焼肉屋で食事した富山県と福井県で4人が死亡した集団食中毒で、その焼肉店を経営する社長は金沢市入江2の本社で開いた会見で、「検査、管理面などで認識が甘かった」と認め改めて食中毒患者に謝罪したそうなのだが、厚生労働省が昔に定めた「生食用」基準は罰則がなく、厚生労働省によると業者側の努力に任されているのが現状というのだ。富山県などの調べでは、食中毒患者は共通して「ユッケ」を食べていたとされる。富山県等は食中毒が発生した焼肉店を家宅捜査したのだが、会見で坂社長は「生食用に適さない肉を提供した」と一部で報じられたことについて、「不適格な肉を販売したとは認識していない」と強く否定したのだが、「卸業者の加工場を社員が訪れ、肉を加工する過程を実際に見て安全性を確認するなどはしていない」と言って、肉の品質管理は加工業者任せだったことを認めたのだ。
一方、全国の焼肉店では生肉の提供を自粛する動きが広がり始めたそうで、私の住んでいる松山市でも、愛媛県産の牛肉を提供する焼肉店の男性は「国の定めた生食用の衛生基準は満たしていないが、加工から販売まで一貫体制で安全性に問題はない」と強調しているが、この食中毒で男児が死亡した先月30日から、ユッケなどの販売を自粛しているのだ。この店では「暖かい季節になり、細菌が増えることも考慮した」と言っており、和牛焼肉専門店の別の店では連休中でかき入れ時なのだが、今月からユッケなどの提供をやめたそうで、ユッケ用の肉は火を通して別料理に使うそうなのだ。この和牛焼肉専門店の従業員女性は「品質は万全だが、客に安心してもらおうと自粛している」と話しているのだ。私も連休中に家族で焼き肉を食べに行く予定だったのだが、この食中毒事件で急きょ居酒屋に変更したのだ。
この焼肉チェーン店で生の牛肉を使ったユッケを食べた客4人が死亡した集団食中毒事件に絡み、専用設備で肉の表面を削り取ることなどを求めている厚生労働省の「生食用食肉の衛生基準」を満たす生牛肉は、ここ3年間では一切出荷されていなかったことが分かっっているのだが、焼肉業界全体で一種のサギを働いていたことになるみたいなのだ。どの焼肉店も「そもそも生食用の肉は扱っていない。焼き肉など加熱用の肉のみ」と説明しており、卸した肉の包装などにも生食用とは記載しておらず、フォーラス社も「生食用でないことはわかっていた」と認めているのだ。衛生基準に反しても罰則はないため、飲食店などは加熱用肉を独自に処理するなどして生で提供しているのが実情なのだが、厚生労働省は「腸管出血性大腸菌O157」による食中毒が相次いだことを受け、生肉用のガイドラインを策定しているのだが、腸管出血性大腸菌は肉の表面に付着していることから、食肉処理施設で温度を10度以下に保ち表面を削り取る「トリミング」を行うことなどを決めているそうなのだ。
これまでに非生食用の牛肉を、生で食べるユッケにして客に提供していたことが分かっているのだが国内では現在、国の衛生基準を通った生食用の牛肉は流通していない。厚生労働省は「店が自らの責任で生肉を出している状態」としており基準は形骸化しているのだ。今回の事件でも厚生労働省は「現在、店で出されている牛の生肉は、国等の衛生基準に適合しているものはなく、非生食用を店の判断で提供している」と説明しており、「生食用食肉については、検討の結果設定した『生食用食肉の衛生基準』に基づいて安全性を確保することが適当であり、加工等の方法については今後も科学的な知見の集積を図り、その他の方法についても検討すべきである。なお、これらを原因として食中毒など、何らかの健康障害が発生した場合には食品衛生法違反として営業停止などの行政処分を受けることになります。」としか答えてないそうなのだ。一方で「基準に罰則規定はない。指導は可能だが販売停止にはできない。国としては加熱用の肉は加熱して食べるようにとしか言えない」とも話しているのだ。
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