政府の国家戦略特区諮問会議は「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする」との規制緩和を決めているが、 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」が国家戦略特区で獣医学部を新設する計画について、文部科学省の前川喜平前事務次官が在職中に首相補佐官に呼ばれて開学の手続きを急ぐよう働きかけられたと省内に伝えていたことが関係者の話で分かったというのだ。学校法人「加計学園」が国家戦略特区で獣医学部を開学するに巡っては内閣府が文部科学省に「総理のご意向」と伝えたことを記録したとされる文書の存在が明らかになっているが、同時期に安倍首相周辺からも文部科学省に迅速な対応を求めていた可能性が浮上しているのだ。
安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の大学獣医学部新設計画をめぐり、 民進党は安倍晋三首相の意思が働いて有利に事が進んだのではないかと追及を強めているが、かつては民進党の前身である民主党所属議員自らが愛媛県今治市への国家戦略特区指定を求める国会質疑を行ったり、関係省庁に問い合わせをしたりしていたということがマスコミで報じられている。民進党の高井崇志衆院議員は衆院地方創生特別委員会で「獣医学部を持つ大学が四国には一校もなく、中四国で獣医さんが足りない。今治市の特区はぜひ実現していただきたいと強くお願いする」と訴えていたそうで、当時の石破茂地方創生担当相には「抵抗する各省庁を説得する役割が石破大臣でないか」と語っていたそうなのだ。
高井衆議院議員の地盤は安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の本拠地である岡山県で、国会での質問後には自身のホームページに「石破氏から前向きな答弁を引き出すことができた」などとつづっていたそうなのだ。参議院岡山選挙区選出だった江田五月元参院議長も安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設に前向きだったといわれており、江田氏によると学校法人「加計学園」の加計孝太郎理事長の父親である勉氏と「30年来の付き合い」で、孝太郎氏からは「日本には長い間、獣医学部ができていない。膠着しているところに新しい動きをつくりたい」と相談を持ちかけられていたというし、江田氏は関係省庁の担当者を呼び説明を受けたこともあったそうなのだ。
私も労働組合の役員をしていた関係で会合などでは「中国・四国地方の獣医師が足りず地域によって偏っている」として、私が住む愛媛県などでは獣医師不足が深刻で、せっかく県に就職してもすぐに退職してしまうので慢性的に人材が不足しているということを聞いたことがあるのだ。愛媛県の中村知事も国家戦略特区を使って「岩盤規制」を突破するよう強く求めているそうだし、地元の菅今治市長も「改訂日本再興戦略」で示した特区認定の4条件を満たすなら「ぜひ獣医学部を四国につくってほしい。大型動物の獣医師は不足している」とも語っている。全国的に獣医師は不足していないとしている日本獣医師学会でも、地域によっては獣医師が不足していることは認めているのだ。
関係者によると官邸の和泉洋人首相補佐官に呼ばれて特区での獣医学部の新設について協議したというのだが、文部科学省は「獣医学部の新設は認めない」との告示を出していたことから新設に慎重な姿勢を示していたというのだ。そこで和泉洋人首相補佐官は告示改正の手続きに向けて「大学を所管する高等教育局に早くしてもらいたい」と要求したというのだ。今問題となっているのは安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」が国家戦略特区で獣医学部を規制緩和によって獣医学部を開学することを、政治家が国会で質問等したことではなく特区の利用が恣意的に官邸や政府によってなされたかもしれないことが大きな問題であることを忘れてはならないのだ。
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