経済産業省や経団連の主導により鳴り物入りで始まったプレミアムフライデーなのだが、月末金曜は 15 時の退社を促し個人消費喚起向上させるキャンペーンだなのだ。そのプレミアムフライデーの個人消費の経済効果をある研究所は、毎月月末の総計の年間消費額で 3253 億円とし波及効果は 5000 億円程度と予測する一方で、他の経済研究所では 1 日あたり 135 億から 1236 億円と前提条件で幅が大きく異なるというのだ。月末の金曜日に早めに仕事を終わらせて消費を促す「プレミアムフライデー」について、経団連の榊原定征会長は 9 月の記者会見で見直しの検討に入ったことを明らかにし、「月末の金曜日」ではなく「月初めの金曜日」に変更することを視野に入れているという。
政府と経団連を中心として経済界とが官民一体になって今年 2 月から始まったプレミアムフライデーなのだが、プレミアムフライデーがなぜ生まれたかというと、議論が起きたきっかけは消費増税 8 %によって落ち込み、その後も低迷する個人消費を喚起する対策とされているが、リーマンショックまで遡るというのだ。その中で消費が伸びない不況下で気を吐いたのは働く女性とシニア層だったといわれており、特に女性は正社員であれば自分磨きにお金をかけるし、パートであればダブルインカムで余裕があり、リーマンショック後もそこまで消費は減らなかったとされている。またシニア層は年金という固定の所得があることから、今その消費は日本の個人消費の 5 割近くを占めるという説もあるというのだ。
そこで給料日直後になりやすい毎月最終金曜日には午後 3 時に仕事を終わらせて、空いた時間を買い物や旅行に外食などに充てることを推奨したというのだ。ところが実際にプレミアムフライデーを満喫しているという人は決して多くはない模様で、 30 代の男性会社員は「うちの会社ではプレミアムフライデーなどまったく導入されていないし、話題にもなりません。取引先の会社もまったく導入していませんし、プレミアムフライデーを活用している人は、周囲に 1 人もいません」と話している。たしかに先月の最終金曜日だった日のネット上の声を見ても、「プレミアムフライデーなの忘れてたわ」とか、「そうか、今日プレミアムフライデーだったね」などと、プレミアムフライデーとは無縁だというつぶやきにあふれているという。
経団連の榊原定征会長はプレミアムフライデーを月初めに変更するとの案を挙げていたが、果たして効果は見込めるのだろうかというのだが、 40 代の男性会社員の意見でも「月末は決算などが集中して忙しいという声もありますが、私の会社の場合はむしろ月初めのほうが忙しいことが多いです。また、部署によってもまちまちなので、決められた時期にプレミアムフライデーを開催されても、活用できる人とそうではない人がくっきり分かれてしまう。ちょっと不公平な印象もあります」という。プレミアムフライデーの日にちを定めることに反対だという意見もあり、「私は会社と自宅が遠く、朝は 2 時間近くかけて通勤しています。そのため、会社にいる時間が短いと通勤時間がちょっと無駄に感じてしまう」という意見も多いというのだ。
毎月 1 回の終業時間を早める日を設けるのではなく、年に 1 日でもいいから休日を増やしてくれた方がありがたいという意見もあって、実際に働いている人々の生活とフィットしているとは言い難いプレミアムフライデーだが、制度自体を根本から考え直す必要があるかもしれないというのだ。プレミアムフライデーは消費喚起が目的で議論が始まったはずだが、政府の意向を忖度したのか「イベントの日には早く帰って、ワークライフバランスの促進や労働生産性向上を」と働き方改革までもセット化されたというのだ。消費喚起と労働改革の一石二鳥が狙われるようになったわけなのだが、だが働き方改革を強化し残業を減らすと賃金が減り、個人消費が減るという矛盾も懸念されているといこともいわれている。
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