岐阜市が発注する市道の側溝を交換する工事の入札について、職員の確認ミスで本来なら落札できた業者が落札できず、約100万円高く契約が結ばれたことが分かったというのだ。岐阜市によると今月に入札が行われた側溝の交換工事について、安く残土処理ができる場所が見つかったため、当初の設計から工事費を13万円ほど安く設定したそうなのだが、積算担当者の確認ミスで修正前の工事費のまま決済が取られていたというのだ。その結果落札の下限額が実際よりも高く設定されてしまい、これを下回る額を提示した4社が無効になり工事は別の業者が落札したそうなのだ。無効になった4社の入札額は再提起重価格付近だったそうなのだが、担当者のミスがなければ落札は4社の中から決まっていたというのだ。
しこも積算ミスがなければ契約額も約100万円安かったということなのだが、岐阜市はお決まりの「今後は、再発防止に努める」としているそうなのだ。最近の役所の予算編成能力が素人レベルなのは常識なのだが、私が建設業界に入ったころには、実際に図面を描いているのが建設コンサルタント会社であっても、「発注者が設計者だ」と譲らない監督者にたびたび出くわしていたのだ。なぜかと問うと「設計の責任は発注者にしか取れないからだ」というのだが、今では役所担当者なんてコスト管理能力皆無だと言われている。設計ミスを修正して変更増でもしようものなら、それを第 3 者が見たら請負者に入札後に不必要に増額したということになってしまうし、それによって議会で叩かれたくないから増額したくないんです。
最近の発注者はミスに対して責任を取るのをやめたみたいで、そうとしか思えないような出来事が散見されるようになってきたといわれている。特に積算ミスの頻発と事後対応を見ていると問題の根は深いという指摘もなされている。札幌市では発注した工事の約 5 %で入札公告の訂正があったというし、東日本大地震の復興事業の入札に至っては発注件数のおおむね 10 %弱で入札公告の訂正が必要になる事態になっているというのだ。大半の訂正は積算ミスが原因だとされているが、、学識者などからは「きちんと公告を訂正する発注機関はまだましだ」との声もあるというのだ。積算が過大だったと発注者が契約後に気づき過大積算分の工費を減額したり、余分な工事を発注して契約額を変えずに帳尻を合わせたりしているという。
落札後に建設会社が見積もりミスを理由に契約締結を辞退すれば、「不誠実な行為」とみなされ指名停止になる場合があるのに、積算ミスを犯した発注者はおとがめなしとなれば受注者側は納得できないのだ。本来は各専門業者や材料屋に見積を取って積算し初めて設計書を作成するものなのだが、今はソフトもあるので極論ですが素人の事務員さんが積算している役所も多いと言われている。最低制限を当てるだけの当て物入札になったので仕方無いことなのだが、私が見ても役所の担当の能力も落ちてきているが業者の積算能力も落ちてるのは事実と思ってしまうのだ。発注者もミスを犯すことがあることを前提に公共事業の様々な仕組みを再構築する時期に来ているみたいなのだ。
発注者の行動を規定する会計法や契約約款などでは発注者がミスを犯した場合の対処方法が明文化されていないそうで、中央建設業審議会の総会で契約当事者間の対等性の観点から公共工事標準請負契約約款の改正内容が決まっていることになっている。受発注者間の協議の段階から公正・中立な第三者である調停人を活用し、円滑に協議が行われるように規定を新設されてはいるし、工期延長に伴う増加費用の負担について発注者に帰責事由がある場合には発注者が費用を負担するという内容の規定も出来てはいるのだ。しかし発注者もミスを犯すことがあるという前提に立った改正はできないみたいなのだが、根本的な問題解決のためには発注者責任を改めて定義する必要があるということだろう。
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