『塩の街』
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。
塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。
その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。
男の名は秋庭、少女の名は真奈。
静かに暮らす二人の前を、さまざまな人々が行き過ぎる。
あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。
それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた。
この世のいつか。
世界が塩の柱に覆われる時。
人が、塩の柱となってしまう時。
その人を愛した人、その人を憎んだ人、その人を愛そうとした人たちが、
終焉を迎えつつある世界で出会った少女と男の前を通り過ぎる。
相変わらずこの人は、切ない恋を、なんて切なく描くんだろう。
これがデビュー作というのだから、驚き。
その後の作品に比べて甘さはやや控えめではあるけれども、
無骨な男が少女にちょいちょい見せる愛情(いわゆるツンデレ?)がまた、
たまらなかったり(笑)。
自衛官上がり(というかワケあって追い出された)男が伝える愛情が、
これまた不器用すぎてキュンキュンする(笑)。
そしてその不器用な愛を感じつつも、ほんとに愛されてるのかな…?
愛してるのならちゃんと言って欲しい!だけど自分も言えない…、
そんな少女の、幼い中にも大人の女の萌芽が見て取れる。
概して女の方が、やっぱり早熟なのね(笑)。
お互いに好きなんだけど、どう見たって好き同士なんだけど、
2人の間に横たわる違いの大きさに、どちらもそうと言えないもどかしさが、
愛する人を失った人、失いつつある人たちと出会うことによって、
変わっていく。
生きているうちに、命あるうちに、体が塩になって崩れてしまう前に、
愛する人と巡り会えた奇跡と幸運を、なかったことにはできない、と。
愛する人を救うために、お互いが自分の身を犠牲にしようとする。
『図書館戦争』
ほどは熱く甘ったるくはないけれど、乙女にはたまらない(笑)、
一冊でした。
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