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2023.07.29
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カテゴリ: 広井勇
時代を駆け抜けた“civil engineer” 廣井勇と北海道 | GAIA - 楽天ブログ


1 広井勇と札幌三人組のアメリカ留学
 札幌農学校同級生は洋行熱があった(「宮部金吾」)。「在学中から燃えるような洋行熱を持っていた。そして寄ると触るとその頃から誰が先に行くか、それが興味ある一つの問題であった。その間に〔明治十六年十二月二十日〕洋行の先鞭をつけたのが広井勇氏であった。(中略)自費を以て意気揚々渡米の途につき同級生一同の羨望の的になった。次に太田稲造氏は明治十六年五月東京大学文科大学に入ったが不満を感じ、十七年九月一日渡米し、内村鑑三氏は十五年十二月北海道を去り十七年十一月米国に去った。その後これらの人々との通信がいかに博士〔宮部〕の遊学心をそそったかは想像に余りある。しかしこれら三氏は皆私費旅行であって、広井氏はその後、会社に入り幾分余裕があったようではあるが、新渡戸、内村両氏は実に甚しい苦労をされた」。三人の私費留学に対し宮部はハーバード大学へ正式留学した。
広井勇の渡米は、新渡戸や内村にアメリカ行きのアンビシャス〔ambitious〕をかきたてた。
新渡戸が書いた「帰雁の蘆」の「洋行の動機」によると、在米の友人がヘンリー・ジョージの『進歩と貧窮』を送ってくれた。東大の講義の合間に読んでいると外山教授が来て「何を読んでいますか」「この本です」と出すと、「これは有名な本だが、まだ日本に来ていない。私もまだ見ていないが、大意を書いて学芸雑誌に出しませんか」と勧めた。その本は出版後八年目でヨーロッパの各国語に訳されている。それが日本唯一の大学に来ていないとは、日本の学界は八年遅れている。こんな所に学問したなら最高位に達しても、鳥無き里のコウモリに過ぎない。学に志す以上、自分の知識を発展させ、心を修養し、自分を磨かなければならない。それには広い世界に出なければ遅れるだけだと思い定めたのが、洋行直接の動機であった。」とある。
広井が渡米を札幌三人組に直接知らせる手紙はないが、新渡戸は宮部に渡米を手紙で知らせている。
一八八四年(明治十七年)八月四日茨城袋田村にて
「僕は、東京を去って米国に行くことになりました。充分な学資の用意もないまま行きます。いちかばちかやってみます。それはあまりに大胆すぎるかもしれないが、よく考えてみると、人生は結局のところ、思い切って冒険を試みる以外にないのです。僕は行くことに決心しました。(略)僕は行く。古き友よ、さようなら。おからだを大切に。輝かしい未来が、君の眼前にくりひろげられています。『植物学』に対する君の情熱を消すことなかれ。君の前途は希望に満ち、幸先よいように思われます。(略)さあ、それではさようなら、遥かに遠い国から書くまで。 さようなら、テー・シー・モンキュー〔新渡戸自称〕」
内村も広井・新渡戸の渡米に気持はアメリカ行きにあったが、それは新妻との離縁という突発的な逃避の形で実現した。周到な準備など全くなかった。内村も宮部に離縁の苦悩と渡米を手紙で知らせた。


「最も親愛なる金吾  今、なつかしい祖国を去って異国に向かおうとするに当り、一言、君に残したい。きびしい試練の人生が僕を苦しめた。人の心と顔とが、僕をあざむいた。しかし、今、僕は極めて静かであり、涙はつきないがわが救い主にいと近くあると聞いたら、君は僕の上に降りつつある天の祝福をたやすくみとめることができるだろう。(略)兄弟よ、僕を愛し、僕のために祈ってくれたまえ。僕は君のもの、君は僕のものである。本心を白状するが、僕にとり君より貴い人は一人もいない。それ故、いつまでも君のものたり得んことを。 サヨウナラ、サヨウナラ           ヨナタン・内村鑑三」
最後に宮部が、一八八六年(明治一九年)九月二日、横浜港を出帆し渡米した。ハーバード大学所在地、ケンブリッジに着いたのは、九月二八日である。
一八八六年九月からの一時期、札幌三人組と広井はアメリカの地にいて互いに会い交流を深めたのだ。





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最終更新日  2023.07.29 10:01:25


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