山と朝と、私時間

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朝山美智

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2026.07.24
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カテゴリ: 朝活

三十年以上前のある朝のこと、Sちゃんは約束を破るつもりでいた。







「朝5時から来ませんか」と誘われ、返事こそしたものの、心の中では決めていた。「行かない」と。







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だから、その夜は気楽に眠った。







ところが、夢の中に現れたのは——大嫌いなお父さんだった。







「10,000円やるから、起きろ」







お父さんはそう言って、お札をひらりと投げた。Sちゃんは思わず、両手を大きく広げた。受け取ろうとした、その瞬間——目が覚めた。







時計を見ると、約束の時間にまだ間に合う。







起き上がり、着替えて、Sちゃんは朝活の会場へ向かった。半ば引きずられるように。それが、すべての始まりだった。







---







それから三十年以上が経つ。







毎朝の「わたしが輝く、私時間」の中で、Sちゃんの心は少しずつ変わっていった。命の源である親への感謝が、じわじわと湧いてきた。







がんを患い、弱っていった。Sちゃんは迷わず、自分の家に呼び寄せた。病院ではなく、そばで支えながら、一緒に日々を過ごした。少しずつ細くなっていくお父さんを、そっと抱きしめて、Sちゃんはこう伝えることができた。







「お父さん、大好きだよ。ありがとう」







あんなに大嫌いだったお父さんに——心からそう言えた日のことを、今も覚えているという。







---







今のSちゃんを毎朝起こすのは、お父さんではない。飼い猫だ。







午前3時を過ぎると、ふわりと枕元にやってきて、Sちゃんを起こす。お寝坊はさせてもらえない。







そして、朝活へ出かける前、玄関のドアを開けると——猫は飛び出すわけでもなく、じっとそこに座って、見ている。「行ってらっしゃい」と言うように。毎朝、そうやって見送ってくれるのだという。







それを聞いていたEさんが、ぽつりと言った。







「お父さんみたいだね。娘の幸せを願って、ずっと見守っている感じ」







---







旧暦のお盆が、来月やってくる。







あの夢の中で、お札を投げてくれたお父さん。もしかしたら、あの朝から今日まで、ずっと見守っていてくれたのかもしれない。猫の姿を借りて。夜明け前の静けさの中で。







朝活の仲間の話を聞きながら、親に心をはせる、やわらかな朝でした。







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Last updated  2026.07.24 07:00:01
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