職場におけるいじめや嫌がらせなどの パワーハラスメントに対し、政府が罰則を含めた法規制の検討に着手したことが分かったという。このパワーハラスメントを原因とする「心の病」が増えており、最悪の場合には自殺に至る恐れもあることから労働者側から規制導入の声があった。という。パワーハラスメントとは同じ職場で働く者に対し職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為とされ、暴行や傷害のほか仲間外しや仕事を与えないことなども該当されている。上司から部下への行為だけでなく先輩や後輩間に同僚間の行為も含まれるが、どのような行為が規制対象になるかは線引きが難しいとされている。
職場の パワーハラスメントについては裁判例や個別労働関係紛争処理事案に基づき、次の6類型を典型例として整理されいつそうでが、これらは職場のパワーハラスメントに当たりうる行為のすべてについて網羅するものではないことに留意する必要があるというのだ。身体的な攻撃として暴行・傷害だけでなく、精神的な攻撃として脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言や、人間関係からの切り離しでは隔離・仲間外し・無視に、過大な要求ということで業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制だけでなく、仕事の妨害をして過小な要求をおこなって業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと、個の侵害では私的なことに過度に立ち入ることをいうそうなのだ。
厚生労働省によるとパワーハラスメントは労働者の生産性や意欲の低下を招き、個人にとっても会社側にも「大きな損失」と認識しているそうなのだ。これまでも対策マニュアルを作成したりポスターの掲示やセミナーを開催したりして啓発に努めてきた。しかしパワーハラスメントの悩みは年々深刻化しているそうで、都道府県の労働局に寄せられたパワーハラスメント相談は平成14年度に6600件ほどだったが、昨年度は7万917件と、認知度の高まりとともに急増し、昨年度に精神疾患にかかり労災認定された498件のうち、原因で最も多かったのが「嫌がらせやいじめ、暴行」だった。過労自殺した電通の新入社員高橋まつりさんも「君の残業時間は無駄だ」などと上司の パワーハラスメントをうかがわせるメッセージを残していたといわれている。
現状では労働基準監督署には会社に対し改善を促す強制力が与えられておらず、具体的な取り組みは会社側の自主的努力に委ねられているため、政府は拘束力のある法規制の導入を検討している。すでにセクシャルハラスメント等は法律で定義され企業には防止策や体制整備が義務付けられているが厚生労働省によると、人によりパワーハラスメントの受け止め方が異なり業務上の指導とみられるケースもあることから、会社側の責任を明確に問うのは難しいとされ導入に向けて紆余曲折が予想されるという。 むしろ事前予防の方が重要で事後的な制裁という形になるとされており、社内に監視カメラを設置したりして互いの疑心暗鬼を生む結果になりかねないことを危惧されている。
英国・フランス・ベルギーなどの欧州諸国には パワーハラスメントに刑事罰を科したり、防止策を義務化したりするなどの法制度があるという。暴力を伴ういやがらせはわかりやすいが、言葉や配置転換などのいやがらせはわかりにくい。それ以上にいやがらせをしている加害者である上司等本人がハラスメントに気づいていないことが多いのが問題だとされている。そればかりか近頃では上から目線で現役時代は部下にパワーハラスメントを行う男性管理職は、定年後は「夫源病」という言葉ができるように妻を苦しめ、最後は自分の居場所まで失ってしまうということも問題となっている。現役の後半は階段を下りる練習をしておかないと最後は自分へのハラスメントに苦しむことになるだろういう警告もあるというのだ。
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