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2019.09.30
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平日は火曜日の夜の会。子供向けの作品ではあるが、観衆は本来の対象と想われる12才以下と覚しき観衆は5 %以下。いわゆる年配者が多く、若年層は目立たない。そんな客席を前に子供に話す口調で”オペラ”は始まった。この”オペラ“、オペラの定義と違う。「ふしぎなたまご」も「おじいちゃんの口笛」も、観衆(子供)に語りかける平台詞から始まるのである。教条的な定義によるならば、これはミュージカルなのである。最も、モーツアルトの「魔笛」をオペラの範疇に止めるために、平芝居的な語りも歌の一種と捉える考え方もあるのだそうだ。
 要するに、どうでも良いことをアアダコウダと声高に尤もらしく格調高い言葉で語ることで、評論家や文学部教授は飯を食っているのである。

 柔らかい語りかけに次いで、不思議な大きな卵の寓話が始まる。子ども達が、見慣れぬ大きな卵を見つけた。大事に一人の子が卵を護っていると、卵から7つの首を持った竜が生まれてきた。この7頭の竜の子、子供達とそれを囲む村人達に愛され庇護されつつ育っていく。 そして、もう面倒も見かねる飼いかねるというレベルに育ったとき、7つ頭の巨竜は自ら消えてしまう。
 大きくなった竜に一寸邪険な扱いをしていたことを悔いながら消えていった竜を偲びながら青年が家に戻ると、そこには杣谷には全く似つかわしくない美しい姫が居るではないか。愕いて事情を聞くと、「領主の娘だったわたしは、幼いときに魔法に掛けられ、竜の姿に閉じ込められてしまった。それが、あなた易しさで解け、元に戻れたのです。」と!

 目出度し、目出度し、という青年とお姫様の定番物語である。出て来る人名が欧米型であるにも関わらず、楽曲歌詞全てが馴染み深く判りやすく違和感がない曲の作風はバルトーク以来の、いわゆる現代音楽である。それが歌唱と絶妙に遭っている、そういう意味でも良いのだ。。擁するに、コロッとまるまるいいのだ。
 こんにゃく座の舞台イヌの仇討ちを見たときその時の場内配布パンフレットに林光氏の初演時のコメントが出ていた(2018年12月21日の記事参照)。そこでは日本語詞と曲との整合の難しさが語られていた。そのコメントは2005年頃語られたものだった。然るに、不思議な卵は初演が2002年だから、明らかにイヌの仇討ちに先行している。
 日本語と西洋音楽の葛藤というような林光氏の持っていた課題は、子ども向けの作品を作るということで視点を一寸ずらしたものでは、あっさり解消されていたのかも知れない。

 幕間が15分というアナウンスが初めにあったので、「ふしぎなたまご」が終わったら休憩かと思っていた。ところが、話一段落で演者が皆所作の中で舞台から退き一旦舞台が空いて次いで暗転し、ここで拍手なんだろうと思ったが誰も拍手をしないので、何だ-と想った途端、一寸衣装やメイクの異なる人々が登場してきて、おじいちゃんの口笛が始まってしまったらしい。へエッと言う感じの観客達だったのではないでしょうか、それともみんな知っていて構えていた?

 これが西欧系だったり関西や上野六区のノリだったら状況が変わったかも知れないが、六本木の客は借りてきた飼い猫ばかりだったみたいなのだ。曲想は「ふしじなたまご」と一寸違うのだが、やはり現代音楽風ピアノ伴奏で現代子供唱歌が心地よく進行していく。



 おじいちゃんは可成り老いが進んだ状況ので、立ち居もおぼつかない様子。だが二人を快く迎え,不躾な問いに優しく楽しそうに答えている。久しぶりに元気な子どもに接して元気ができ来た,そんな感じなのである。

 座っていたおじいちゃんが次第に活動的になり、一人の子に誘われるままに、もう一人の子が、「止めた方がいいんじゃない」と他方の子にたしなめ危惧するにもかかわらず、おじいちゃんは野原に出て行く。
 10人ぐらいの子どもに囲まれ、ご満悦で、花積もう、輪になって踊ろう、口笛吹こう、、、、という感じ。・・・・で、「口笛ってなあに?」というお爺ちゃんにとっては仰天の問いに、子ども達にお爺ちゃんの口笛講習会が始まった。
 フースーフースー、誰もピーという音が出ない、何度やってもブーぐらいにまでしか行かない。・・・そのうち、あれ、お爺ちゃんの様子がおかしい・・・そう、医学的に言えば、脳溢血なのでしょう。

 涙ながらに、「おじいちゃんごめんね」と言いながら、子ども達は、そう、揃って奇麗な野辺送りの奇麗な口笛を吹きながら、お爺ちゃんを送ったのでした。

 この二本立てオペラ、素人の感想にありながら一寸深入りしたコメントで強縮ですが、ニャンスケの耳が捉え朧気に記憶されている範囲では、クラシック畑を自負し、庶民の歌謡・唱歌やポピュラー音楽を下賎な音楽と切り捨てる一部の現代音楽の作曲家が創作している類いの、斬新な曲と、童謡とでも言えそうなこともの愛唱歌の曲想・詞がピッタリと合った、傑作。

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以下の資料は、公演時に開場で配布されたこんにゃく座音楽監督:萩京子さんの挨拶と、関係各所で配布されていたパンフレットである。





 オペラ「ふしぎなたまご」の原作はカレル・チャペックの「長い長いおまわりさんの話」の中の一つの逸話とのことである。「ふしぎなたまご」と言う作品は他にもいろいろある様である。「おじいちゃんの笛」は絵本として出版されているようである。
 手がかりになりそうなものをいくつか最後に並べておく。


長い長いお医者さんの話新版 (岩波少年文庫) [ カレル・チャペック ] ​


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山椒魚戦争 (岩波文庫) [ カレル・チャペック ] ​​
カレル・チャペック 小さな国の大きな作家/飯島周【合計3000円以上で送料無料】 ​​
ふしぎなたまご改版 [ ディック・ブルーナ ] ​​
★DVD/キッズ/MEG&MOG メグとふしぎなたまご/ASBY-3995
ぺティオ ネコのおもちゃ たおせまい【定形外郵便220円】 ​​
ぷよぷよ アミティとふしぎなタマゴ (角川つばさ文庫)[本/雑誌] / 芳野詩子/作 こめ苺/絵 ​​
おじいちゃんの口笛 [ ウルフ・スタルク ] ​​
おじいちゃんの口笛/ウルフ・スタルク/アンナ・ヘグルンド/菱木晃子【合計3000円以上で送料無料】 ​​
おじいちゃんの口笛 ​





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最終更新日  2019.09.30 23:32:27
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