低気圧の影響による豪雨で根室管内羅臼町の国道で土砂崩れが起き、車1台が海に転落して1人が死亡した事故で、亡くなった建設会社社員が釧路開建から委託されて現場で道路監視をしていたというのだ。 8 月以降に北海道内を襲った大雨による死者 4 人のうち 2 人は、大雨対策に関わる業務中に事故に巻き込まれたそうで、 2 人はそれぞれ国や道庁などの委託を受け、土砂崩れの警戒作業や氾濫した河川の水量調査にあたっていたというのだ。地域住民の安全を守る観点から危険な現場に赴く作業員がいる一方、その安全管理は委託先の業者任せとなっている官庁の実態も垣間見えるというのだ。地方の建設業者は地域密着型の会社が多いから官庁の担当者より、業者の作業員達の方が危険エリアを熟知しているのだが、
今回の作業員が死亡した事故で北海道開発局釧路開発建設部は「現場周辺は8月に土砂の崩落があり、注視が必要な場所だった」と説明しており、北海道警察中標津署によると土砂崩れは根室管内羅臼町礼文町の国道335号で発生し、軽ワゴン車が土砂に押し流されて海に転落し消防などが作業員を救助したが死亡が確認されたそうで死因は溺死だという。北海道開発局釧路開発建設部などによると崩れた土砂は幅約40メートルにわたり道路をふさぎ、高さは約2メートルに達していたというのだ。事故にあった作業員の勤務先は北海道開発局釧路開発建設部から国道の維持管理業務を受託しており、業務の一環で現場付近に車を止めて道路の監視を始めたという。
周辺では3カ所で土砂崩れがあったというが「事故は決してひとごとではない」と釧路管内の 60 代の土木業者幹部は言うのだが、維持管理や除雪を請け負っている建設会社では「このところ異常気象が増え、現場に行くのが怖いと思うことはある。仕事とはいえ作業員を出すのが心配になってくる」とこぼしている。業務発注者の北海道開発局釧路開発建設部などによるとこの地元の建設会社は国道 335 号の一部約 19 キロの維持管理業務を請け負っており、亡くなった作業員は現場付近に車を止め土砂崩れなどの監視にあたったという。現場付近は小規模な土砂崩れが相次いでいたというのだが、現場に行く作業員の安全管理については「危険な場所で監視を続けることもある」と語っている。
業務を発注している官庁側は「どこでどう巡回するかなど、基準やルールは委託先に判断を任せている」と話しているが、地方の建設会社社長は「実際は役所や発注者の指示に従うしかない」と言うのだ。大雨などの緊急時は国や道に市町村からできるだけ現場に近い建設業者が道路や河川のパトロールを頼まれるといい、「私たちはあくまで受け身で、独自の出動基準はない。今回のような事故を防ぐ方法は思い浮かばない」というのが実情のようなのだ。私も経験があるのだが地元の建設会社に勤務していると「役所から電話があって、様子を見てくれ」と言われたら行かないわけにはいかず、まして以前その場所の工事を担当したとかだったら余計にそう思ってしまうというのだ。
ノウハウ無いからあるところに一任するのがいいと思うが、手と資材が足りてないのが問題なわけで官庁から地元建設業者に委託するのは当然となってしまっているのだ。災害時などは平時じゃないんだから人が足りるわけがないのだが、委託受けた会社幹部が「危険だから行けません」と判断して役所とやり合わないとこのような事故はなくならないのだ。通常の天候なら現業の業者に委託もよいのだが異常時となると話は別で、天候が経験則を逸脱する可能性がある場合はそこの施設等を管理している立場の者が率先して行くべきだと思ってしまうのだ。現場の作業員という弱い立場の者が、自分の命で全責任を取るなどということは、美談でもなんでもなくひたすら痛ましい悲劇だと思ってしまうのだ。
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