私は通販を利用しないのでよく知らないのだが、 驚異的なスピードで日本でも成長してきたネット通販の巨人の「アマゾン」は扱う品目は書籍に留まらず、日用品や雑貨・食品と今や多くの日本人の生活になくてはならない存在になりつつあるという。しかしその足元が大きく揺らいでいるそうで、「アマゾン」が扱う商品は日本市場だけで 2 億品目とも言われているが、それを運ぶ人間が圧倒的に不足しているというのだ。「アマゾンから配送の依頼があり 3 回ほど呼ばれて話を聞きに行きましたが、札束で頬を叩くような態度で不愉快な思いをしました。その札束が薄いのですから話になりません。はっきり言って条件が悪かったので断りました」トラックで宅配を請け負う運送業の社長がこう言って憤慨していたそうなのだ
すでに配送を担う現場の疲弊は限界を迎えており、「アマゾン」の配送を請け負う運送会社社員の声だと「とにかく荷物が多くて、決められた時間内に仕事が終わることなど、まずなかったですね。アマゾンの荷物がものすごく多く、繁忙期になると一日に 300 軒を回ることはザラでした。しかも時間指定の商品が多く、常に時間に追われている感じでした。毎日のストレスは尋常なものではなかった。それでいて、給料は安い。私も含めて、辞めていく人は多かった」 というのだ。アマゾンの配送は佐川急便が一手に引き受けていたが運賃が低く採算割れだったため、佐川急便がアマゾンに値上げを申し入れたのだが交渉が決裂し佐川急便はアマゾンの配送から完全撤退したそうなのだ。
その「アマゾン」の配達物で一番困るのが箱の大きさだというのだが、アマゾンは内容物が小さいのに無駄に箱が大きいのでポストの入り口に収まらないものが多く、宅配ボックスがあるところだといいのだが一軒家だと投函できないので、結局お客さんに出てきてもらわないと渡せないし、不在なら不在票を書いてまた来なければいけないというのだ。そして「アマゾン」だけでも何度も往復する羽目になって、他の郵便物の配達も遅れ毎日残業です」というのは元配達員なのだが、現在は「アマゾン」の配送はヤマト運輸に頼っているが、今回の労働組合の交渉のように本音では受けたくないはずで、このまま運送業者にとっての条件が悪いままだと「アマゾン」の配送は成立しなくなると危惧されているというのだ。
その「アマゾン」は当日受けた注文を 1 時間以内で届けるサービスを自社配送でやると言っているのだがそんなことができるわけがないというのが専門家の意見だという。自分たちだけではすべてを運ぶことができないわけなので、ヤマト運輸が撤退したら「アマゾン」は完全に成り立たなくなるという。厚生労働省の調べによると道路貨物運送業の給与は 20 年前をピークに減少傾向にあるそうなのだ。また全産業の年間所得が 489 万円だったのに対し、中小型トラックのドライバーは 388 万円だとされ、そのうえ労働時間は全産業の年間労働時間が 2124 時間に対し中小型トラックドライバーは 2580 時間と長いというのだ。単純計算で時給に換算すると約 1500 円にしかならずコンビニの深夜バイトと変わらないという。
普通は労働が過酷になると給料が上がるのだが、物流業界では労働時間が長くなっているにもかかわらず、給料が下がるという異常な状態に置かれているのだ。数字の上からもトラックドライバーの労働は平均的な労働者よりも長時間で安いことが裏付けられているし、そんなトラックドライバーが日本の物流の実に9割を担っているのだ。しかも労働者の年齢層も50歳代が一番多く歪になっているそうなのだ。情報は一瞬で届く時代になっているというのだが現実の物は誰かが人力で動かさないと経済は回らないのだ。「送料無料・翌日配送・ 365 日 24 時間営業」は、トラック運転手のような運ぶ人がいないと成り立たないし、日本人が当たり前のように享受する便利さが崩壊の危機に直面しているというのだ。
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