兵庫県姫路市発注の橋の補修工事を巡り設計金額を教えた見返りに現金約50万円を受け取ったとして、兵庫県警捜査2課は姫路市建設局長の後藤竜一容疑者を収賄など、建設業の青田章雄容疑者を贈賄などの疑いでそれぞれ逮捕した。兵庫県警によると後藤容疑者は市役所の局長室で現金を堂々と受け取っていたそうで、「頼まれたから価格を教えた」と容疑を認めているという。「工事の過程で親しくなった。賄賂のやりとりとかではなくて、一緒に懸案を解決したとかで親しくなり、距離が縮まったらしい」と言われる後藤容疑者の逮捕容疑は、昨年5月に行われた「灘浜大橋」の補修工事の一般競争入札で、最低制限価格の算出根拠となる設計金額を青田容疑者に教え見返りとして現金約50万円を受け取ったとしている。
昨年5月に行われた「灘浜大橋」の補修工事は姫路市内にある青田章雄容疑者の建設会社が最低制限価格を約50万円上回っただけの1億450万円で落札しているが、兵庫県警は後藤容疑者が知人を介して青田章雄容疑者の会社に価格を伝え謝礼を受け取ったとみている。発注者側の後藤容疑者から情報漏えいを持ち掛けたとみているが、後藤容疑者は「聞かれたので教えてしまった」との趣旨で供述しているという。姫路市では別の公共工事を巡って道路整備改善課長が収賄容疑で逮捕されたばかりで、その捜査の過程で今回の事件が発覚したというのだ。姫路市の舟引隆文総務局長は会見で 「公共工事への信頼はもとより、市民の信頼を大きく損なうことになり、誠に遺憾。深くおわび申し上げます」 と陳謝した。
道路整備工事の贈収賄事件で兵庫県警捜査2課は、収賄容疑で姫路市道路整備改善課長堀本匡宏容疑者を、贈賄容疑で姫路市の土木工事会社「大成組」社長竹内俊明容疑者を逮捕しているが、逮捕容疑は昨年7月下旬に道路整備工事の入札に関し、最低制限価格の算定基準となる設計金額などを漏らした謝礼として、大成組事務所で堀本容疑者が竹内容疑者から現金約30万円を受け取った疑いだという。兵庫県警は両容疑者の自宅や大成組の事務所を捜索しているが、姫路市役所を含め計18カ所で家宅捜索等を実施するという。姫路市道路整備改善課長堀本匡宏容疑者は28年にわたり技術畑でキャリアを積んできており、同僚職員は「普通の職員で悪いうわさは聞かないのに」と驚いている。
姫路市道路整備改善課によると堀本容疑者は姫路市役所に技術職として採用され、土木関係の専門知識を持っていることから姫路市道路整備改善課長に就任しており、勤務態度に問題はなかったとされ、同僚職員は「これまで研修などを通じて職員に周知してきたのに、残念だ」と話している。収賄容疑で逮捕された道路整備改善課長の堀本匡宏容疑者に現金を渡した理由について、「堀本容疑者が工事をよく扱う部署に異動し課長にも昇進したので、工事価格を教えてもらいたかった」との趣旨の供述をしているという。また堀本容疑者が設計金額を知り得る立場の道路建設課長補佐に就いて以降、大成組が逮捕容疑の工事以外に5件の道路工事を受注していたことも判明しているという。
兵庫県警捜査2課は堀本容疑者が過去の工事でも情報を漏洩するなどの便宜を図っていなかったかを慎重に調べているが、姫路市役所を家宅捜索し贈収賄容疑で神戸地検に送検するため、堀本容疑者は捜査車両とみられる車に乗せられ自宅を出ている。堀本容疑者が受け取ったとされる謝礼は最初の逮捕容疑と合わせ計約60万円となり、兵庫県警では堀本容疑者がパチスロや旅行などに使ったとみている。捜査関係者によると大成組はここ数年間に道路工事5件を落札しており、うち3件は最低制限価格と同額で応札しているという。問題の道路工事の入札は一般競争入札で23社が参加し、4社が最低制限価格で並び抽選で大成組が落札しているが、抽選に関しても便宜を図った疑いがもたれているという。
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