先進国には社会の高齢化はつきものなのだが、成熟した先進国は社会の高齢化は受け入れなければならず、人口減は経済成長の足かせになることを意味していて、超・高齢化社会加速は社会保障制度の疲弊を意味するという。政策研究大学院大学名誉教授の松谷明彦氏が警鐘を鳴らす「 2025 年問題」では、「これから 10 年間で、日本の人口は 700 万人減ります。 15 歳~ 64 歳の生産年齢人口が 7,000 万人まで落ち込む一方で、 65 歳以上の人口は 3,500 万人を突破する。 2025 年の日本は、団塊の世代が 75 歳を超えて後期高齢者となり、国民の 3 人に 1 人が 65 歳以上、 5 人に 1 人が 75 歳以上という、人類が経験したことのない『超・超高齢社会』を迎える。」と説明しているのだ。
特に人口減に関しては東京オリンピックが終わったあとでも現在と同水準の人口を維持できると考えられているのは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の首都圏だけで、私の住む愛媛県を含む中四国の大半の県は軒並み 1 割人口を減らすと見られている。都会と地方の格差は広がるばかりで地方の人口減少の深刻化に地方の悲鳴が聞こえてきそうだという。 問題は少子化 の方でこれは対策を講じている国とそうでない国では未来予想は大きく変わってきるといわれており、アメリカのように人口減少を移民政策でくい止めている国もあれば、フランスのように出生率改善と向き合っている国もあるが、日本は少子化対策に関しては全くの無策と言っていいほど何の対策もとられていないのが現実だという。
少子化はそのまま生産人口の減少につながりそれは国の税収減として表れ、国の経済発展にも悪影響を及ぼすということなのだが、つまり「 2025 年問題」というのはは「人手不足」と「財政危機」ということなのだ。若者が減り高齢者が増えると働き方が変わると言われているが、生産年齢人口が減り税収が減るイメージはあるのだが、労働力人口が高齢化することにより労働の質が変わることが予想されている。若者が減り老人が増えることは何かを作る仕事に携わる人が減り介護や葬儀に携わる人が激増するという見方もできそうなのだが、それでも介護にかかわる人手不足が解決するわけではないとされ、今のままではむしろこれからますます深刻になっていくと考えられているのだ。
皆保険制度維持のために考えられるのは保険料増や窓口自己負担額増および増税(さが、これらは国民の負担感が増し選挙を意識する政治家にとっては踏み込めない領域のようで、年金制度改革と一緒でおそらくは抜本的改革は進まないというのだ。国民負担増なしで皆保険制度を維持させるには医療給付費を抑えるしかないと言われており、医療給付費抑制は医療機関経営を圧迫してしまうというのだ。「 2025 年問題」は医療機関の倒産が増えるという側面もあるそうで、皆保険制度維持のために国民負担増や、現存する医療機関の淘汰さらには外資による日本医療法人買収ということまで考えられるいう。さらに医療制度維持のために制度そのものの縮小、つまり保険適応の対象範囲を縮小することも考えられているのだ。
年金をはじめとする社会保障費は現在の約 120 兆円から、 2025 年には総額 150 兆円に増えると考えられ、遅くとも 2030 年代前半には年金積立金は枯渇するという。消費税 1 %分の税収は約 2 兆円とされ、向こう 10 年で今より 15 %消費税率を引き上げないと年金制度は維持できないという試算もあるという。多くの国民が不安に思いつつ半ば諦めムードになりかけている今の公的年金制度だが、それがいよいよ「ムード」から「リアル」になっていくというのだ。「お金」について話すことは子供たちが「継承するもの」について話すことで、お金の価値は使い方と使われた目的によって決まるとされている。受け継いできたものや将来を担うことについて教えることは、子供に権利を与えることではなく責任を負わせることだというのだ。
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