米国の第 45 代目の大統領に就任したトランプ新大統領なのだが、約20分にわたった演説で「米国が第一だ。米国民のための通商、税制、移民政策を実施する」と言明し、その上で「米国製品を買い、米国人を雇用する政策を推進する」との方針を示し、既存の政治家を批判する立場として「ワシントンから国民に権力を取り戻す」と強調したそうなのだ。さらに外交に関して他国との友好関係を追求するとしながらも、自国の利益を第一に考えるのは全ての国の権利だと主張し、「イスラム過激派のテロを地上から壊滅させる」と語ったという。またインフラ整備に関しては「全米で新たな道路、空港、鉄道を整備する」とも表明したが、環太平洋連携協定から離脱することを正式に表明したそうなのだ。
また北米自由貿易協定も再交渉を求め参加国のカナダやメキシコが応じなければ離脱する意向も示し、「米国第一」を徹底し保護主義的な政策を辞さない構えだという。基本政策としてホワイトハウスのホームページで公表しているそうなのだが、通商戦略実行の「手始めとして環太平洋連携協定から離脱する」と表明し、既存協定についても米国の利益にかなわなければ再交渉する方針を示している。米国の戦略転換は世界経済の成長を支える自由貿易体制に影響する恐れがあるが、日本や米国・豪州など 12 カ国が署名した環太平洋連携協定は米国が批准しなければ発効しない仕組みとなっており、トランプ新政権の離脱表明により現状の協定は発効のめどが立たなくなったというのだ。
日本政府関係者は「引き続き米国に批准を働き掛ける」と語ってはいるが、トランプ新大統領は就任演説で通商・税・移民政策などを通じ米国の利益を追求すると宣言しており、「自国産業や雇用の保護こそが素晴らしい繁栄と強さをもたらす」と大統領選挙中のキャンペーンと同じ考えを訴えたのだ。「米国製品の購入と米国人の雇用」を求めていく考えを強調し規制緩和による石油などの増産を検討しているというのだ。トランプ新大統領は実業家出身で政府・軍の職務経験がない初めての大統領となり、米史上最高齢での就任となったという。オバマ政権が進めたリベラル路線の転換を掲げる一方で、秩序や原則より商取引等を優先させる政権運営は、内外に不確実性をもたらす可能性があるとされている。
トランプ新大統領の就任前支持率は軒並み40%程度にとどまり、トランプ新大統領の排他的な姿勢に抗議する多くのデモが展開されているというのだ。しかも民主党議員60人以上が式典をボイコットしたことから就任式の会場には空席が目立ったという。新政権は基本政策で「不公正貿易」に厳格な措置を講じる方針を発表し、雇用を今後 10 年間に 2500 万人増やして 4 %の経済成長を取り戻す目標も掲げている。雇用促進を阻む環境規制などは見直しオバマ前政権が策定した地球温暖化対策の行動計画は撤廃すると表明している。オバマ前政権が定めた地球温暖化対策の行動計画など「有害で不要」な政策を撤廃して、シェールオイル・ガスなど国内資源を活用し石油輸出国機構の依存から脱却をするというのだ。
トランプ米新大統領の就任式が行われた首都ワシントンでは、早朝から抗議を続けたデモ隊の一部が暴徒化しており、就任パレードのルートから遠くない市内中心部で窓ガラスを割ったり、警官ともみ合いになったりして200人以上が逮捕されるなど、厳戒態勢の首都に緊張が走ったという報道がなされている。ワシントンでは数日前から抗議デモが始まっており「反トランプ感情」の根強さが表れているというのだが、デモに参加したニューハンプシャー州の自動車教習所指導員マシュー・ミッチェル氏は「怒りではなく、対話が必要だ」と強調はしてはいるが、「われわれには指導者が必要だ。トランプ氏の任期を4年で終わらせるためにできることは何でもやりたい」と話しているというのだ。
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