山側から日本海に向けて吹き荒れる南向きの強風にあおられ炎は、商店や住宅に広がっていったとされる新潟県糸魚川市で発生した大規模火災なのだが、日没後も火の勢いはなかなか衰えず午後9時前にようやく鎮圧状態になったという。「こんな火事は今まで起きたことがない」と避難を余儀なくされた住民らは語っていた。別の人は「煙はすごかったが、炎はほとんど見えなかった。すぐ消えると思って心配しなかったのだが」というが、糸魚川市消防本部は消防車6台で消火に当たったが、建物が密集する糸魚川市の市街地に強風が吹き続け延焼をくい止められず、現場に駆け付けた市消防団員は「あちらこちらから火の手が上がって消火が追いつかなかった。ほんの数分。気がついたらそこら中が火の海になっていた」と話していた。
まもなく新潟市や近隣自治体から次々と応援部隊が駆け付け、現場には計約100台の消防車と約500人の消防隊員が集合したが、水が不足したためポンプを使って海から海水を直接くみ上げたりミキサー車で水を運んだりして消火活動を続けたという。「家屋が密集している地域なので日頃の訓練もそれを踏まえてやっているが、今回は想定外」と、炎に包まれる街を前に消防団員は唇をかんだという。火元とみられる中華料理店のすぐそばに住む住民が有線放送で火事に気づいたが、火の勢いは収まるかに見えたのに風が吹くたびに火の粉が飛び、次第にあちこちから火の手が上がったという。そこで「火が来るぞ。もう家にはいられない」と考えて奥さんと一緒に飛び出したそうなのだ。
この住民の家は燃えずに無事だったが水浸しで住める状態ではないみたいで、「長く生きてきたが、こんな恐ろしい経験は初めて」と憔悴しきっていたという。「午前中は大した火事でもないと思ったが、みるみるうちに広がって驚いた」と語る近くの園芸店で働く女性は、商品の花を軽トラックに積み急いで近くの農協に運び込んだという。「年末の忙しいときに、まさかこんなことが起きるなんて。停電でテレビも見られなくなり、状況が分からない」というが、TVの画像で見ても日が落ちると夜空を照らす炎が一層目立つようになっていたが、見慣れた街並みの変わり果てた姿に避難所でテレビ画面を見つめていた高齢の女性は「残念だね」とつぶやき、別の女性も「焼け跡を見るのがつらいので、消し止められても戻るのは気が重い」と語っていた。
新潟県糸魚川市では日本海側の低気圧に向けて南から強風が吹き続けており、気象庁によると山から海へ乾いた風が吹き下ろす「フェーン現象」が起きた可能性があるという。フェーン現象は湿った風が山脈を越える際に起きる現象で、風が上昇して気温が下がると水分が雨になって失われ下降する際に乾いた暖かい風になるとされている。冬季の関東平野では日本海から吹く風で起きやすい現象なのだが、太平洋側から吹いた風が列島中央の山脈を越えて乾燥し日本海側で強風となった可能性があるというのだ。出火当時糸魚川市では正午過ぎに最大瞬間風速24・2メートルを記録しており、明治大大学院の中林一樹特任教授は「日本海側ではよく、3~4月の春先に吹く風だ」と話している。
新潟県糸魚川市で起きた火災は強風にあおられて 140 棟以上に延焼し、午後 9 時前になって鎮圧状態になったというが、消防や警察のほか自衛隊も災害出動し避難活動や消火に当たったというのだ。市民らは「こんな大火災は初めてだ」と緊張の表情で消火活動を見守っていたそうなのだ。自宅が全焼したという公民館の職員は「自分の家が燃えるのを近くから眺めていた。午前中から強い風が吹いていたので心配していた。明日からどうしようか」と嘆き、消火元近くで居酒屋を経営していた女性は「こんなに大きな火災は初めて、見ているうちに火が出てきて何も持ち出せなかった。仕方ないが、年齢も考えると店は閉めることになる。糸魚川は立ち直れるだろうか」と話し、目を伏せていた
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