私もよく飲むコーヒーは近年になって避けるべき食品のリストから、適度に取るべき食品リストに移されたそうなのだが、毎日飲むブラックコーヒーはおいしいだけで終わらず、すばらしい飲料であるというのだ。コーヒーを飲むことで脳や心臓の健康から代謝の促進にがんの予防まで、さまざまなメリットをもたらすと考えられるためだが、コーヒーが心臓の健康やその他のメリットと関連していることを示す研究結果は増加しているそうで、昨年は 1 日に飲むコーヒーが 1 杯増えるごとに心臓発作と脳卒中のリスクが低下することを示す結果が発表されている。また数年前に公表された研究結果では、 1 日に 6 杯までのコーヒーと心臓発作その他の原因による死亡率の低下の関連性が明らかにされているというのだ。
ドイツのデュッセルドルフにあるハインリッヒ・ハイネ大学が行った研究で、カフェインが心臓細胞のエネルギー貯蔵やミトコンドリアに働きかけることなどで、心臓を保護していると見られることが分かった。研究結果は先ごろ、米オンライン科学誌プロス・バイオロジーに掲載された。研究チームが着目したのは、細胞周期などに影響を及ぼすことが知られているタンパク質で、マウスを使った実験でカフェインによって心臓細胞のミトコンドリア内へのそのタンパク質の取り込みが促進されることが確認された。また、カフェインによる血管内皮細胞の移動の促進も見られたという。そのタンパク質には心血管にとってのその他のメリットもあることも分かった。心臓発作を起こしたマウスの心筋細胞の再生を促進したというのだ。
論文の著者であるジュディス・ヘンドラー教授によれば、今回の研究結果は心筋の保護と再生を促進するというカフェインの新たな作用機構が確認されたことを示唆するもので、研究ではそのほかカフェインの摂取による糖尿病前症と肥満のマウスの心臓の健康状態の改善も確認されたという。興味深いことにこれまでにも示されてきたコーヒーに含まれている適量のカフェインは、脂肪の代謝を活発にする働きがあるという研究結果が出たそうなのだ。お米を中心とした高炭水化物の食生活から欧米型の高脂肪のメニューへと変わってきた私たち日本人にとって、コーヒーは肥満予防に役に立つと言われているが、今回の研究でも 1 日当たり 4 杯のコーヒーを飲むことで良好な結果が得られたというのだ。
高齢のマウスに 1 日当たり 4 杯のコーヒーに当たる量を与えたところ、心血管系の機能が若いマウスに近づいたという。ヘンドラー教授は高齢者の日常的な食習慣にコーヒーの摂取を含めることを検討すべきだと指摘している。そのうえコーヒーは胃液の分泌を促し消化器の働きを促進させて消化を助けるというのだ。またカフェインには利尿作用もあって水分の取りすぎが原因のひとつとも言われる肥満の解消にも、余分な水分の排出が期待できるコーヒーは注目の飲み物だというのだ。しかもお酒で疲れた肝臓の負担を軽くする働きもあるという研究結果も発表されているが、ただし胃炎や胃潰瘍に十二指腸潰瘍などがある人は、空腹時に濃いコーヒーを飲むと胃壁を痛めることもあるので注意が必要だという。
筑波大学の鈴木正成教授の研究によるとカフェイン・テオフィリン・テオプロモインなどのメチルキサンチン化合物には脳の中枢を刺激して神経系を興奮させる作用があるそうで、この作用によってコーヒーを飲むと全身の細胞の働きも高まるという。著名な精神神経科医も「仕事のあとの一服、これはうまい。タバコでもコーヒーでも、一仕事終えて、椅子にどっかと腰をおろして、やれやれというところでの一杯。その安らぎこそが大切なのだ」と精神的な効果も高いとしている。コーヒーを飲むと全身の細胞の働きも高まるといわれているが、カフェインの持つ強心作用は心臓の働きを活発にしてハツラツ人間をつくるとされているが、毎日の精神疲労や知的疲労で鈍った脳も一杯のコーヒーでリフレッシュさせることができるというのだ。
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