サラリーマンは 12 月初旬に会社に申告書を提出しそれに基づいて作成された源泉徴収票を受け取ってほとんどが終了なのだが、年が明けるといよいよ確定申告の季節を控え税務現場職員は大変で、個人事業主から領収書について「おたくのトップは『書類は廃棄済みで復元できません』で押し通したの」と苦情が来ているというのだ。森友学園問題で強気な答弁を繰り返し国税庁長官に栄転した佐川宣寿氏なのだが、安倍晋三首相は国会答弁で「適材適所」と胸を張ったが国税庁内には怨嗟の声が渦巻いているという。佐川国税庁長官は国会答弁で森友学園への国有地払い下げについて「すべての資料を廃棄した」などと繰り返し、野党の追及に一切の言質を与えなかったことで一気に名前が知られている。
佐川国税庁長官は福島県いわき市出身で中学までは地元で暮らしていたが、高校からは東京都に転校して東大経済学部に入学すると、 1982 年に旧大蔵省に入省し故・塩川正十郎財務相の秘書官をはじめ大阪国税局長や関税局長などを歴任するなど出世コースを歩んでいるが、昨年の7月に税務署職員など約 5 万 6 千人のトップにまで上り詰めている。仕事熱心のせいか部下にハードワークを求め、省内で「パワハラ上司として有名な存在」だったそうなのだ。野党の質問に「いちいち確認しない」と答弁するなどの強気の姿勢を、安倍晋三首相も高く評価しており、財務省は事務次官に佐川国税庁長官と同期の福田淳一主計局長が昇格し、主計局長には岡本薫明官房長が就くなど役所の論理に従った予定通りの人事だという。
会計検査院が昨年の 11 月に出した森友学園への国有地売却に関する報告書では、ゴミ処理に関して 8 億円の大幅値引きについて「十分な根拠が確認できない」などと指摘しているが、それを受けて行われた衆参両院の予算委員会で財務省は、佐川前理財局長の過去の答弁の釈明に追われたというのだ。佐川前理財局長は国会で「価格を提示したことはない」と答弁していたのだが、後任の太田充理財局長が森友側と近畿財務局の間で「金額のやりとりがあった」と事前の価格交渉があったことを認めたというのだ。しかも「金額の話はしたが、価格交渉ではない」などと苦しい言い訳を国会でしていたのだが、要は佐川前理財局長がこれまで国会で虚偽の答弁をしたということにほかならないと言われている。
野党は次の通常国会でも佐川国税庁長官の招致を求めていく構えというが、佐川氏が国税庁長官に就任して以降の動向は不思議なほど伝わってこないという。国税庁の関係者は「ノルウェーやフィリピンなどで国際会議に出席したり、各地の国税局に出張したりしています。ただ、マスコミへの発信はゼロ。歴代長官の慣例となっていた就任後の会見も開いていません」と語るようにマスコミの排除ぶりは徹底しているというのだ。長官室のドアも前長官の時は開けられていたが今はずっと閉じられたままで、それどころか東京国税局に視察に行った際の番記者が「長官、こんにちは」と声をかけたのに下を向いて逃げてしまったという。一方で財務省 OB は「佐川君に泣いてもらってでも、国税庁長官は避けるべきだった」と嘆いているというのだ。
財務省職員は「これで 2019 年 10 月に予定されている消費税の 10 %への引き上げはさらに厳しくなった。森友問題は国有地の格安払い下げという税金に関わる問題。財務省は『官僚の中の官僚』と言われながらも国民の意見を聞き、丁寧に説明するという姿勢を見せようとしてきた。それは、増税をお願いする立場だからです。官僚を目指す学生の中でも財務省志望者が減っていると聞きます」と語っているが、新聞記者等が佐川国税庁長官氏の自宅のインターホンを鳴らすと、中では愛犬のチワワの吠える声はするがまったくの「応答はなし」だそうで、「逃げるは恥だが役に立つ」ことを実証されるおつもりのようなのだが、森友学園問題で財務省が失ったものは大きいというのが実情のようだという。
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