仁志・多喜馬の戯言日記&戯言通信

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2017年09月09日
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「年次有給休暇を取得できていますか、皆さんの周りの人はどうでしょうか」というのが雑誌の記事に載って、先日『同僚の反応気になり「有給」取れない社会人の 3 割』という記事がネットで話題となったというが、「そりゃそうだろう」というコメントを集めてみるとなかには「 3 割どころでは」という声もあったというのだ。実際のところ厚生労働省が毎年実施している「就労条件総合調査」によると、年次有給休暇の取得率は 48.7% と半分以下に留まっているそうなのだ。年次有給休暇は使用者が労働者に与えなければならないと労働基準法の 39 条で定められており、違反した使用者には 6 か月以下の懲役または 30 万円以下の罰金が科せられるのだ。法律で定められ罰則まであるのになぜ取得率が 5 割にも満たないというのだ。

法律事務所の弁護士の説明によると年次有給休暇を労働者に与えることは使用者の義務なのだが取得させる義務はないというのだ。つまり年次有給休暇を与えたが取得されなかった場合は使用者には責任はないというのだ。それならなぜ労働者はせっかく与えられた年次有給休暇を取得しないのかということなのだが、独立行政法人労働政策・研修機構が実施した「年次有給休暇の取得に関する調査」によると、年次有給休暇を取り残す主な理由のトップ 3 は次のようになっているそうなのだ。その理由は「病気や急な用事のために残しておく必要があるから」が 64.6 %で、「休むと職場の他の人に迷惑になるから」が 60.2 %となり、「仕事量が多すぎて休んでいる余裕がないから」というのも 52.7 %だというのだ。

つまり「病気や急な用事のために残しておく必要があるから」以外はいずれも職場に遠慮して取り残していることがうかがえる結果となっているというのだ。そして取得率の高い事業所ほど「病気や急な用事のために残しておく必要があるから」の割合が高く、取得率の低い事業所ほど「病気や急な用事のために残しておく必要があるから」の割合が低いという結果になっているというのだ。なお使用者は年次有給休暇を取得するタイミングの問題で事業の正常な運営が妨げられる場合は、その日の年次有給休暇の取得を拒否することができ、これを「時季変更権の行使」とうそうなのだ。しかし調査結果をみる限りでは時季変更権の行使が年次有給休暇の取り残しに与えた影響は見受けられないというのだ。

そうすると労働者が空気を読んで年次有給休暇の取得を自重しているということになってしまうのだが、使用者は労働者が有給休暇を気兼ねなく取得できるようにする努力義務を負わないのかとか、取得しにくい雰囲気を作ったことに対する罰則はないのかということが問題だとの指摘もあるのだ。この点について使用者は「有給休暇を取得した労働者に対して賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と定められているが、この規定には使用者の努力義務を定めたものであって、この規定に反して不利益な取扱いが行われた場合直ちにその取扱いが無効となるわけではないというのだ。労働者に年次有給休暇を取得する権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる場合のみ無効となるというのだ。

先に紹介した独立行政法人労働政策・研修機構が実施した「年次有給休暇の取得に関する調査」の調査結果の回答にも「上司がいい顔をしないから」とか、「勤務評価等への影響が心配だから」という点が、有給休暇取り残しの理由として挙げられているのだ。不利益な取扱いを行う制度があるわけでも実際にそういう取扱いを受けたわけでもなく、不利益な取扱いを受けるかもしれないと心配して年次有給休暇を取り残す労働者がいるからといって、その使用者が違法であると考えるのは難しいとされているが、ここにも日本人の「常に周囲への配慮を怠らない奥ゆかしい国民性」があらわれているというのだ。そこで労働者に年次有給休暇を取得させることを使用者に義務付ける改正労働基準法案が審議されることになったというのだ。

それでは年次有給休暇の取得率を上げるために労働者に出来ることはというと、法的な側面からいうならばとにかく取得してしまうことに尽きつというのだ。法的には労働者が自重して取り残すことは問題とならないことから、取得したら不利益を受けたとか不当に取得させてもらえなかったというような場合でなければ年次有給休暇を取得する権利を侵害されたとはいえないというのだが、その「とにかく取得する」ができないことが最大の問題であることも理解でき、旅行サイトを運営するエクスペディア・ジャパンの調査によると、日本の年次有給休暇取得率は世界主要国の中で最下位なのだから、日本人のマインドが切り替わらないのであればどうしても労働法規の改正が必要ということになってしまうというのだ。






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最終更新日  2017年09月09日 04時30分13秒コメント(0) | コメントを書く


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