「行革の女王」と呼ばれていた現民進党党首の蓮舫参議院員が行政刷新委員会で、「自衛隊の制服高すぎる。中国で縫製して輸入すればもっと安くなる」と言っていたそうのだが、自衛隊に限らず軍の制服のデザインや素材等は、その制服と同じものが第三者の手に渡ってしまえばいくらでも軍の中に潜入することができてしまうのだ。それがものすごく恐ろしいことだということくらい誰でも気がつきそうだが、国防にかかわる重要なものでも安ければいいと考える人もいるんだと、「自衛隊の制服なんて海外での大量生産品で何が悪いの」という論調に当時びっくりした記憶があるのだ。戦場で敵兵がその制服を着て入れ替わったとしても、すぐには気付かないことになれば大変な事態になるのは明白なのだ。
昨年の大河ドラマの「真田丸」でも、敵の鎧を利用して軍の統率を乱すシーンが何度も描かれていたくらいなのだ。そんな自衛隊の軍服等なのだが公務員の信用を利用した犯罪にも使えることから、そういった悪用を避けるために官給品は民間人には払いさげず古くなったら交換という形で回収しているというのだ。そして制服の部分的な汚れは駐屯地にある業務隊や被服係などに依頼すると修繕されるのだそうで、それでも長年使うと全体に色あせて繊維が薄くなり擦り切れてくるのでそこまで行くと交換してもらうことになりというのだ。つまり制服や身の回り品一式を入隊時に支給してもらい、それを使い古せば消耗品だから交換が必要ということで耐用年数を考えて新品が支給されるというのだ。
また支給品は制服だけじゃなくベルトのバックルや靴や支給された衣類を入れる衣嚢や仮眠覆いだけでなく、「セパレーツ」と呼ばれる雨合羽のヘルメットなども支給されているのだ。同じ装備を完全に揃えていることで例えばスパイが混じっていても、一部が違うという違和感があってすぐに見つけられるというわけなのだ。その自衛隊の制服等が予算不足でまったく足らない状況になっているというのだ。今年は4月の熊本大震災から12月の糸魚川大火災までへの陸上自衛隊の大規模な派遣があり、普段の演習などとは違い荒れ果てた被災地で救難活動を自衛隊は必死で行うと、瓦礫の山での作業ですから制服も切り裂かれたり擦り切れたり傷だらけになってしまったというのだ。
東日本大震災で備蓄品をすべて放出していたことに加えて、大災害の多さで自衛隊は通常時なら使い果たすことのない在庫をすべて使い果たしてしまったというのだ。陸上自衛隊では新しく入隊した自衛官に先に制服を配ってあげたいので、今いる先輩自衛官が本当なら交換しなければならないような制服や靴を我慢して使っているそうで、使えればまだいいのだがいろいろな訓練時にやはり破れかけた靴などを履いている自衛官もいるそうなのだ。自衛官の中からは「『服装が乱れている』と上官に叱られることも多くて辛い」と嘆く声も聞こえてきているそうで、予算が無くて制服が交換できないためなのですからとても可哀想だと思うのだ。もっともこのようなことは一般の公務員にも言えるそうなのだ。
東日本大震災の時には国家公務員だけでなく地方公務員も自衛隊の給料は 10 %カットされたことも記憶に鮮明に残っており、私が現場で役所の監督さんに聞くところによると、いきなりの給料カットでローンの支払いに困ったり、子供の塾通いをやめさせたりしたことになった家庭もあったというのだ。私の所属している建設業界ではそれこそ「釘1本」でも節約するようにしているのだが、人にかかる装備品は現場の安全も考慮して「破れかけた靴」などを履いていることなどは決してないのだ。現場にくる役所の監督さんが「すぐに穴のあいてしまう長靴」や「薄っぺらい雨カッパ」を着ていたりすると、現場を知らない事務方が調達しているんだなと、少し可哀想になってくることもあるのだ。
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