ある雑誌で「家族と食べたい年末年始の鍋ベスト 3 」をアンケートした結果、極上和牛の熟成肉で楽しむ「熟成肉の濃厚すき焼き」と、カニ刺し・カニしゃぶ・カニすきを堪能する「松葉ガニの鍋」に、天然トラフグを使った「トラフグの鍋」といったいずれも、お店で食べたら財布が痛む極上鍋だったそうなのだ。年末年始に自宅で家族と食べたい逸品ぞろいなのは間違いないのだが、最初の「すき焼き」ということではいまや熟成肉の時代到来かといわれているそうなのだ。ステーキやローストビーフでおいしい熟成肉だからすき焼きだってうまいに決まっているとされてはいるが、問題はお薦めの熟成肉は悩みどころだという。熟成肉の製造に欠かせない牛肉のエイジングには、乾燥熟成させるドライと乾きを抑えて熟成させるウエットがあるそうなのだ。
その中でも飛騨牛のウエットエイジングと鹿角短角牛のドライエイジングは、タイプは違うものの両者一歩も譲らない美味肉だと紹介されていたのだが、どちらも甲乙付け難いとはいえ一般的には飛騨牛のウエットエイジングの赤身のほうが、赤身の上質なうまさが肉好きのハートをつかむことから好きな人は多いだろうということだった。一方の鹿角短角牛は通好みという事で濃厚な赤身と少し癖がある脂が魅力的だというのだ。そんな濃厚で味わい深い肉をすき焼きにするうえで重要なのは、市販の甘くて混ぜ物が多い類いの割り下は使わないことだという。せっかく牛肉にこだわったのに割り下が適当なのはいただけないが、自宅でも甘さ控えめで無添加の割り下を作るのは意外に簡単だというのだ。
レシピも簡単で「しょうゆ 4 、みりん 2 、酒 1 、水 1 、砂糖 1.5 」の比率で材料を鍋に入れて、沸騰寸前で火を止めるだけで出来上がるという。ただしこの割り下は牛肉が上質な場合には合うが味が薄い肉の場合は甘さやうまさが足りないと感じることにもなるというのだ。それくらい肉が違えば味付け材料であるすき焼きの場合は割り下も違ってくるというのだ。上質な牛肉であれば調味料はシンプルな方がよく、さらに合わせるお酒は日本酒が最適だというのだ。もちろんこの鍋は子どもも大喜びとなるはずで、ここはひとつ卵にもこだわって雑誌の一押しは青森・田子の「緑の一番星」という卵だというのだ。この卵の黄身はすごい力で辛めの割り下と甘い牛肉を包み込んでくれ卵が肉に負けないくらいの力があるそうなのだ。
また卵ももちろんだが材料の吟味としてはネギにもこだわりたいところで、「千寿葱」や曲がりネギのような作りにこだわった伝統野菜のネギなら間違いないという。産地にもよるが伝統野菜は甘さや辛さが十分なので濃厚な熟成肉との相性は抜群だそうで、うまいネギが上質な牛の脂をまとい辛めの割り下が甘いネギの間に入り込んで実においしいというのだ。牛肉がうまいだけでなく大量のネギをおいしく食べることでより満足度が高くなるというが、こうして濃厚すき焼きで熟成肉の色々な部位を楽しめばより深い「すき焼き道」を堪能できるという。一般的にすき焼き用として使われる部位は「バラ」・「リブロース」・「かたロース」・「モモ肉」が多いとされ、特に「リブロース」は牛肉の部位の中でも高級な部位のため最高だとされている。
リブロースは 高級肉のお手本のようなきれいな霜降りが出るので、良質な脂がすき焼きに溶けだし肉の柔らかさも感じられる部位なのだが、今回のおすすめは飛騨牛では部位はトモサンカクやイチボなどで、鹿角短角牛は外モモ・バラ・肩ロースなどを楽しむとよいそうなのだ。ちなみに鹿角短角牛には少し心地よい癖があるとされている。これは食べ慣れた黒毛和種と血統が違うだけでなく、広大な放牧場で緑の草をたっぷり食べて育っているので、肉や脂にその青草の香りが移っているというのだ。ちょっと硬めなので飛騨牛よりも薄めにスライスするそうで、適度な歯ごたえと濃厚な赤身と割り下がからんだ味わいで、赤ワインでも良い感じになるというのだが、やはりすき焼きは鍋の中でも贅沢に食べられる鍋の代表なのだろう。
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