スーパーゼネコンと呼ばれる大手のうち上場している鹿島・大成建設・清水建設・大林組の前年度における当期純利益の合計は談合して大儲けしているせいか約 3900 億円だという。バブル期の恩恵があった時期の約 1600 億円の 2 倍以上で業界の頂点に君臨するスーパーゼネコンは言わず、準大手でも最高益が続出しているという。「神風が吹いた」とか「あまり大きな声では言えませんが、工事の依頼を断ることもけっこうありますよ」 とあるゼネコンの幹部は語っている。建設業界はアフリカの生態系のようにゼネコンが王者として君臨し、生態系全体のバランスを保っている。サバンナと違うのはゼネコンが生態系下位を下請けや孫請けとして支えていて、下請け企業もゼネコンを支えていると言われている。
大手ゼネコンを見れば建設業界全体がどうなっているかがおよそ分かるのだが、きっかけは東日本大震災だとされ東北地方での復興事業を契機に建設需要が急回復し、さらに東京五輪の開催決定や景気の拡大などにより民間企業に開発や設備投資の機運が広まってくると、ゼネコンは一気に息を吹き返したとされる。建設経済研究所の試算によれば建設投資は8年前の 41 兆円から震災後は一気に 51 兆円へと回復し、その後も 50 兆円を上回って推移しているいう。それでもピークだった時期の 84 兆円と比べると市場は 4 割も縮小しているが、バブル期を超える利益を上げられている最大の理由は工事の採算改善で、「社員や下請け企業を遊ばせるよりマシ」と赤字覚悟での受注が当然のように横行していたというのだ。
それが今は「割に合わない工事は受けない」と態度が豹変しており、バブル崩壊後の建設不況のあおりを受けてゼネコン各社は規模の縮小を余儀なくされ、建設業の就業者数もピークから約 3 割も減っていた。そこに降って沸いたような好況が訪れたことから技術者をフル稼働させても受注しきれないほど案件が転がり込み、採算の良い案件を選んで受注できるようになったというのだ。東日本大震災前は大手でも 4 %台にまで沈むこともあった売上高総利益率が今や 2 ケタ以上が当たり前で、過去に受注した赤字工事の完工も相次ぎ利益を押し下げる要素が消えたことも追い風だという。大成建設や鹿島の土木部門など 10 %台後半や 20 %の大台に乗るゼネコンも出てきており、無理に受注しなくても過去にない好業績を上げているのだ。
割を食うのは発注者でゼネコン同士を価格競争させていた民間企業が、今度はゼネコンに足元を見られる格好となり急いで建設したいなら「さらなるコストアップをお願いせざるを得ない」など力関係が完全に逆転しているという。「建設費の高騰を受けて、自社の利益を削った」という嘆きの声も聞こえるが「ゼネコン各社は過去にさんざん赤字を出したのだから、これぐらい稼いでも文句は言われないはずだ」と大手ゼネコン幹部は意に介していない。手持ちの工事量は過去最高水準で一部の案件は五輪後まで着工を延期しているようで、当面食いっぱぐれる心配はないと考えているのか大手ゼネコン幹部は、「私たちは『活況は五輪まで』などと言った覚えはない」という強気の発言も相次いでいるというのだ。
日本の将来を揺るがすかも知れないと言われているのが「インフラ老朽問題」で、あらゆる物が老朽化して昭和 40 年代からバブル期に建設された現在の日本のインフラは、一斉に寿命を向かえいずれ全て更新が必要になるという。つまり「日本をもう一度作る」大工事が日本中で必要になるという事で、そうした設備全てを新築に匹敵するお金を掛けて延命工事をしなければならないという。その為には数百万人の建設業就労者が新たに必要なのだが、働く人にとってはビッグチャンスとなっている。インフラ工事は国や自治体が発注するのだが公共事業は掛かった人件費を上乗せするので、実は建設事業社の腹は痛まないのです。こうした値上げの循環が賃金を国や自治体に請求できているという。
キーワードサーチ
コメント新着