仁志・多喜馬の戯言日記&戯言通信

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2015年03月22日
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 厚生労働省は来年の4月から社員に年5日分の有給休暇を取得させる義務を企業に課す方針だというのだ。今通常国会に労働基準法改正案を提出する方向で調整を進めており、新しい仕組みでは年10日以上の年休を付与されるフルタイム社員のほか一部のパートタイム社員も年5日分の有休を取らせることを企業の義務とするそうなのだ。義務化といってもこれまでのように社員が既に5日以上の有休を取得している場合には企業の義務は発生しないという。例えば社員が自ら2日の有休を取得している場合には、年5日に満たない部分であるこの場合では3日分を取得させる義務を企業側が負う仕組みだという。なぜ社員の有休取得を企業に義務付けることにした背景には日本の有休取得率が極めて低い現状があるというのだ。

 現行の有給休暇制度は一般的に6年半以上働けば年20日が付与される仕組みなのだが、問題は実際の取得率にあるといわれている。昨年の厚生労働省『就労条件総合調査』によると、労働者の有休取得率は 48.8%で、1人平均の取得日数は 9.0日にとどまっている。業種や企業規模による差も大きく業種でみると、卸売業・小売業や生活関連サービス業・娯楽業・医療・福祉・飲食サービス業などで取得率が低く、合わせて中小企業ほど取得率が低いという。政府は 2020年までにこの有休取得率を 70%まで引き上げる目標を掲げ、有休消化義務が企業側にあって取得率も 100%に近い欧州諸国だというのだが、この新しい仕組みによって休み方や働き方は変わるのかはこれからだと言われている。

 有給休暇を取得させる義務が年5日になった経緯は、労働政策審議会において年8日分の義務付けを主張する労働組合代表と、年3日分を主張した経営者代表の間の調整の結果によるものだとされている。この政策は働きすぎ防止策の一環として労働者の健康確保のほか、休み方改革による仕事と生活の調和や生産性向上までを狙うというのだが、こうした政策の意図が実現するかどうかは仕組みを作る現段階では見通せないというのだ。これは企業がどのような運用を行うかに大きく依存するからなのだが、ここで思い起こされるのは「週休2日制」推進による老荘条件の変化だとされている。この当時は日米貿易摩擦という国際的背景もあり日本人の「働きすぎ」を改善するため「週休2日制」が政策的に推進されたというのだ。

 たしかにその後は官庁と大企業を中心に土曜日が休日になる職場が増えるなど働き方・休み方の大きな変化が起きたというのだ。ただ注意すべきは残業時間を含め平日の労働時間が長くなったという指摘があることなのだ。休みが1日増えたといっても他の日の残業がその分増えるなら手放しで喜べないのだ。日本の1人あたり平均労働時間は「週休2日制」が段階的に導入された1990年代に短縮が進んだものの、30代男性の2割近くが近年でも週60時間以上働いているなど長時間労働の問題は依然解決していないとされている。結局は「週休2日制」は平均的日本人の休日を増やした一方で、長時間労働の削減に効果があったかといえばそう簡単には結論付けられない結果だとされている。

 そこで今回の政策なのだがこれまで取得率が低かった小売業や宿泊業あるいは中小企業などでは、ぎりぎりの人員配置ゆえに「休ませられない」という事情が背景にあるというのだ。そうした企業は交代で社員を休ませるために要員管理のあり方を見直すならば、経営側にとっては一時的に苦労が伴うがそこで働く者にとっては朗報だろう。職場風土のために有休を「取りにくかった」人の場合はどうかというと、これまで「休みにくかった」社員が休みやすくなるには法律の仕組みだけでは足りず、ひとえに企業の運用にかかっているというのだ。企業によっては夏休み・年末年始・GWなどの休暇時期に合わせる形で「5日分」の取得促進を図るケースも考えられ、その場合なら大型連休は実現しやすくなるかもしれないのだ。

 それでも社員が「休みやすくなった」と感じるかには疑問が残り、「特別な時期」を除けば「休みにくい」ことには何ら変わりがないということも考えられるのだ。職場風土の改革は今後も取り組む必要のある課題で、成果で管理されることも多い専門職や管理職などでは、ただ「休みを取らされる」だけだと良い面ばかりではなくなるのだ。休んだ翌日にその分業務が積み上がるならば休日はそう嬉しく過ごせないし、場合によっては自宅で仕事をすることにもなりかねない。そうなると社員の満足にも寄与せず逆にモチベーションを下げることもあるいうのだ。新しい仕組みによって有休をこれまで全く取れなかった者や、サービス業や中小企業で働く者の休暇の取得が進むことになると取得率70%という政府目標に近づくかもしれないというのだ。






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最終更新日  2015年03月22日 07時20分39秒
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