仁志・多喜馬の戯言日記&戯言通信

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HbA1c 6

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2015年01月26日
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 内閣府が昨年末に発表した昨年度の国民経済統計によると、家計の貯蓄率が始めてマイナスに転じたそうで、8年前には24.3兆円あった経常収支の黒字は、昨年度には8300億円にまで減ったものの黒字は維持されたそうなのだ。家計の貯蓄率の減少には人々の消費行動パターンとして「ライフサイクル仮説」というものがあって、これは「人々は概ね現役時代に貯蓄し、引退するとその貯蓄を取り崩して生活する」と捉えるものだとされている。この「ライフサイクル仮説」に基づくとき高齢化は貯蓄取り崩し主体の比率が増加することを意味し、高齢化の進展は貯蓄率低下の一要因となるそうなのだ。そして家計・企業・政府の貯蓄・投資バランスである資金過不足を合計すると、経常収支になるという関係があるそうなのだ。

 この関係から黒字が維持されて国内資金で財政赤字が賄われたのは、家計部門が資金不足となったものの、企業部門が大幅な資金余剰となったためだということがわかるというのだ。つまり毎年の所得の多くを貯蓄して使わずにいるのは家計ではなく企業だというのだ。長引くデフレに象徴される景気低迷により可処分所得が減少傾向を続ける一方、消費には歯止め効果が働き可処分所得の落ち込みと比較して小幅な減少にとどまっているそうなのだ。国民全体の可処分所得の低迷した主要な要因としては、景気低迷や企業のグローバルな競争を反映し賃金が伸び悩んだことが挙げられ、その他にも日本銀行の金融政策が家計の金利収入の低下に大きな影響を及ぼし、貯蓄率の低下圧力となったことも無視できないそうなのだ。

 それでも日本が巨大な財政赤字を海外からの資金に頼らず国内でファイナンスできている理由は、家計の貯蓄で賄われているからではなくて、企業が投資に消極的であることにより生まれる毎年の貯蓄が巨大だからという。家計の貯蓄である余剰資金を、直接金融の株式市場や間接金融である銀行を通じて、企業部門が借り入れて投資を行うという経済学の教科書で説明されていた普通の経済の姿と、現在の日本経済の姿は大きく異なっているそうなのだ。 高齢化が進んだことで貯蓄率が低下傾向を辿ったことは当然だが、1990年代末頃から貯蓄率の低下速度が加速したのは、賃金が低迷したことに見られるように家計への所得の流れが細くなったということも原因なのだ。

 企業が設備投資に積極的になれば余剰資金が縮小するのだが、これに応じて財政赤字を縮小できればよいが、そうでなければ国内では財政赤字がファイナンスできなくなってしまう。政府は物価上昇率を高めることで企業の設備投資が増えるのは、実質金利が低下するからだと説明しているが、名目金利が一定の状態で物価が上昇すると実質金利が低下するので、企業の実質的な利払い負担が軽くなることによって設備投資が容易になるからだ。しかし考えなくてはならないのは実質金利と投資需要の関係だけではないのだ。企業がこれまでのように毎年の所得の多くを貯蓄するのではなく投資に回すようになったときに、設備投資で増えた生産物を誰か買うのかという問題も考える必要があるというのだ。

 財政赤字を削減するためには政府は支出を増やせないのは理解できるし、増加した生産の一部は設備投資に使われるが、消費が増えなくては企業部門全体として投資資金を回収できないはずなのだ。結局は家計への所得の配分が今よりも高まって、家計所得が増えて消費が拡大するということが持続的な経済の拡大のために必要になるというわけなのだ。企業は毎年大幅な資金余剰を続けているのだから、企業と家計の所得のバランスについてより家計のほうを増やせば改善が期待できるはずなのだ。分配のバランスがうまく調整されない原因はさらに究明する必要はあるが、当座の措置として政府が企業に賃上げを要請しているのは方向性としては正しいようなのだ。







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最終更新日  2015年01月26日 12時31分27秒
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