原子力発電所は燃料となるウランの核分裂によって発生する熱を利用し、水を沸騰させて発生させた蒸気でタービンを回すしくみです。水は1気圧では100℃で沸騰するが、圧力鍋の原理と同じで圧力を上げると高い温度まで沸騰しなくなるのだ。このように「原子炉圧力容器」では高温で勢いのある蒸気をつくり、タービン発電機を回すしくみになっているという。ところが電力6社はフランスの原発で強度不足の疑いがある原子炉圧力容器などの重要設備を製造したメーカーが、鹿児島県にある稼働中の九州電力川内原発1・2号機を含む国内8原発13基の圧力容器を製造していたと原子力規制委員会に報告したそうなのだが、この問題を巡ってはフランスの規制当局が6月に公表しているというのだ。
電力各社によると「日本鋳鍛鋼」とフランスの「クルゾ・フォルジュ」というメーカーが製造していたそうなのだが、福島県にある東京電力福島第2原発2・4号機や福井県の関西電力高浜原発2号機だけでなく、私が住んでいる愛媛県の四国電力伊方2号機の再稼働されている原発の原子炉圧力容器だというのだ。電力6社は10月末までに強度に問題がないかなどをそれぞれ調査し原子力規制委員会に報告するというが、 原子力規制委員会の田中俊一委員長は定例記者会見で鹿児島県の三反園訓知事が九州電力に即時一時停止を要請した川内原発について、重要設備に強度不足の疑いがあっても「安全上の問題は何もない」と述べ、調査を進めていることから一時停止の必要はないとの認識を改めて示したというのだ。
問題となったフランス国内では運転中の原発18基の重要設備に強度不足の疑いがあり、調査を進めていると発表しているそうなのだが、日本の6社8原発の圧力容器はいずれも「日本鋳鍛鋼」が製造している。この「日本鋳鍛鋼」という会社は1970年に新日本製鉄グループと三菱グループの共同出資で設立された大型鋳鋼品の製造・販売会社で、本社・工場は北九州市にあって電力用の発電機軸やバルブ・船舶用のプロペラシャフトなども手掛けているそうなのだが、国内の複数の原発で原子炉圧力容器の強度不足の可能性が浮上した問題で、製造元の「日本鋳鍛鋼」は新聞社の取材に対して「原子力規制委員会から要請があればいつでも調査を受ける」と答えたそうなのだ。
部品の強度不足が問題となっている設備の製造元である「日本鋳鍛鋼」の担当者は、「製造過程で各種の検査を実施しており、発注から出荷までの製造記録も取っている」と強調し、現時点で製品に問題は確認されていないと説明しているし、原子力規制委員会の田中委員長も「安全確認はしており、私どもとして特に問題がないことは確認している」と語っている。強度不足が問題となっている「原子炉格納容器」とは燃料が収められた原子炉などの重要な機器をすっぽりと覆っている容器のことをいい、原子力発電の導入を始めた初期に建設された東京電力の福島第一原子力発電所では、アメリカからの技術導入による鋼製のMARK‐Ⅰ型の原子炉格納容器が採用されているというのだ。
その後の原子力発電所にはMARK‐Ⅱ型や日本独自の改良を加えた改良型だけでなく、さらに鋼製の板を内張りした鉄筋コンクリート製の原子炉格納容器などが使われているという。世界には原子炉格納容器のない原子炉もあるそうだが、日本の原子炉にはすべて原子炉格納容器が設置されているそうなのだ。原子炉格納容器は気密性が高くつくられ燃料の損傷などによって放射性物質が放出された場合に周辺への拡散を抑える役目をもっており、今回の福島の事故では全電源の喪失などにより原子炉が高温高圧状態となり、原子炉格納容器から水素とともに放射性物質を外部へ放出する事態に陥り、さらに2号機については原子炉格納容器に損傷が生じ、放射性物質が外部に放出されたとされている。
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