一概に土地の価格と言っても「実勢価格」や都道府県地価調査の基準地価である「公示地価」に、相続税の評価額となる「相続税路線価」や固定資産税の評価額である「固定資産税路線価」だけでなく、土地鑑定士が算定する「鑑定評価額」とさまざまな種類があるのだが、国土交通省は毎年3月末にその年の 1 月 1 日時点の公示地価を発表しているのだ。バブル崩壊以後下がり続けていた住宅地の全国平均は 9 年ぶりに下落を脱し、前年比でほぼ横ばいに転じたそうなのだ。また商業地の全国平均は 1 . 4 %上がり 2 年連続の上昇しており、5年くらい前からは三大都市圏で地価の上昇が続いているほか、地方圏の下落率が縮小したこともあって全国 2 万 5988 地点の土地価格の平均は 0 . 4 %のプラスとなっているという。
国土交通省が公表した公示地価では交通インフラの整備が進む仙台など地方 4 市で上昇幅の拡大が見られた一方、少子高齢化や人口流出が止まらない地域や災害リスクが高い地点での下落が目立つ結果となっている。この他では首都圏中央連絡自動車道や東京外環道の延伸に伴い沿線の工業地の地価が上昇しているし、埼玉県入間市や千葉県船橋市などで物流施設の建設需要が強まっているという。住宅地の上昇率が最大だったのは仙台市若林区の地点で「地下鉄東西線の開業で利便性が高まった」とみられ、上位 10 地点中 7 地点を仙台市の沿線地域が占めているという。都市部等の住宅地は低金利や住宅ローン減税などの施策による需要の下支えがあり地価は底堅く推移しているそうなのだ。
三大都市圏での地価は平均で 0 . 5 %上昇しているが、やはり地方圏は平均で 0 . 4 %の下落となっているというのだ。もっとも下落幅は景気の回復により 7 年連続で縮小しているという。このうち札幌市や仙台市・広島市・福岡市の「地方 4 市」の地価は 2 . 8 %上昇している。また商業地は外国人観光客の増加による店舗やホテル需要の高まりで、各地で再開発事業が進展していることから地価は堅調に推移しているそうなのだ。この「公示地価」とは国土交通省の土地鑑定委員会が全国に定めた「標準地」の 1 月 1 日時点における 1 平方メートル当たりの土地価格のことで、毎年 1 回の 3 月に公表されている。新聞にも掲載されるが国土交通省の Web システムを利用すれば個人・法人問わず誰でも検索・閲覧が可能となっている。
この「公示地価」は 2 人以上の不動産鑑定士から得られた鑑定評価を、土地鑑定委員会で審査・調整して決定しているそうで、「公示地価」は土地の客観的な市場価値を表すだけでなく公共事業用地の取得価格算定の基準にもなっているというのだ。災害リスクが高い地点での土地価格の下落ということでは、昨年 4 月に地震に見舞われた熊本県は住宅地が上昇から下落に転じているという。住宅地の下落率が最大だったのは千葉県柏市の地点で、高齢化の進展と最寄りの鉄道駅から遠いことが影響したという。下落率上位 10 地点中 7 地点は高齢化や人口流出に直面する地域だったそうなのだが、残り 3 地点のうち静岡県焼津市や磐田両市は海に近く津波の心配から敬遠されたという。
商業地も人口流出に伴う地域経済の低迷が地価の下落につながっており、下落率の最大は鳥取県米子市の 10 . 1 %で大型店の破綻が影響したそうなのだ。住宅地が下落に転じた熊本県で最大の下落率は地震被害が大きかった益城町の 6 . 9 %なのだが、昨年 7 月 1 日時点の基準地価で下落率が全国トップの 9 . 8 %だったことを踏まえると、今回の調査で少しは回復の兆しが見えたとも言えるという。国土交通省の地価調査課は「地震前、益城町は熊本市のベッドタウンとして人口が増えていた。昨年 12 月に町の復興計画が策定され、将来に対する不安感が薄らいだのではないか」と分析している。そして仮設住宅の入居期間終了後の人口が回復するかどうかが今後の地価を左右するポイントとなりそうだとされている。
キーワードサーチ
コメント新着