故対応の拠点となる免震重要棟の耐震性不足を規制委に報告していなかったことが発覚するなど東京電力の適格性を疑わせる事態が相次いるのに、 原子力規制委員会が新潟県にある柏崎刈羽原発6・7号機の安全審査を巡り、東京電力に原発を運転する適格性があると条件付きで認めている。技術的な審査はほぼ終わって新規制基準に適合したことを示す審査書案も公表されているが、審査経過を見ると適格性があるとの判断は根拠が薄弱で説得力を欠くと言わざるを得ないと専門家は指摘している。「福島第1原発事故を起こした東電と他の電力会社とは違う」という原子力規制委員会の田中俊一委員長の判断からで、東京電力は事故処理等が技術的に優れているというのだ。
原子力規制委員会は東京電力の小早川智明社長ら新経営陣を呼んで、「福島の廃炉をやりきる覚悟と実績を示すことができなければ原発を運転する資格はない」と迫り福島第1原発の汚染水対策などに主体的に取り組むよう求めたとされている。それでも福島第一原発の建屋地下にたまった高濃度の汚染水が 4 月中旬ごろから外部に漏れる恐れのある状態だったことがわかったそうで、福島第一原発では建屋周辺の井戸の水位を調整して建屋地下の汚染水より約 1 メートル高く維持し汚染水が外に漏れ出ることを防いでいるが、 1 ~ 4 号機の地下水を監視している水位計のうち 4 ~ 9 月にかけて設置された 6 つの設定に誤りがあり、実際は 30 センチしか差がないものもあったというのだ。
高濃度汚染水が漏れないように建屋周辺の地下水は汚染水より水位を高くする必要があるとされており、東京電力は1~4号機建屋の周囲に掘った井戸で地下水をくみ上げ水位を調整していることになっているのだ。それが東京電力によるとミスがあった井戸は6本で最も古いものは今年4月から水位計の設定を誤っていたというのだ。最も水位が低い井戸は基準プラス約109センチとされ、近くの2号機建屋地下の汚染水は同約100センチで単純に比較すると地下水が約9センチ上回っていたという。福島第1原発の地下水などの水位は東京湾の平均海面水位を基準に設定し、新たな井戸掘削に伴って図面を調べたところ誤った水位が記されていたことが分かり、運転上のルールを逸脱したとして原子力規制庁に通報したというのだ。
東京電力福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏代表は記者会見で、「ご心配をお掛けし申し訳ない。何をどう間違えたか突き止め、再発防止策を決めたい」と謝罪したが、排水路の水を測ったところ放射性物質の濃度が 1 リットルあたり最大 1400 ベクレルと、通常と較べて 48 倍に上がっていたというのだ。原因や漏れた量は調査中だというが港湾の出口で放射性物質の濃度に大きな変動はないため、東京電力は港湾の外側の海には影響はないとしている。それでも水位計の誤差を加味すれば水位が逆転し汚染水が漏れた可能性が否定できず、実際に漏れていたかどうか東京電力で詳しく調べているが、いまだに具体的な汚染水対策などは示されないままだったというのだ。
そればかりか福島第一原発事故後の 2 度目となる電気料金の引き上げを行い、その痛みをもって原発の必要性を国民に痛感させて、柏崎刈羽原発の再稼働と 日本原子力発電の救済を同時に果たすこんな突拍子もないシナリオを、経済産業省と東京電力が構想していることが新聞報道などをきっかけにして浮かび上がっているというのだ。未曾有の事故を起こしながらまともに事故の後始末すらできない東京電力が、原発を再稼働するなどもってのほかという識者たちの声を逆手にとって、保有原発の再稼働が絶望的な日本原子力発電に柏崎刈羽の運転を請け負わせることにより、柏崎刈羽の再稼働と日本原子力発電の救済を同時に果たそうと言うが、利用者は電力料金値上げと原発再稼働の両方を呑まされるというのだ。
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