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「会津田島祇園祭、行ってきましたよ」
Bさんが、にこやかに話してくださった。80代とは思えないほど軽やかな足取りで、お祭りの会場を歩き回ったのだという。アマチュアでありながら、その腕はプロと呼ばれるほどの写真家だ。
「撮らせていただけますか?」
そう声をかけるとき、Bさんはいつも笑顔だ。温かく、ゆったりとした笑顔で近づくと、見知らぬ人が、不思議と心を開く。演出までお願いしてしまうこともあるという。「こちらを向いてもらえますか」「もう少しだけ、そこで止まって」——それでも、みんな快く応じてくれる。
一方、Mさんは首を傾げていた。「私が声をかけると、後ずさりされてしまうんですよね」と。
何が違うのだろう。技術?経験?それとも——。
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和顔施(わがんせ)
穏やかな表情や笑顔で人に接することも、立派な布施になる——という仏教の教えだ。
お金でも、モノでもない。ただ、笑って接するだけで、人は動く。心が開く。幸せが伝わっていく。
Bさんのカメラは、技術だけで撮っているのではないのかもしれない。笑顔が先にあって、その笑顔が被写体の表情を引き出す。シャッターを押すのは、その後の話だ。
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私はかつて、フジカラーに勤めていたことがある。
現像された写真を眺めながら、「どの部分を切り取るか」をずっと考えていた。一枚のネガの中には、たくさんの物語が詰まっている。どこをトリミングして、どこまで引き伸ばすか——それは技術であり、同時にその人のセンスそのものだった。
同じシーンでも、切り取る場所によって、まるで別の写真になる。
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それは、生活も同じかもしれない。
一日の中に、しんどい場面もある。うまくいかないことも、思い通りにならないことも。でも、その一日のどの部分を切り取って、どこにピントを合わせるかで——その人の人生は、ずいぶん変わってくるのだと思う。
「幸せになるには、技術がいるよね」と話してくれた人がいた。その言葉が、今日になってじわりと響いてくる。
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幸せな瞬間を切り取る技術。
自分の人生をどう構図に収めるか、そのセンスを磨く技術。
Bさんの写真は、きっとどれも美しいだろう。でも私が一番羨ましいのは、カメラの腕より、あの笑顔なのかもしれない。
自分の人生を、もっと美しく切り取れるようになりたい。そう思った、今日の朝でした。
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