先月から鳴り物入りでスタートした「プレミアムフライデー」なのだが、政府および経団連を中心とした経済界が提唱・推進している、毎月最終金曜日(フライデー)に普段よりもプレミアムな生活を推奨する個人消費喚起キャンペーンなのだ。午後 3 時に仕事を終えることを奨励する働き方改革とも連携し、給与支給日直後に該当しやすい月末の金曜日には、夕方を買い物や旅行などに充てることを推奨しているというのだ。調査会社が行った「プレミアムフライデー」の実態調査では半数近くの人が「自分には関係ない」と他人事で、実際当日にイベントなどを楽しんだ人はわずか5.0%だったという。「今回は様子見」とひとまず見送った企業も少なくなかったようで「中小企業はとてもじゃないけど無理」といった嘆き節も聞こえている。
調査は20代から50代の働く男女1704名を対象に実施されたそうなのだが、消費を促したいそんな経済産業省の目論見は外れ「アフター3」を満喫した人は少数だったようだ。世耕経産相は実施前の記者会見で「政府としてはプレミアムフライデーの取り組みが単なる安売り日ではなく、デフレ的な傾向を変える一つのきっかけになることを強く期待している」とコメントしており、さらにこの取り組みが働き方改革とも連動するとして「企業が従業員に対して有給休暇の取得促進やフレックス制度の活動を促すことで、買い物や家族との外食、観光やボランティア、旅行など、豊かさや幸せにつながる充実感や満足感を得ることができる環境づくりにつながることを期待しています」などと語っていたそうなのだ。
プレミアムフライデーの認知度や取り組みへの感想や当日の予定などを聞いたところ、小売や飲食業では特別企画が続々と打ち出され連日テレビを賑やかせたためか、プレミアムフライデーを「知っている」と答えた人は88.8%と性別・年代問わず高い認知率となっていたが、当日の予定を聞いた質問では「特に何もしなかった」が43.9%でトップとなり、次いでなんと「仕事」が35.0%に対し当日にキャンペーンやイベントを楽しんだ人はわずか5.0%だったという。取組の推進のため一定の使用基準の下でプレミアムフライデー推進協議会事務局のホームページから企業等が自由に使用できる統一ロゴマークを無償提供しているにもかかわらず、多くの人は仕事から解放されることもできない皮肉な結果となったようなのだ。
それでも私の事務所もそうなのだが労働組合 では、「プレミアムフライデー」の時間を利用して会社側と団体交渉を行う時間や、労働組合の定例会議の時間とか争議行動の時間として確保していく動きがみられたという。また「プレミアムフライデー」の取り組みをどのように感じているかを聞いたところ、いい取り組みだと思うが自分には関係ない」が47.8%と、次点の「いい取り組みだと思う」の25.3%を大きく離して最多となったそうなのだ。概ね肯定的に捉えられているようだが定着にはもう少し時間がかかりそうで、デパートの担当者は「プレミアムフライデーは低迷する個人消費を喚起する効果があると思う」と答えている。もっとも「 消費が少ないのはどう考えても時間というよりお金がないことが原因だ」という意見が大半だったという。
それでも 大手デパート5社は月末の金曜日に早めの退社を促す「プレミアムフライデー」が初めて行われた日の売り上げを発表しているのだが、それによるとグループ全体の1日の売り上げは去年2月の月末の金曜日よりも少しは増加しているそうなのだ。大手デパート各社ともに食品売り場や飲食店が仕事帰りの人を中心ににぎわったほか、体験イベントを行った化粧品の売り上げなどが好調だったということのようなのだ。それでも皮肉なことに先月のグループ全体売り上げは「うるう年」だった去年より営業日が1日少なかったことなどから、5社のうち3社が去年の実績を下回っているそうなのだ。それでも各デパートとも「この取り組みを持続させるためにも継続的にイベントなどを行っていきたい」と話しているという。
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