安倍内閣による「巡視船外交」ということが本格化しているそうで、海洋進出を強める中国を念頭に警備能力が低い沿岸国を後押しする戦略を行っているそうなのだ。国際社会全体の平和と繁栄のためには、閣議決定された「国家安全保障戦略」にうたわれているとおり、「力ではなく、法とルールが支配する海洋秩序」の強化が極めて重要である。そのため、海上保安庁が各国海上法執行機関の能力向上を効果的に支援し、相互理解を深めることが、法とルールが支配する海洋秩序の強化に大いに貢献することとなると期待されている。このため海上保安庁及びアジア各国の海上保安機関の若手幹部職員を対象として、世界で初となる海上保安政策に関する修士レベルの教育を行う海上保安政策課程を開講しているというのだ。
国際協力機構を通じて東南アジア各国に講師を派遣したり、各国の海保機関職員を研修生として受け入れたりしてきた。尖閣諸島などで中国と海洋権益を争う日本は同じく中国と対立する南シナ海周辺国に船を供与する「巡視船外交」を進めてきているが、今回はその船を使った合同訓練でより強い連携に踏み込むというのだ。具体的には来月にフィリピン南部のダバオ沖で、フィリピンの沿岸警備隊に昨年供与した全長40メートル級の巡視船を使い、海賊行為などの違法行為の取り締まり方法などを指導するそうなのだ。小回りが利く巡視船搭載の高速ゴムボートの運用ノウハウも授けるというが、日本からはヘリコプター搭載型の巡視船「えちご」が参加し、指導は推進官が中心となって行うそうなのだ。
小笠原諸島周辺海域においては多数確認された中国サンゴ漁船は現在では確認されていないそうなのだが、九州西方の我が国排他的経済水域において検挙事案が発生するなど、依然として予断を許さない状況であるという。このように我が国は尖閣諸島など東シナ海で中国との間の緊張感が高まっているが、中国の海洋進出が続く東南アジア諸国と立場を共有することから海上保安庁は、 フィリピンとベトナムの海上保安機関に供与した巡視船と、日本の巡視船との初めての合同訓練を南シナ海などで実施することを決めたというのだ。フィリピンとベトナムは南シナ海の領有権を巡って中国と対立していることから、日本はフィリピンとベトナムの両国の海上保安機関を支援するというのだ。
中国の海洋進出や軍事衝突を抑えたい狙いがあるとみられているが、海上保安庁は東南アジア各国の支援に専従する「海上保安国際協力推進官」を新設しており、今回のフィリピンとの訓練が初の実践的な業務指導となるというのだ。ベトナム中部のダナン沖でベトナムの海上警察に対して3年前に供与した巡視船と、「えちご」が同様に合同で訓練をして漁船の違法操業の取り締まり訓練も行うというのだ。また沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中国漁船への警戒態勢を強化するため、海上保安庁が来年度までに追跡・規制能力を高めた小型巡視船を9隻新造しているそうなのだ。これまでの尖閣警備は第 11 管区海上保安本部のみでは対応できず、県外の管区本部から巡視船艇を派遣して対応していたというのだ。
海上保安庁では水産庁等の関係機関と連携の上引き続き、警戒を緩めることなく厳正な監視取締りを行っているそうなのだが、現在は既に新造した巡視船「しもじ」・「くりま」・「おおがみ」の3隻が配備され約120人体制で警戒に当たっているというのだ。これにより 石垣海上保安部には新造巡視船 10 隻が配備され約500人が増員されているが、これで石垣海上保安部は本年度の定員が689人となって全国の保安部では最大規模となっているそうなのだ。第 11 管区海上保安本部は「尖閣専従体制」が整ったとしているが、沖縄県石垣市の新栄町には5階建て 80 部屋の宿舎が完成しているし、浜崎マリーナには3階建ての石垣海上保安部浜崎船艇基地と巡視船5隻が係留可能な浜崎桟橋を整備しているそうなのだ。
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