生活困窮者の半分は高齢者でそのうち現役時代の年収が 800 万~ 1000 万円だった人も含まれているというのだが、今の 40 代前半に当たる団塊ジュニアは 4 割程度が非正規社員・従業員で、平均年収は 200 万~ 400 万円が中心帯となっている。この水準だと定年後の年金受給額は月額 8 万~ 10 万円しかなく生活保護を受給すべき最低ラインに掛かるという。社会構造が変わる中で年金依存度は飛躍的に高まっており、そうであるのにも関わらず定年後もずっと中流意識を持っている人は多いことが分かったというのだ。意識と実態のギャップから貧困化に陥るケースが増えており、以前は正規の仕事に就く子供がいて手元には貯金や持ち家があるし地域コミュニティーも支えてくれていたというのだ。
つまり年金はあくまでプラスアルファの収入で依存度はそれほど高くなかったが、老後には病気や介護・認知症・子供が独立せずに家に居つくなど、現役時代には想像できないような落とし穴があるというのだ。家庭と雇用形態の変化に制度が対応し切れていない点が問題で、家庭内で支えてくれる人がいない以上国が社会保障として支援の枠組みを考えないといけません。それが抜け落ちています。なかなか実感として受け止めにくいので、危機意識が低いのではないといわれている。 持ち家は資産価値の希薄化問題だけでなく老朽化による修繕費や固定資産税などの税金も重荷になり、 老朽化した持ち家であっても資産と見なされるため、貧困に陥ったとしても生活保護の申請が認められない事例が増え問題になっていつという。
高齢者の貧困対策では住居の制度改革が必要で家賃補助を入れるべきだという。多くの人が何にお金をかけているかというと住まいで、 35 年ローンを組み定年までに払い終わらない人が多いというのだ。仮にローンを払い終わっても老後の資金をすべて住宅につぎ込み、貯蓄額などが少なく持ち家に資産価値があれば良いのだが、 35 年経つと目減りした不動産価値しか残らないし、マンションも二束三文の価値になってしまうという。賃貸の場合では現役時代と異なり定年後の年金支給額 15 万前後では、 8 万~ 10 万円の家賃は到底払えないことから、家賃補助が難しい場合フランスのように、公営住宅の絶対量を増やすべきなのだが、日本では全住宅のうち公営住宅はわずか 4% 程度だというのだ。
一方でフランスは 40 年前からインフラ整備を進めていることから今は全住宅のうち公営住宅が約 20% に増えているという。フランスの場合も老後の年金は月額 10 万~ 12 万円程度で日本と変わらないのだが、家賃は月額 5000 ~ 1 万円で手元に 1 カ月で 9 万~ 10 万円が残る計算になるというのだ。 日本人には昔から自分の資産を子供や孫に残さないといけないというマインドがあり、その固定観念が自らの首を絞めている面もあるというのだ。 子供や孫の行く末が心配だというのだが非正規社員・従業員が増えているから余計に心配とすべてがつながっているというのだ。そこでせめて家だけでも残しておきたいというのが日本の持ち家信奉のベースなのだが、これからは子や孫に資産を残すには無理という時代になっているというのだ。。
年収 200 万円の若者の 8 割が実家に住んでいるというのだが、実家から出られず結婚ができないし子供も作れないというのだ。年収 200 万円でも独り立ちできるような政策を打たないと彼らが老後に貧困に苛まれるだけでなく、彼らの両親の老後の生活すら苦しめることにもなっていくというのだ。マクロ経済スライドで年金はこれからどんどん減っていくし、月額 8 万~ 10 万円は当たり前でその範囲内で暮らせるビジョンを描き「総下流化」時代に備えるべきだという。「個人の努力で資産を形成してください」というのはどだい無理な話になっており、「下流老人」という本も 2 カ月で 8 万部売れる時代となっているのだ。自分もこうなるという危機感があるのでそれは 1700 兆円もの個人資産のストックにも表れているというのだ。
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