新聞に投稿された「マンション内ではあいさつをしない」というルールが話題になっているそうなのだが、神戸新聞に掲載されたのはマンションの管理組合理事をしているという 56 歳男性による投書で、「住んでるマンションの管理組合理事をやってるんですが、先日の住民総会で、小学生の親御さんから提案されました。『知らない人にあいさつされたら逃げるように教えているので、マンション内ではあいさつをしないように決めてください。子どもにはどの人がマンションの人かどうか判断できない。教育上困ります』、すると年配の方から『あいさつをしてもあいさつが返ってこないので気分が悪かった。お互いにやめましょう』と、意見が一致してしまいました。その告知を出すのですが、世の中変わったなと理解に苦しんでいます」というのだ。
それでも「たかがあいさつ」と言うことなかれ。あいさつはコミュニケーションの第一歩であり、相手を認識していることへの意思表示でもあって、 地域とつながる役割もあって犯罪抑止力としても大きく働いているというのが定説なのだ。 ですからおざなりに声だけかけるのではなく、相手の顔を見てしっかりと「おはようございます」・「こんにちは」とあいさつすることが必要なのだとマンションの講習会などでは教えられている。そして自分から声をかけることがポイントで、何度かあいさつを交わしていれば徐々に会話も生まれるというのだ。あいさつをしたことがない人がウロウロしていたらすぐに気がつきますし、もしも相手が犯罪をもくろむ人間だったら「しまった、顔を覚えられた」と思い躊躇するはずだというのだ。
あいさつが街の安全力向上につながる ということなのだが、京阪電鉄不動産が実施したマンション住民へのアンケート調査によれば、「近所の方とすれ違う時に挨拶を交わしますか」という質問に、「毎回挨拶をする」と答えた人は2 2.0 %で、残りの内訳は「たまに挨拶する」が 50.0% ということで、「ほとんど挨拶しない」が 16.7% で「全く挨拶しない」の 11.3% と合わせると、 8 割近くの住民があいさつに消極的だという結果だったという。「うちの近所じゃ小学生が先手を打って挨拶してくる」とか、「普段から挨拶し合って住民同士のコミュニケーションが取れている集合住宅は、空き巣などの被害が少ないんですけどね」といった、むしろ防犯上あいさつはしたほうが良いのではという声がややはり多かったというのだ。、
もっとも「何と淋しい人生だろう。お互いに笑顔で元気良く挨拶しようよ。その方が気分が良いよ」といった肯定派も多く、「挨拶も変わったんだなぁ。 ただ、不審者はコミュニティーという近所付き合い・挨拶・人の目を嫌うんで、むしろバリバリした方が防犯的には良いと思うんですけどね」や、「挨拶するのは社会生活をするうえでの基本中の基本だと思うんですがね。どうなっちゃうんですかね」とか、「『知らない人』でも毎日挨拶を交わすことで、だんだん『知ってる人』になっていくと思う。挨拶せずに逃げ回ってたら、『知らない人』はいつまでたっても『知らない人』のままだ」と、世間の世知辛さを憂う声も続出しているという。防犯意識の高まりで「あいさつ」というコミュニケーションの根本も見直されているというのだ。
私の住んでいる愛媛県では「人と人との助け合い、支え合いの根底には『愛』があります。困難にくじけることなく挑戦し道が開けた時には『笑顔』がこぼれます。『愛』と『笑顔』が結ばれて生まれたのが『愛顔』で、愛媛県は『愛顔あふれる愛媛県』を目指しています」としているのだ。県政広報紙「愛媛県民だより 愛顔(えがお)のえひめ」は、 挨拶は大切な コミュニケーションで これを絶たれると言うことは相手に対して不信感を抱き逆に犯罪に繋がる可能性もあるということで発行されているそうなのだ。 犯罪者や不審者は人目につくことを何よりも恐れており、街全体の印象として「住民の無関心」を感じ取ると狙いを定められやすくなるというのだ。と「あいさつなし」を支持する声もあるがこちらはやや少数派のようなのだ。
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