しいおいしい葉っぱをいれてあげると、カイコのやつ、匂いでわかるのか、カイコなりに精一杯いそいでやってきて、一心不乱に食べ始める。



 なんていうの、一途な姿っていうのかな。カイコって食べるしかないから、身体がそりかえって二つおりになってでも、上にあるおいしい葉っぱを食べようと、ない腹筋を必死で使って倒れながらも頑張る姿がなんだかいとおしく思えてくるのです。
 もちろん、ウチで育てたカイコだからなんだろうけど。人んちのカイコでいきなりデカイの見たらやっぱ受け付けないかもなぁ。

 そして、今日、泰くんが午後のえさをあげたあと、ママにカイコを託してスイミングに出かけて行き、ママはいつもどおりカイコが葉っぱを食べる様子が面白いのでしばらく見ていたところ、2日ほどじいっとして全然動かなかったカイコが、突然脱皮を始めたのを目撃!

 午後のえさのとき、なんだか頭がやたらパンパンで大きいな、と思っていたのだけど、突如、まさに古い洋服を脱ぐように、もぞもぞと身体を動かしながら前に体が出てきたので、あ!これは!と思い観察続行。

 すると若干細くなりながら頭がどんどん伸びだし、お尻のところがぺちゃんこになっていき、はずみがついたらどんどん脱げていき、5分後には前よりさらに真っ白で美しいぷにょりんのカイコが誕生したのだった。
 面白いのは、頭の先の、動物の鼻みたいになってる丸いところは殻のように固いらしく、それもパカっとはずれてくること。それが口の下にぶらさがってて、邪魔なのか一生懸命頭をふってはずそうとしてる。

 脱皮をする前のカイコは2日くらいご飯をたべないので、きっとおなかがすいてるだろうとさりげなく近くに新しい葉をよせておいた。猛烈食べるんだろうな。

 飼ってみてわかったけど、カイコというのは人間が品種改良を重ねに重ねて作った生き物で、筋力がまったくなく、他の野生の虫みたいに箱の壁を登ったり、ましてや食い破るなんてとんでもないことで、「逃げることがない」。
 そうは言っても‥と思っていたけど、本当に平気なのだ。絶対上らない。
 さらに言うと、成虫の蛾になってさえ、飛べない。なんと、憐れなような、不思議な生き物なのである。人が、糸をとるためだけに生み出した究極の家畜昆虫。

 私たちがあげた葉っぱに、一生懸命這い登って食べ続けるカイコを観察しながら、泰くんがささやいた。


 そう、このカイコ、マユにはなっても蛾になることはない。
 学校では、マユになったところで冷凍庫にいれ、殺してしまうのだという。そしてそのマユを使って、2学期に工作をするんだって‥。

 キモイと思っていたときはなんとも思わなかったこの結末。
 命の授業の一つなんだろうけど、このカイコたちが作ったマユで工作とは、なんとも子供たちには残酷な気もする。3年生、どう受け取るのだろう。

 ムシだって一生懸命、生きている。

 かといってすべての命を生かすことはできやしない。このフクザツで難しい世の中の理を受け入れながら成長していくのよね。

 そう、カイコはかわいいといいながら、私は毎日、仕事場で似たような格好のヨトウムシを見つけてはポイポイ、ゴミ箱に放り込んでやっつけているわけよ。私が丹精込めて育てた花や草をバリバリ食べちゃうからよ。
 ヤツだって、小さいときからいるんですけどぉ~といいたいだろうけど、それは許されないわけだ。人間って勝手よね。でも、問答無用だ。

 あまり考えないで泰くんの飼育を見守ろう。
 そして、カイコがマユになるところまで精一杯大事に育ててあげましょう。

 脱皮シーン。貴重な映像なのでビデオにとろうと携帯構えたけど‥やっぱり生で見てるとガンバレーなシーンでも、映像にするとキモイのでやめました(^^;) これは親にしかわからないシーンなのよ(笑)。

 そしてカイコは何も知らずにもぐもぐ食べる。





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Last updated  2011.06.08 17:37:08


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