原子力規制委員会は定例会で福井県にある関西電力大飯原発3・4号機が、新規制基準に適合しているとする審査書案を了承したと発表した。事実上の審査合格で1カ月間の意見公募後に正式決定するというが、合格しているのは全国で6原発12基なのだが、この決定で関西電力が申請した3原発7基全てで事実上の合格判断が出ることになる。大飯原発3・4号機は関西電力が福井県おおい町に所有する原発で、いずれも加圧水型軽水炉なのだが関西電力の原発の中で最も新しく、3号機・4号機ともに1990年代に営業運転を開始している。関西電力が保有する原子力発電所としては最大規模で、日本にある原子力発電所では柏崎・刈谷原子力発電所に次いで第 2 位の発電量があとされている。
この福井県にある関西電力大飯原発3・4号機は新規制基準施行前に、当時の民主党政権が関西電力管内の電力不足を理由に政治判断で再稼働していたが、電力のひっ迫状況が推定と異なって停電等も起こらないことが確認できたため定期検査で停止している。再稼働の時には保安院の審査書を「妥当」とする確認文書が用意されており、保安院の委員長であった班目春樹が淡々と議事を進め 5 分後に、「これを本委員会の見解とします」と述べて会議を打ち切って再稼働した原発なのだ。この時に傍聴した再稼働に反対する市民は「結論ありきの茶番」だと批判したが、政府は再稼働への同意をおおい町議会に要請し、全員協議会が開かれ議員のほとんどが賛成して再稼働容認を決めたというのだ。
しかし福井県おおい町の時岡町長は福井県原子力安全専門委員会の意向も踏まえて判断するとしているため、福井県原子力安全専門委員会の結論が大幅にずれ込んでいることから町としての同意には至っていないという。しかも時岡おおい町長の息子が大飯発電所の下請け会社の社長であることから、この会社の経営のために大飯原発を動かしたいのではないかという説がTVの討論番組で放送されているという。しかも福井県原子力安全専門委員会の結論が出ていないことや、国が原発の中長期的な方向性を示さず姿勢が明確でないことに西川福井県知事が「原子力は国が前面に立って仕事を引き受けないと問題が解決しにくい」と反発していることから、福井県の意見集約はあまり進んでいない状況だといわれている。
それでも関西電力は大飯3・4号機を今年9月までに再稼働させる計画を原子力規制委員会に示しているそうなのだが、再稼働には設備の詳細設計など二つの認可や使用前検査のほか、福井県などの地元同意が必要で再稼働の時期は不透明だとされていたのだ。大飯3・4号機の審査では想定する最大の揺れ「基準地震動」を700ガルから856ガルに、津波の高さを2.85メートルから6.3メートルに引き上げるなどの安全対策を盛り込んでいた。ところが2基の地震対策の審査を担当した原子力規制委員会の島崎邦彦前委員長代理が、基準地震動について「計算が過小評価されている」と指摘し、原子力規制委員会に再計算を求めたが原子力規制委員会は「関西電力の計算は妥当」として退けた経緯があるのだ。
大飯原発3・4号機から3㎞ほどの若狭湾内には、北西から南東方向に伸びる断層が存在しているし施設内にも活断層が存在するという見方もあるのだ。また山地で急傾斜の半島の先端に位置するため大地震や津波などが起きた際には、大飯原発3・4号機と外部を結ぶ道路が寸断され発電所が孤立する危険があるとの指摘もある。私は原子力を使いこなすのは人間には無理だということで、現状として原発が壊れた場合には人間には成す術がないという事だとおもっている。壊れないように努力するしか無いのだが世の中壊れない物は無いというのが事実なのだ。場合によっては地域の存在や文化ごと消し飛びかねず、いつか絶対事故が起きる原発をいくら便利でもリスクが大き過ぎると考えているのだ。
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