生産現場はこの変化に対応するため森はどのような課題を抱えているのかを、住宅と木材利用に関する調査・研究に携わる研究者が、木材調達の最新事情を解説する文献が愛読している業界紙に載っていた。木材と言うとまず樹木をチェーンソーで切るというところからスタートするわけで、切った丸太は高性能の機械を使って枝や葉っぱを取ると、長さが3~4mの運びやすい長さに切ってダンプで木材市場に運ぶのだ。かなり大きな製材所だと木材市場を介さず木材が直に運ばれることもあるとされるが、運ばれた丸太は径や長さ曲り具合を見ながら選別され、それから丸太を四角にする製材という作業に入る。ただし木材はたくさんの水を含んでいるので、材料として利用するには乾燥させる必要があるのだ。
ただしやっかいなのは木材が乾く過程で縮んだり・そったり・曲がったり・割れたりすることなのだが、将来建物に使われてからそうなると具合が悪いことから、建物に使われる前にきちんと乾燥させてやることが木材を供給する側のエチケットであり、木材を使ううえで乾燥は大きなポイントになるわけなのだ。乾かした木材は現場ですぐに使えるように加工を施され、そして現場に木材が運び込まれることになる。住宅では幅10.5cmあるいは12cmの木材が構造材の規格材として使われているが、最近ではかなり大きな空間をもった木造建物が登場してきた。こうした建物では当然材料の断面が大きくなるわけで、断面が大きくなると技術的な課題がいくつか浮かび上がってくるというわけなのだ。
例えば幅が15cmで高さが24cmの材料が欲しいという要求に応えるには、対角線の長さで30cm径の丸太が必要になり、30cm径の丸太を育てるにはどれぐらいの時間がかかるかを考えると一般的な山ではおおよそ50年かかるとされている。幅が15cmで高さが36cmの材料を得るには40cm径の丸太が必要になり、40cm径の丸太を育てるには80年かかるというのだ。つまり私の住んでいる愛媛県の山林では50年の森林が多いので、30cm径の丸太を手に入れることは容易であると推測できるとされている。ただし、40cm径の丸太を手に入れようとすると量的には少ないといわれている。また別の課題として断面が大きな木材では乾燥が難しくなり、時間もかかるということが挙げられている。
わが国は国土の7割を森林が占めているとされるが、これはフィンランド・スウェーデンに次ぎ世界第第3位だという。第二次大戦後に荒廃していた森林に約1000万haの人工林が造成されたというのだが、その当時「孫のために」と植林された苗木が50年を経て、本格的な利用期に差しかかっているといわれている。成長を続ける森林は天然資源が乏しいわが国にとっては貴重な資源であるし、毎年の成長量を超えずに利用すれば持続可能な資源でもある。また毎年適正に伐採・利用することで森林も適正に維持することができ、成長量から見ると毎年1億m3の森林資源が増えているそうなのだ。わが国で使われる木材の量は近年7000~8000万m3ということでわが国の森林資源で十分にまかなえる量だというのだ。
キーワードサーチ
コメント新着